2024年3月13日
子どもが社会人になるまでに必要な教育資金、調査開始以来最高の平均1439 万円 =ソニー生命調べ=
ソニー生命保険は12日、大学生以下の子どもがいる20歳以上の男女1000人を対象に実施した、「子どもの教育資金に関する調査」の結果をまとめ発表した。
それによると、「子どもの学力や学歴は教育費にいくらかけるかによって決まると感じるか」と聞いたところ、「非常にあてはまる」が16.6%、「ややあてはまる」が47.3%で、合計した「あてはまる」は63.9%。子どもの学力や学歴が教育費の多寡に大きく依存していると実感している親が多いようだ。
「老後の備えより子どもの教育費にお金を回したい」との質問には、59.7%が「あてはまる」と回答。「早期の知育や英才教育は子どもの将来のために重要だ」では68.1%が、「スポーツや芸術の習い事よりも学習塾に教育費をかけたい」では41.5%が、それぞれ「あてはまる」と回答した。
子どもの大学など(大学・短期大学・専門学校、以下同様)への進学に関する意識について聞いたところ、「(子どもが希望する場合)多少費用がかさんでも進学させたい)」(「非常に」と「やや」の合計、以下同様)が85.6%、「費用がかさむなら進学させなくてもよい」が14.4%だった。
子どもの大学などの入学金・授業料などの費用については、「費用にこだわらず子どもの希望を優先させたい」が76.4%、「費用が極力抑えられる学校を選択させたい」が23.6%で、経済的理由で進路選択の幅を狭めることはしたくないと考える親が多いと思われる。
子どもの学校への通学については、49.3%が「自宅から遠ければ下宿や寮生活をさせてもよい」、50.7%が「自宅から通える学校を選択させたい」と回答。学生時代のアルバイトに関しては、48.0%が「アルバイトはせず学業に専念してほしい」、52.0%が「アルバイトをして学生生活の費用に充ててほしい」と回答した。
海外留学や海外研修については、「(子どもが希望する場合)多少費用がかさんでも経験させたい」が66.3%、「費用がかさむなら経験させなくてもよい」が33.7%。昨年の調査結果と比べると、「多少費用がかさんでも経験させたい」との回答は、2023年59.3%→2024年66.3%と7.0ポイント上昇した。
「子どもの教育費の負担を重いと感じる」がどの程度あてはまるかを聞いたところ、「非常にあてはまる」が23.8%、「ややあてはまる」が43.6%で、合計した「あてはまる」は67.4%になった。
子どもの就学段階別にみると、「あてはまる」と回答した親の割合は就学段階が上がるほど高くなる傾向がみられ、大学生など(予備校生・浪人生・大学生・短期大学生・専門学校生、以下同様)の親では78.2%。過去の調査結果と比較すると、子どもの教育費の負担を重いと感じる親の割合は、2023年66.9%→2024年67.4%とほぼ横ばいで推移。
子どもの将来について、「教育資金に不安を感じるか」を聞いたところ、83.5%が「不安を感じる」と回答。「不安を感じない」は16.5%だった。就学段階別にみると、「不安を感じる」親の割合は、中高生の親(87.3%)が最も多く、未就学児の親(86.3%)が続いた。
教育資金に不安を感じる親(835人)に、不安を感じる理由を聞いたところ、「物価の上昇」55.7%がダントツで多かった。以下、「教育資金がどのくらい必要となるか分からない」35.2%、「収入の維持や増加に自信がない」33.5%、「社会保険料の負担増」27.8%、「病気やケガで収入が途絶えるリスク」23.1%が続いた。
また、 未就学児の親(248人)に、子どもが小学生から社会人になるまでに、教育資金はどのくらい必要だと思うか聞いたところ、「1000万円~1400万円」31.4%と「2000万円~2400万円」25.4%に多くの回答が集まり、平均予想金額は1439万円だった。
平均予想金額を過去の調査結果と比べると、2022年1377万円→2023年1436万円→2024年1439万円と、調査開始以来最高額となった2023年を上回った。
教育資金として子どもの祖父母(自分の親や義理の親)からこれまでにいくらくらい資金援助してもらっているか聞いたところ、「0円」49.9%に半数の回答が集まったほか、「~40万円位」16.6%や「100万円位」10.0%も多く、平均は124万円。昨年の調査結果と比べると、資金援助してもらっている金額の平均は、2023年104万円→2024年124万円と20万円増加した。
スポーツや芸術などの習い事、家庭学習、教室学習のそれぞれに1カ月あたりいくらくらい支出しているかを聞き、それぞれの平均支出金額を合計したところ、1万7593円/月になった。平均支出金額の合計を過去の調査結果と比較すると、2023年1万6861円→2024年1万7593円と732円の増加となり、調査開始以来最も高い水準になった。
就学段階別に平均支出金額の合計をみると、未就学児の親では9218円/月、小学生の親では1万8914円/月、中高生の親では2万5675円/月、大学生などの親では1万6453円/月で、昨年の調査結果と比較すると、小学生の親と中高生の親では調査開始以来最も高い水準だった。
高校生以下の子どもの親(748人)に、子どものこづかいや、携帯電話・スマホの通信・通話料金への支出状況について聞いたところ、子どもの「こづかい」に支出している親の割合を就学段階別にみると、未就学児の親では19.0%、小学生の親では46.8%、中高生の親では75.0%だった。
子どものこづかいに支出している親(352人)の平均支出金額は、未就学児の親では1819円/月、小学生の親では2777円/月、中高生の親では7073円/月だった。また、子どもの「携帯・スマホの通信・通話料金」に支出している親の割合を子どもの就学段階別にみると、未就学児の親では16.9%、小学生の親では46.0%、中高生の親では88.5%だった。
