2022年10月18日
続・iPadではじめる!先生のためのICT入門講座 【第17回】ICTで教員間コミュニケーション
【第17回】犬塚 孝一先生(東海大学付属相模高等学校・中等部)
情報共有のデジタル化!ICTで教員間コミュニケーション
「わが校でも今年から1人1台のタブレット端末を導入します」突然の発表に驚いたのもつかの間、教員用ということで1台のiPadが配布されました。「急に言われても、いったい何からはじめていいのかさっぱり・・・」。本連載では、そんな困った状況におかれた先生たちのために、学校でタブレット端末を使うためのポイントを解説。iPadを活用した学びを実践している先生たちの活用事例をもとに、ICTが苦手な先生でも取り組める具体的な活用方法をご紹介します。
情報共有をデジタル化すると「働き方」が変わる?
コロナ禍をきっかけに多くの企業でコミュニケーションの方法が見直されるようになりました。学校においても、オンラインのコミュニケーションツールを導入した学校が数多く見られます。一方で、緊急事態宣言下にあっても電話や郵送に頼らざるを得なかった学校もあり、その差は大きく広がりました。
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情報共有のデジタル化が「働き方改革」の鍵に
また、生徒・保護者とのコミュニケーションだけでなく、教員間のやりとりにもICTを使おうという動きが活性化しています。逆に言えば、早期にICT導入を実現した学校において、まず教員間の情報共有をデジタル化した学校ほど、授業におけるICT活用もうまく浸透しているという傾向にあります。
昨今、何かと話題になることの多い「教員の働き方改革」においても、ICTの積極活用、特に情報共有のデジタル化は大きな鍵となります。そこで今回は、生徒・教職員間における情報共有のデジタル化を推進し、効果を上げている東海大学付属相模高等学校・中等部の犬塚孝一先生にお話を伺いました。
教員間の連絡・会議の完全ペーパレス化を実現!
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学校生活のあらゆるシーンでICTを積極活用
東海大学付属相模高等学校・中等部は、東海大学付属校として1963年に創立された中高一貫校です。 2016年度からICT環境の整備をスタートし、2018年度の入学生より「BYAD方式」で1人1台のiPadを導入。全教室にWi-Fiが整備されており、Apple TVや短焦点プロジェクターも常設されています。
中等部では「Google Workspace」や「Classi」を情報共有のプラットフォームとして活用。授業や学習面での活用はもちろん、学校生活におけるさまざまな場面でICTを積極的に取り入れています。教員間の連絡・情報共有や会議は完全にペーパレス化。働き方改善に大いに役立っていると言います。
情報共有をデジタル化するメリットとは?
「Google Classroomは、文章だけでなく、スライドや画像、動画・音声など、さまざまな提出物に対応していて、課題の提出管理や採点・返却が簡単にできます」とその利点を語る犬塚先生。全員参加型で学習表現できる機会をつくる上で、いまや欠かせないツールになっているそうです。
・教育現場をサポートする管理ツールとリソース – Google for Education
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「Google Classroom」が自分の考えを表現する場に
例えば、「Google Classroom」で先生が質問形式のテーマを配信し、生徒はそのテーマに対する回答を提出。他の生徒がどんな回答をしているのか閲覧できます。しかも回答にはコメントの書き込みも可能。「Google Classroom」を使うことで、全員が自分の考えを表現することができます。
また、他の生徒に公開することで、自分の意見に対する客観的な意見を求める機会が得られるのも大きな利点。他者からのコメントを見て、自分の回答を再編集することができ、自らの考えをアップデートしながら学習を進められます。特に、国語や道徳、理科・社会といった教科で有効だと言います。
一方、教員間の連絡・情報共有ツールには「LINE WORKS」が活用されています。「LINE」アプリと使い方は同じなので、誰でも簡単に利用できるのが一番の特長。プライベートの連絡にはLINE」、学校連絡用には「LINE WORKS」とアプリを使い分けられるため、公私の区別もつけやすくなります。
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教員間は「LINE WORKS」で情報を共有
・LINEとつながる唯一のビジネスチャット – LINE WORKS
「LINE WORKS」で情報共有をすることのメリットは、素早く・確実に情報を周知できることだと言います。生徒の遅刻・早退、保健室来室といった情報が即座にクラス担任に伝達されたり、不在の先生に対しても情報共有ができるようになったことで、連絡の行き違いや机上の伝言メモは激減したそうです。
【本日のワーク】「LINE WORKS」を無料で使ってみよう!
