2023年3月28日
東京工科大学、AIを用いたがん幹細胞の識別精度を大幅に向上させる技術を開発
東京工科大学は23日、応用生物学部の杉山友康教授らの研究グループが、人工知能(AI)を用いたがん幹細胞の識別精度を大幅に向上させる技術を開発したことを発表した。
同研究成果は、3月10日に学術誌「International Journal of Molecular Sciences」オンライン版に掲載された。
がん幹細胞は特徴的な発現の遺伝子やタンパク質を有し、その検出法はがん幹細胞の特定に重要な技術。一方で、特異な細胞形態を有するとされる特徴の検出は、熟練した研究者の観察眼に負うところが大きく、技術開発は十分に進んでいない。同グループでは、生成系AIを用いてがん幹細胞を識別する技術開発に取り組み、熟練者の助け無しでがん幹細胞を識別するAIを作成しており、同研究では、その精度向上を目指した技術の開発に取り組んだ。
がん幹細胞1つ1つがその幹細胞の性質を維持しているかを把握するための手段として、マーカー遺伝子「Nanog」の発現を示す細胞画像を取得した。その細胞形態の画像と共に生成系AIに学習させたところ、AIは細胞形態を示す位相差顕微鏡画像の入力に対して、がん幹細胞を選別して表示。一方、学習に使用するデータ数や多様性に影響されず、正解の画像と比べて出力画像が9割以上正しく表示する場合と1割程度しか一致しない場合があり、AIは解析対象の画像によって得意と不得意があると考えられた。
そこで、得意な画像のみを集めて生成系AIに学習させたところ、従来の生成系AIで予測した画像の精度が約6%だったところ、新技術では約40%(約5.7倍)の精度でがん幹細胞を予測することに成功した。一方、比較的不得意な画像のみを集めて生成系AIに学習させたところ、従来手法が約90%の精度で出力するのに対して、新技術では約70%の精度となった。
同研究グループが開発した生成系AIは、従来の生成系AIが成しえない精度でがん幹細胞の形態を予測した点で、熟練が必要とされる高い識別能力を示したと考えらる。これらの技術をさらに発展させることで、がん診断をサポートするのに有用な手法としての応用が期待される。また同技術で精度が向上したという事実は、AIはがん幹細胞の未特定の構造を認識した可能性を示唆しており、さらなる研究が期待される。
関連URL
最新ニュース
- エナジード、奈良県立高がキャリア教育プログラム「ENAGEED CORE」導入(2025年1月24日)
- 学力・学習状況調査のCBT化、小中校教師の約9割が「生徒がデジタル環境に適応するための準備が重要」と回答 =新学社調べ=(2025年1月24日)
- REDEE、徳島県美波町が中学生~高2生対象の「eスポーツ&IT講習会」を開催(2025年1月24日)
- ライフプランニング、9割以上の親が「小学生から学び始めるのが理想」と回答 =イー・ラーニング研究所調べ=(2025年1月24日)
- 約9割の保育園が、ICTデータを「運営改善や保育の質向上」に活用 =子ねくとラボ調べ=(2025年1月24日)
- 「大学全入時代」でも高1からの受験対策が当たり前に「未来データレポート」公開 =TimeTree調べ=(2025年1月24日)
- プログラミングを独学で学ぶ人々対象の転職実績アンケート =「プロリア プログラミング」調べ=(2025年1月24日)
- CBTS、2025年版「趣味で取ったら大満足の資格」ランキング発表(2025年1月24日)
- 約65%が共通テストの難易度を”噛み応えがあった”(難しかった)と回答 =カバヤ食品調べ=(2025年1月24日)
- 摂南大学経営学部「経営情報楽環プロジェクト」が「第4回Digi田甲子園」本選出場決定(2025年1月24日)