高校生以下の子どもの親、または予備校生・浪人生の親(752人)に、子どもの進学費用のための備えとして、1人あたり月々いくらくらい支出をしているか聞いたところ、「0円」30.6%が最も多かったほか、「1万円~1万4999円」17.6%や、「2万円~2万9999円」17.4%、「3万円以上」19.3%にも回答が集まり、平均は1万6492円/月。
平均支出金額を過去の調査結果と比較すると、2022年1万5690円→2023年1万8372円→2024年1万6942円と、昨年みられた増加から一転、今年は1430円の減少になった。
高校生以下の子どもの親(748人)に、大学などへの進学のための教育資金を、どのような方法で準備しているか聞いたところ、「銀行預金」56.4%が最も多く、以下、「学資保険」43.7%、「資産運用(株式投資、投資信託、NISAつみたて投資枠など)」19.0%、「(学資保険以外の)生命保険」10.0%、「財形貯蓄」9.4%が続いた。
世帯年収別にみると、世帯年収が1000万円以上では「資産運用」が34.7%と、全体(19.0%)と比べて10ポイント以上高かった。
他方、大学生などの親(予備校生・浪人生を含まない)(248人)に、大学などへの進学のための教育資金を、どのような方法で準備してきたか聞いたところ、「銀行預金」69.0%がダントツで多く、以下、「学資保険」39.9%、「奨学金」17.3%、「子どもの祖父母からの資金援助」10.9%、「資産運用」10.5%が続いた。
高校生以下の子どもの親、または予備校生・浪人生の親(752人)に、「大学などの学費は高すぎると思うか」と聞いたところ、「非常にそう思う」が41.5%、「ややそう思う」が41.4%で、合計した「そう思う」は82.8%。また、「大学などの学費を無償化してほしいか」との質問には、83.5%が「そう思う」と回答した。
返済不要な「給付型奨学金」をもっと利用しやすくしてほしいかと聞いたところ、83.0%が「そう思う」と回答。無利子で借り返済が必要な「貸与型奨学金」については、79.7%が「利用しやすくしてほしい」と回答した。また、子どもが貸与型奨学金を利用した場合、返済時に支援したいと思うか聞いたところ、79.7%が「そう思う」と回答。
今年10月から行われる児童手当の拡充について、どのくらい期待したいと思うか聞いたところ、「所得制限の撤廃」では、「非常に期待したい」が27.3%、「やや期待したい」が36.2%で、合計の「期待したい」は63.5%。「全く期待したいと思わない」は11.7%、「あまり期待したいと思わない」が24.8%で、合計した「期待したいと思わない」は36.5%。
児童手当の「高校生年代までの延長(中学生までだった支給対象が18歳までに)」では、「期待したい」は76.5%、「期待したいと思わない」は23.5%。高校生の親(123人)では、「期待したい」が88.6%で、全体(76.5%)と比べて12.1ポイント高かった。
児童手当の「多子加算(第3子以降の手当が大幅に増額され月額3万円に)」では、「期待したい」は53.9%、「期待したいと思わない」は46.1%。子どもが3人以上いる親(101人)では、「期待したい」が78.2%で、全体(53.9%)と比べて24.3ポイント高かった。
「多子世帯の大学無償化」では、「期待したい」が56.7%、「期待したいと思わない」が43.3%。子どもが3人以上いる親(101人)では、「期待したい」が85.1%で、全体(56.7%)と比べて28.4ポイント高かった。
所得制限のない私立を含む高校の授業料無償化について、どのくらい同意できるか聞いたところ、「育児支援策として有効だと思う」では、「非常にそう思う」が31.0%、「ややそう思う」が43.8%で、合計した「そう思う」は74.8%。「全国一律の制度として実施すべきだと思う」では、「そう思う」が79.6%だった。
高校生の親(123人)では、「育児支援策として有効だと思う」では、「そう思う」は81.3%、「全国一律の制度として実施すべきだと思う」では85.4%と、全体(順に74.8%、79.6%)と比べて5ポイント以上高くなった。また、「税金の使い道として不適切だと思う」では、45.9%が「そう思う」と回答。
エリア別にみると、「育児支援策として有効だと思う」で「そう思う」と回答した割合が最も高かったのは九州・沖縄(85.1%)で、「全国一律の制度として実施すべきだと思う」で「そう思う」の割合が最も高かったのも九州・沖縄(85.1%)だった。
自分の子どもに目指してほしい「理想の大人」のイメージに合う有名人やアニメキャラ、歴史上の人物を聞いたところ、有名人では、1位「大谷翔平」、2位「芦田愛菜」、3位「所ジョージ」となった。「所ジョージ」は昨年の5位から上昇しTOP3にランクイン。
また、自分の子どもに就いてほしい職業を聞いたところ、男子の親では、1位「公務員」、2位「会社員」、3位「医師」、4位「研究者」、5位「医療関係職(医師、看護師などを除く)」。女子の親では、1位「公務員」、2位「看護師」、3位「医師」、4位「会社員」「薬剤師」だった。
この調査は、大学生以下の子どもがいる20歳以上の男女を対象に、1月31日~2月1日の2日間、インターネットで実施した。有効回答数は1000人。同調査は今年で11回目で、2014年~2016年は「子どもの教育資金と学資保険に関する調査」として発表。
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