2026年4月9日
算数の勉強、日本の小4生は「悩みは少ない」が家庭環境で差が=スプリックス教育財団「世界6カ国調査」=
スプリックス教育財団は8日、世界6カ国(アメリカ、イギリス、フランス、南アフリカ、中国、日本)の小学4年生合計1700組を対象に実施した、「基礎学力と学習の意識に関する保護者・子ども国際調査2025」の結果をまとめ発表した。
それによると、算数の勉強に関して、パネル5カ国(アメリカ、イギリス、フランス、南アフリカ、中国)の小4生は、「覚えなければいけないことが多すぎる」との回答が最も多く、半数近く(48.9%)を占めた。次いで「分からない点を解消する方法が分からない」「上手な勉強の方法が分からない」が多く、暗記量の負担感や不明点の解決法、勉強法に課題が特に大きいと感じていることが分かった。
一方、日本はパネル5カ国に比べて、算数の勉強に悩む子どもが少ない傾向で、特に「何のために勉強しているのか分からない」といった目的の不明瞭さを抱える小学生はわずか6.2%。多くの日本の小学生は勉強の目的を把握しているが、30.2%(同率)が「覚えなければいけないことが多すぎる」「上手な勉強の方法が分からない」を算数の勉強における課題として回答。日本の小学生は、暗記量の負担感や勉強法に課題を感じる傾向が示された。

図2:算数の勉強で抱える課題と計算力の関係(小学4年生) 計算力層は、計算テストの正答率が高い順に国別学年別に高位・中位・低位の3層に分類。(a)パネル5か国(アメリカ、イギリス、フランス、南アフリカ、中国)、(b)日本。
では、実際に計算力向上の妨げになっている課題はあるのだろうか。計算テストの成績と比較したところ、パネル5カ国では、計算力高位の肯定率を低位の肯定率が上回り、計算力層による差が統計的に有意で、計算力が低い層ほど課題を感じていると言える。計算力層による差が最も大きかった課題は、「分からない点を解消する方法が分からない」で、不明点の解決法を獲得していることが計算力向上に重要であることが示唆された。
一方日本でも、計算力高位よりも低位のほうが課題を感じている傾向にあり、パネル5カ国と比べると計算力高位と低位での肯定率の差が大きい傾向がみられた。日本は、パネル5カ国以上に計算力層が低い層ほど課題を感じている可能性がある。なお、計算力層による差が最も大きい課題は「覚えなければいけないことが多すぎる」で、日本では、暗記量の負担感の克服が、計算力向上に重要であることが示唆された。

図3:算数の勉強で抱える課題とSES(家庭の社会経済的背景)の関係:パネル5か国と日本(小学4年生) SES層は「世帯年収」「教育費」「保護者の大卒率」「家庭の本の数」を国別学年別に統合・正規化した合成指標により高・中・低の3層に分類。パネル5か国はアメリカ、イギリス、フランス、南アフリカ、中国。
では、低SES層はどのような壁に直面しているのか。算数の勉強で抱える課題への回答割合を、SES(家庭の社会経済的背景)の階層別に比較したところ、パネル5カ国では、いずれの設問でもSES層による差が10%pt以内に留まり、SES層による差は計算力層別の差よりも小さい傾向。SES層による差が最も大きかった課題は「覚えなければいけないことが多すぎる」で、暗記量の負担感を課題にする子どもは、低SESほど多い傾向だ。
一方、日本では、SESが高い層と低い層で肯定率の差が15%pt程度開く設問もあり、パネル5カ国と比べて家庭の社会経済的背景が算数の勉強への課題感に影響している可能性が示された。
日本の特徴としては、高SES層における課題感の低さがある。高SES層では、いずれの設問でも課題があるという回答がパネル5カ国を下回っており、特に「覚えなければいけないことが多すぎる」「何のために勉強しているのか分からない」と日本の高SES層が回答した割合は、パネル5カ国の高SES層と比べて半分以下に抑えられている。
これは、日本の高SES層では、算数を単なる暗記科目と捉えないような本質的な理解を促す経験や、算数の勉強と将来の目標の関連を意識する機会が得られている可能性を示唆している。だがその反面、日本の低SES層では依然として「覚えなければいけないことが多すぎる」「上手な勉強法が分からない」といった課題を持ったままになっている。
調査結果から、日本国内では家庭環境の差が計算力向上の「大きな壁」になっていることが浮き彫りになった。高SES層の子どもたちは、学外教育や私立学校、家庭内でのサポートを通じて「主体的な深い学び」や「個別最適なサポート」を得て、こうした壁を克服している可能性がある。
SESによる学力格差を克服するために、中SES層・低SES層の子ども達に対しても公教育などの家庭外から「主体的な深い学び」や「個別最適なサポート」などを提供していく必要があることが示された。
この調査は、アメリカ、イギリス、フランス、南アフリカ、中国(パネル調査:計5カ国)と日本(学校調査)の、小4生・中2生とその保護者を対象に、2025年4月~7月にかけてインターネットや学校および自宅での調査で実施した。有効回答数は、「パネル調査」が合計1500組(各国各学年150組)、「学校調査」が小4約200組。
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