2026年9月10日
「AIがあるから英語はいらない」時代でも、子どもの英語学習費を減らす保護者は2.4%。増やすはその8倍 =EnglishHub調べ=
GRASグループは8日、英語学習情報サイト「EnglishHub」で、小中高生の子どもと同居する保護者210名を対象に実施したAI翻訳の進化と子どもの英語学習に関する調査の結果を公開した。

それによると、「AIの進化が著しい今、お子さまの英語学習にかける費用や時間をどうしたいですか」と尋ねたところ、「減らす」と答えたのは2.4%(5名)にとどまった。最多は「変えない」66.2%で、「増やす」は19.5%。増やすと答えた保護者は、減らすと答えた保護者の8.2倍にのぼる。

「もともとかけていない」と答えた25名を除き、すでに英語学習に費用や時間をかけている家庭185名に限って集計しても、「減らす」は2.7%。AI翻訳の進化は、少なくとも現時点では家庭の英語教育支出を引き下げる方向には働いていない。

次に、「増やす」と答えた割合を子どもの学校段階別に見ると、中学生の保護者が37.5%と突出していた。小学1~3年生21.2%、高校生14.0%、小学4~6年生4.3%と続いた。
投資判断を左右しているのはAI翻訳の進化ではなく、高校受験の近さだった。AIをめぐる環境変化よりも、従来からの受験というスケジュールのほうが、家庭の支出判断に強く効いていることがうかがえる。

次に、「AIを知らないから減らさないのではないか」という見方もありえる。そこで、保護者自身が生成AI(ChatGPTなど)を「ほぼ毎日使う」と答えた85名に限って集計した。結果は「増やす」23.5%、「変えない」62.4%、「減らす」4.7%(4名)。全体との差は統計的に有意ではなかった。AIを日常的に使いこなしている保護者ほど英語学習を切り捨てる、という傾向は確認できなかった。

次に、支出の判断は動いていない一方で、認識のほうは動いている。「AI翻訳の進化によって、英語を学ぶ意味は変わったと思いますか」という問いには、「大きく変わった」6.2%と「やや変わった」43.3%を合わせて49.5%が「変わった」と回答。「変わっていない」50.5%とほぼ半々に割れた。英語を学ぶこと自体はやめないが、その意味は捉え直されつつある。この調査で見えたのは、そうした状況。

次に、「お子さまから『AIの翻訳があるから、英語の勉強はしなくていいよね』と言われたら、あなたはどう答えると思いますか」の問いには、79.5%が「英語の勉強は必要だと伝える」と回答した。「一理あると思うが、うまく答えられず言葉に詰まる」は12.9%、「子ども自身の判断に任せる」は7.1%、「無理に勉強しなくてもよいと伝える」は0.5%(1名)だった。

次に、「AI翻訳があれば『自分で英語ができなくてもよい』と思う場面はどれですか」と複数選択で尋ねたところ、上位は「海外旅行での買い物・移動」52.9%と「仕事のメール・文書作成」48.1%だった。一方で「仕事の商談・会議」は8.6%、「海外の人との日常的な雑談」は20.0%と低く、同じ「仕事」「海外旅行」というくくりの中で大きな差が生じている。

注目すべきは、「海外旅行での買い物」52.9%と「仕事のメール」48.1%のあいだには統計的な差がなかった点。つまり、仕事か遊びかという区別では説明できない。
買い物も商談も雑談も、いずれも相手と対面してその場でやり取りする場面。それでも買い物だけがAIに任されている。両者を分けているのは、話す内容があらかじめ決まっているかどうかだった。「これをください」「いくらですか」で完結する会話は機械に渡せる。次に何を言うかが決まっていない会話は渡せない。保護者が引いていた線は、リアルタイムかどうかではなく、用件が定型かどうかだった。

次に、「AIがあっても、自分で英語ができたほうがよい」と思う理由を複数選択で尋ねたところ、1位は「とっさの会話ではAIが間に合わないから」69.5%、2位は「相手に自分の言葉で気持ちを伝えたいから」54.3%だった。
「受験で必要だから」42.9%、「就職で有利になるから」36.2%といった実利的な理由は、いずれもこの2つを下回っている。保護者が英語に見出している価値の中心は、点数や資格ではなく、その場で相手とやり取りする力にあった。

次に、挙げた理由のタイプによって、保護者の態度に差が出た。「とっさの会話」「自分の言葉で気持ちを」といったやり取り系の理由を挙げた保護者と、「受験」「就職」といった実利系の理由を挙げた保護者に分けて集計。
子どもに「英語の勉強は必要だと伝える」と答えた割合は、やり取り系の理由だけを挙げた保護者で85.5%、両方を挙げた保護者で82.2%だったのに対し、受験・就職だけを挙げた保護者では57.7%にとどまった。受験・就職だけを挙げた層とそれ以外を比較すると、57.7%対82.6%で有意な差があった。
費用や時間を「増やす」と答えた割合も、受験・就職だけを挙げた層では7.7%と、両方を挙げた層の27.8%を大きく下回っている。
具体的な見返りを理由に挙げている保護者のほうが英語に前向きだろう、という予想とは逆の結果。英語を学ぶ理由を受験や就職でしか説明できない場合、AIがその実利を肩代わりした瞬間に理由が消えてしまう。理由を対人的なところに置いている家庭ほど、AIが進化しても揺れていないという構図が見えた。
調査概要
調査名:AI翻訳と子どもの英語学習に関する調査
調査主体:EnglishHub(GRAS Group)
調査方法:インターネットによるアンケート調査(ランサーズ)
調査対象:小学生・中学生・高校生の子どもと同居する保護者
有効回答数:210名
調査時期:2026年8月
回答者の内訳:女性55.7%/男性42.9%/上記以外・答えたくない1.4%。年代は40代50.5%、30代23.3%、50代22.9%、10・20代2.4%、60代以上1.0%
※構成比は小数第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合がある。
※複数選択の設問については、合計が100%を超える。
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