2024年2月22日
知らないことを調べる力・探究力を高める、 「すららSatellyzer」による先生頼りでない授業事例 /浦和高等学園
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浦和高等学園は、さいたま市浦和区にある通信制高等技能連携校の私立校。不登校を経験した生徒も含め「社会的自立」を目標とする。全ての生徒に、意欲や習熟度に合った学習機会をもたらす、少人数制授業や個別指導が特徴。2013年、埼玉県内で初めて個別最適化されたICT教材「すらら」を導入。
2023年には、総合的な探究の時間向け教材「すららSatellyzer(サテライザー)」の活用が始まった。国語科 鈴木 まり花教諭に話を訊く。
年間を通してSDGsをテーマに学び、文化祭で成果を発表
浦和高等学園高校部は、3学年90名が年間を通してSDGsを体験し知見を広める活動に取り組む。三又沼ビオトープ自然保護公園ではボランティア活動を行い、国際展示場で開催される環境展では企業の取り組みを調査し、沼津市の臨海学校では実際に海に潜って海洋生物の研究を行うなど「特別活動」は多岐に渡る。毎年、10月の文化祭では「選択ゼミ」活動の成果発表を行っており、そこにも必ずSDGsを関連付けている。
「選択ゼミ」とは、将来の職業を意識し、興味関心に合わせて音楽、アート、スポーツ、マルチメディアなどから選択し主体的に取り組む活動だ。
◆自分の活動をSDGsに絡める点で苦戦、未知のことをいかに生徒主体で進めるかが課題
SDGsと聞くと生徒のイメージは「環境を大事にしましょう」という点に尽きてしまうと、鈴木教諭は語る。ジェンダー平等の実現、人や国の不平等をなくす、など「環境を大事に」以外の目標には目が向かない。自分の活動の何がSDGsと関連するのかを見つけられずに苦心する。PCで検索しても生徒には情報が膨大すぎる。テーマ選択、課題発見もままならず、まとめることは難しい。鈴木教諭らが生徒一人ひとりに付き添い、進め方や課題を指定しなければならない状況だった。このように教員主体となってしまうことは「非常にもったいない」と感じていた。知らないことを調べる、探究する活動を生徒主体でいかに進めるかが課題だった。
『自学自習』にぴったり、必要な全てが揃っている「すららSatellyzer」と出会う
そのような中、2023年「宇宙・人工衛星」がテーマの探究コンテンツ「すららSatellyzer」と出会った。
「本当に使いやすいと感じ即決した。SDGsを調べて発表させるには、教員の授業準備、助言が欠かせなかったが、『すららSatellyzer』には必要な全てが揃っていて、則って進めればできると直感した。何より本校が大事にしている生徒の主体的な学び、『自学自習』にぴったりだという点が大きかった」鈴木教諭が決め手を語った。
生徒主体の「すららSatellyzer」による探求授業の始まり〜ゴールは文化祭での発表
9月初めから理科と社会の授業で、「すららSatellyzer」に取り組んだ。10月の文化祭での発表に向けてスタートしたのだ。通信制とは言っても商業の技能連携校であり、週に5日通学するため柔軟に対応できた。
まずは4、5名ずつのグループ分けだ。普段一緒に活動しない生徒、探究が得意不得意な生徒が混在するようにといった方針を決めたら生徒に任せ、教員らは調整だけにとどめた。
全9回の授業は、「レクチャー動画」で必要な知識を学び、「グループワーク」で協働作業、「自己・相互評価」を行い、スムーズに進んだ。常に生徒主導を心がけ、教員はチェック役に徹したという。
◆準備は手軽、教員はファシリテーションと専門分野の説明に専念
準備は、鈴木教諭自身が受けた説明を元に他の教員らへのレクチャーを1回実施しただけという手軽さだ。『すらら』でコンテンツを配信しておき、あとは教員用の使い方資料を元に進めれば、クオリティの高い生徒主体の探究授業を実現できる。関連する教科の補足説明や、ファシリテーションに専念できるのも大きなメリットだ。
◆生徒による授業進行も可能、リーダーシップを育む
2年生のある授業は、生徒が進行役を担ったというから驚きだ。もちろん教科の説明は教員がサポートしたが、「すららSatellyzer」がいかに進めやすい構成なのかがわかる。全体をまとめリーダーシップを発揮し、進捗管理に挑戦することは生徒にとっても貴重な機会となっただろう。
主体的に取り組む発表準備、「友達」と「学びの楽しさ」2つの目標を同時に実現
文化祭が近づくと、いよいよ発表の準備だ。1日中、グループで模造紙に発表資料をまとめる日が続いた。1週間かけたグループもあった。プレゼン自体は個人で行い、一人ひとり動画を撮影し合った。
教室をのぞくと、普段は「勉強がきらい」と言っている生徒らが休み時間まで真剣に探究のグループワークに取り組んでいた。
思わず「なにやっているの?」と驚きの声が出たと、鈴木教諭が嬉しそうな笑顔を見せる。
文化祭での発表という大きなゴールがあること、友達と協働する楽しさで盛り上がったことが主体的な学びにつながったのだろうと分析する。不登校経験のある生徒も多い同校の2つの目標「友達をつくる」「学びの楽しさを知る」、その両方を実現できた瞬間に鈴木教諭も歓喜に包まれた。
SDGsを意識した生徒主体の文化祭
文化祭当日は、SDGsを意識しペーパーレスを目標に開催された。運営計画も、全て生徒らが企画書を書いて、予算を提出し許可されて実現したものだ。生徒らの発表動画も環境に配慮し連続再生せず、QRコードを掲示した。動画はYouTubeで限定公開し、来場者はスマホで読み取って閲覧するのだ。
ICTの活用と、発表する生徒らの成長した姿との両方に「こんなことができるの?」と保護者からは称賛と驚きの声が溢れた。
文化祭は大事だと鈴木教諭はいう。これまで未経験であった発表という機会を経て生徒が自信を持ち、学校への馴染み具合にも変化が見られるからだ。
集団に苦手意識のある生徒への好影響
中には集団に苦手意識を持ち参加が難しい生徒もいる。「やらなくてよいよ」ではなくて「やれることはなんだろう」と寄り添い、同じように感じる少人数で取り組むことからスタートした。
「すららSatellyzer」のグループワークで盛り上がったことがひとつのきっかけとなり、この仲間となら一緒に学べそう、一緒なら特別活動にも参加できそうと、一歩を踏み出すきっかけに繋がった例もあったという。
「すららSatellyzer」での探求授業を振り返って
「準備に時間をかけなくてもクオリティの高い授業を実現でき、生徒の能力が向上したことが最大のメリット。『すららSatellyzer』は明確なゴールまでの道筋があるのでぼやけることがなく、友達と協働する楽しみを味わえ、教員頼りとならず生徒だけで解決できた点も効果的だった。グループでの取り組みは、教科学習よりコミュニケーション時間が増え、特にアウトプット力の格段の飛躍を痛感した。
探究学習が重要と言われる時代の中で、宇宙という未知のことに触れ、それを探求していくのは練習として最適だ。昨今、SNSが普及し自分の興味があるものしか流れてこない状況にあって未知のことを調べる機会が減少している。未知のことを探究する機会は、知識を得るだけでなく、調べる力や情報を見極める力、世の中のことを知る力がつくので重要だ。
生徒たちには、教わるだけでなく、自分で調べていける力、わからない問題を解決する力を身につけてほしい。」と、鈴木教諭が探究授業を振り返った。
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