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2025年9月18日

世界の子どもと保護者は「AIがあっても計算力は必要」が多数派 =スプリックス教育財団調べ=

スプリックス教育財団は17日、日本をはじめとした世界8カ国の小学4年生および中学2年生相当の子どもと、その保護者を対象に実施した、「基礎学力と学習の意識に関する保護者・子ども国際調査2025」の初回報告を公表した。

同調査は、「現代の子どもや保護者は基礎学力をどのように捉えているのか」「その認識は実際の基礎学力とどう結びついているのか」を明らかにするのが目的で、基礎学力の中でも特に算数・数学の土台となる計算力に焦点を当てており、保護者・子どもへの意識調査に加え、子どもたちの実際の計算力も測定した。

それによると、生成AIがあっても「基本的な計算力」は現代の子ども達にとって必要かどうかについて、小4生とその保護者に尋ねたところアメリカ、イギリス、南アフリカ、中国の4カ国では、保護者・子ども両方で8割以上が「必要」と回答した。

一方、日本では子どもが約75%とやや低めで、フランスでは保護者・子どもどちらも8割を下回り、必要性を感じている人の割合が比較的低い結果となった。国ごとに多少の違いはあるものの、「生成AIがあっても基本的な計算力は必要」と考える人は、すべての国で過半数を占めた。

保護者と子どもの意識の差に着目すると、ネパールを除いた7カ国で、保護者のほうが子どもに比べより強く計算力の必要性を感じている傾向が確認された。特に日本では、この差は統計的に有意であることが示された。

この結果は、世代間の差によるものとも考えられるが、保護者が自身の学習経験や社会経験を通じて、基礎的な力の重要性を実感していることが影響している可能性もある。

また、子どもに「計算に自信があるかどうか」を尋ねたところ、世界7カ国と日本の両方で、「計算に自信がある」と回答した子どもでは、80%以上が「計算力は必要」と答えた。さらに、この割合は、自信の程度が下がるにつれて徐々に低下し、「そう思わない(=自信がない)」と回答した子どもでは60%程度にとどまった。

つまり、計算に対する自信が低いほど、「生成AIがあれば計算力は不要」と考える傾向が強まることが明らかになった。自信のなさが、「AIに任せればよい」という受け身の考え方につながり、自ら計算する意欲を弱めている可能性が示唆された。さらに、この傾向は日本と、7カ国の平均値を示した世界データの双方でおおむね共通して見られ、一定の一貫性が確認された。

次に、子どもの計算に対する自己評価と計算テストの成績との関係を調べたところ、自己評価が高いほど平均正答率が高く、自信と計算力には一定の相関関係があることが分った。自信がないと回答した子どもは正答率も低く、自信のなさが計算力の低さと結びついている傾向が見られた。

日本でも同様の傾向が確認され、世界と日本の双方で一貫して同じ傾向が示されたが、この結果は、自信のなさが単なる主観的感情ではなく、実際の計算力不足と関係している可能性を示している。

最後に、子どもを勉強に向かわせる勉強の動機づけについて検証したところ、世界全体では、すべての項目で肯定的な回答が8割を超えた。特に「テストで成績が上がる」や「短い課題を最後までやり遂げる」といった成果や達成感に直結する項目が高く、教員や保護者にほめられることと同じか、それ以上に強い動機になっていることが分った。つまり、励ましの言葉と同様に、テストの結果や勉強の達成感も子どもにとって大きな意味を持つことを意味する。

日本に注目すると、世界と同様に「テストで成績が上がる」や「短い課題を最後までやり遂げる」といった成果や達成感が強い動機になっていたが、特徴的なのは、教員からほめられるよりも保護者からほめられるほうが、子どもの勉強意欲と結びつきやすい点。日本の小4生は、保護者による学習への関わりやフィードバックが、子どもの意欲形成において重要な役割を果たしている可能性が示唆された。

日本の小4生にとっては、①保護者からの具体的な評価や承認と、②テストや課題を通じて得られる成果・達成感の2つが、ともに勉強意欲を支える大きな要因であることが明らかになった。

この調査は、世界8カ国の小4生および中2生相当の子どもと、その保護者(対応関係あり)を対象に、2025年4月~7月にかけて、インターネットパネル調査と調査参加校の教室および自宅での実施という形で実施した。8カ国のうち、日本での有効回答数は「小4子ども」373人(6校)、「小4保護者」235人、「中2子ども」94人(1校)、「中2保護者」48人。

調査結果の詳細

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スプリックス教育財団

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