2025年6月13日
名城大学、NTT ExCパートナーと共同で「AIオンライン服薬指導学習システム」開発
名城大学は10日、同学薬学部の牛田誠准教授とNTT ExCパートナーが共同で「AIオンライン服薬指導学習システム」を開発したことを発表した。
薬剤師には、薬の知識以外にも服薬指導などの対人業務の重要性が唱えられている。患者から必要な情報を収集して薬物療法を提案するためには、高いコミュニケーション能力が必要になるが、大学内でのコミュニケーション能力教育には限界があり、実務実習までに十分な教育ができない課題があった。
そこで、生成AIの対話技術を用いて、患者役を手配する人的負担や時間をなくした自己学習システムを構築。同システムは、4年生前期の「薬物治療マネジメント」科目で、システムの有効性を確認する目的も含め活用を開始する。
「薬物治療マネジメント」は、1~3年までの学びを臨床現場の「症例」の上で再構築し、薬物治療の問題抽出と解決能力、薬物治療の実践的能力の醸成を目的とした科目。複数教員が症例に関する基礎講義や演習を担当し、学生は提示された症例をもとに、1週間をかけて最適な薬物療法をグループで検討する。
これまでは、はじめに提示した同じ情報のみで検討していたが、同システムを活用することで、患者情報や文字で表現が難しい患者の想いが確認できるようになる。
2021年の開発当初は、4年生を対象とした実習で一定の効果は見られたものの、AI患者との対話が画一的になり、繰り返しの実施や汎用性に課題があった。しかし、近年のAI技術の発達によってリアルな会話が可能となり、様々なシーンでの活用や学習効果の向上が見込まれるようになった。講義以外にも、薬学共用試験(OSCE)前などの自己学習での活用も検討しているという。
同システムは、①シナリオ ②患者のパーソナルデータ ③フィードバック項目の3つが設定される。ユーザーの発話をAI (ChatGPT) が音声認識しテキスト化され、AIが返答をテキストで出力。出力された返答を動画生成AI (HeyGen) によって自動音声でユーザーに返答する。
音声に反応してAIキャラクターもリップシンクするため、よりリアルな対話体験が可能になる。会話が終了後、フィードバック画面が表示され、各項目の評価と総合評価、良い点や改善点が示されるという。
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