2018年7月6日
スイミー使い文科省「小学校プログラミング教育の手引き」C-②の国語授業
相模原市教育委員会は3日、今年3月に文部科学省が公表した「小学校プログラミング教育の手引き(第一版)」のC-②に該当するプログラミング授業を市立南大野小学校の2年国語「スイミー」で実施した。
「小学校プログラミング教育の手引(第一版)」は、新小学校学習指導要領におけるプログラミング教育の必修化を踏まえ、プログラミング教育の基本的な考え方や、各教科等の目標や内容を踏まえた指導等についてわかりやすく解説したもの。
C-②とは、「小学校段階のプログラミングに関する学習段階の分類」におけるA「学習指導要領に例示されている単元等で実施するもの」、B「学習指導要領に例示されてはいないが、学習指導要領に示される各教科等の内容を指導する中で実施するもの」、C「各学校の裁量により実施するもの」、のCの②ということ。
手引きにはこうある。「C-② 各教科等の学習を基に、プログラミングを通して表現したいものを表現する学習を展開する例。例えば、国語科において物語を読む学習をした後、学校の裁量で時間を確保し、物語の中から好きな場面を選び、その場面のアニメーションを作成することなどが考えられます。」
今回の授業はこの例に沿ったもので、2年4組で西岡裕太教諭が行う国語、単元名は、物語教材「スイミー」。本単元では、人物の行動や場面の様子などについて、想像を広げながら読むことによって、感想を書くことことが出来るようになることを目指す。
単元の流れとしては、教材文を読み~感想文を書き~物語の続きを考えて~ビスケットでアニメーションを制作して~発表する、というもの。
単元計画、学習のめあては下記の内容。
1時間:人物のしたことや言ったことに気をつけてお話を読み、感想を書こう
2時間:スイミーのことを紹介しよう
3・4時間:スイミーのしたことや言ったことに気をつけてお話を読み、スイミーに言ってあげたいことを考えよう①
補足・「マグロがすごい速さでミサイルみたいにつっこんできた」アニメーションでとらえる(ビスケット使用)→児童がやりたくなる
5・6時間:スイミーのしたことや言ったことに気をつけてお話を読み、スイミーに言ってあげたいことを考えよう②
「虹色のゼリーのようなくらげ」など海の生き物の写真を見せてとらえさせる→児童が想像を広げる
7・8時間:スイミーを読んだ感想を書こう
9時間:スイミーを読んだ感想を交換して読み合おう
10時間:たとえを表す言葉を使って、様子を表す言葉を書こう
11時間:お気に入りの場面をアニメーションで表現し、感想を発表しよう【プログラミング PC】
12時間:物語に続きを考え、絵や文にまとめよう
13時間:物語の続きをアニメーションで作って、感想を伝えよう【プログラミング PC】
本時は13時間目。物語の続きを考えた絵と文を元にビスケットでアニメーションを作成する。西岡教諭が用意した「いろいろな魚」や「くらげ」、「海草」などを配置したり動かしたりして「続きのお話」をアニメーションにする。
例えば、こんなお話「大きなお魚をおいだしたあとに、みんなであそんでたのしくまたくらしました。そのあと、わかめやこんぶでかくれんぼしてあそびました。スイミーはあまり見つかりませんでした。つぎのあさ、水中ブルドーザーのいせえびのともだちができました。いっしょにおにごっこをしました。たのしくくらしました」。
当初の授業プランでは、西岡教諭が用意したパーツだけを使用する予定だったが、子どもたちのビスケットを使いこなすスピードが速く、自分で描いたパーツも加えられるようにすると、子どのたちの想像力は一層の拡がりをみせ、様々なキャラクターを生み出し、動きも多彩になった。
出来上がったアニメーションをペア同士で見せ合い、他の児童の作品の感想を書く。
「____さんのアニメーションは、_____と思います。
どうしてかというと文のなかの_____________だからです」
の空欄を埋めるもの。
「凄いと思います」「冒険してると思います」「スピードが速いと思います」「楽しそうだと思います」など、感想はすぐに思いつくのだろうが、つぎの「どうしてかというと」で多くの児童の手が止まった。理由を書く。大人の世界でいうところの「エビデンス(根拠)」を示すということ。プログラミングを使ったアニメーション制作に加え、論理的に考えることや文章化することも求められる。それでも子どもたちは、自分なりの理由を見つけて感想文をまとめていく。
授業終了後、子どもたちに「プログラミングやってみてどうだった」と感想を聞くと、西岡教諭から「子どもたちには“アニメーション”って言っているんですよ」という説明があったが、子どもから「プログラミングだよね」と声がかかった。お話を作るのも、絵を描くのも、動きをつけるのも、発表も、とにかく「楽しい」という声が圧倒的だった。
子どもたちの反応や進化で授業の深度も変わっていく。教師が一方的に教えるだけの授業ではなく、教師と子どもたちが一緒に学びを創っていく授業。そんな日が来ることを想像させるプログラミング活用授業だった。
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