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LINE感覚で簡単に使える
「LINE WORKS」
「30名程度であればFreeプランで十分。制限はありますが、概ね必要な機能はすべて使うことができます。学校こそ使ってみる価値は大いにありです」と犬塚先生がおすすめする「LINE WORKS」。スマートフォンやPCからでも利用できますが、今回はiPadのアプリ版を使って試してみたいと思います。
・「LINE WORKS – ビジネスチャット」:App Store
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通知をチェックしたらメンバーを招待しよう
アプリを開いたら、「新規にはじめる」→「無料ではじめる」と進みます。企業・団体について聞かれますので、業種・従業員数から選択してください。100名までは無料で利用可能です。続いて、企業/団体名、氏名と携帯番号を入力して認証します。最後にメールアドレスを入れれば設定完了です。
画面左下に5つのアイコン(アドレス/トーク/掲示板/カレンダー/その他)が並んでいます。「トーク」と「掲示板」のアイコンに通知(赤丸数字)が付いているかと思います、それぞれタップして中身を確認してみましょう。はじめての人向けのマニュアルや使い方を確認することができます。
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メンバー登録されると管理者に通知が届く
続いて、メンバーを招待してみたいと思います。「アドレス帳」の画面に移り、画面右側にある「メンバーを招待」をタップしてください。メンバーを招待する方法はいくつかありますが、目の相手にいる相手にスマートフォンからメンバー登録してもらう場合は「QRコードを表示」がおすすめです。
メンバーが登録されると、管理者に「新しいメンバーが加入しました」という通知が届きます。通知が届いたら、早速メッセージを送ってみましょう。右下の(+)→「トークルーム」からメンバーを選んでトークルームを作成。「LINE」と同じようにメッセージや画像、スタンプを送るだけです。
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未既読のチェックが可能な「掲示板」機能
なお、管理者側であらかじめアカウントを作成して、ID・パスワードを知らせるという方法も可能です。「メンバーを追加」から、氏名やID、パスワードの作成方法(必要に応じて権限設定)を入れるとメンバーが追加されます。まとめてメンバーを登録してメールなどでお知らせすればOKです。
もちろん「LINE」のように複数人のグループでトークしたり、無料通話で話したりといったことも可能。また、全体にお知らせを投稿できる「掲示板」の機能もおすすめです。誰が投稿を見たのか(見ていないのか)の未既読のチェックもできますので、情報伝達の抜け漏れを防ぐことにつながります。
ふだん使いのICTへ!まずは情報共有のデジタル化から
「LINE WORKS」を試してみていかがでしたか。「こんな便利なものが無料で使えるなんて知らなかった」という方も多いと思います。まずは教科会や校務分掌のメンバーで非公式に試してみましょう。ICTは本来、情報共有のための道具。コミュニケーションの手段として日常的にICTを活用していくことこそ、学校でのICT活用を進める一番の近道になるはずです。
【実践者プロフィール】
東海大学付属相模高等学校・中等部
情報管理室・ICT教育推進委員長
犬塚 孝一 先生
中等部所属で担当教科は技術科。ほかにも理科、数学、情報の教員免許を取得しており、さまざまな教科目線でICT活用を考えている。ICT導入当初より、iPad運用から管理、ICT教育全般を担当。また、ICT教育推進委員長として、次世代を担う生徒たちの教育と学校の働き方をより良くするため、学校が新しく取り組むべきICT教育デザインを企画している。
【筆者プロフィール】
教育ICTコンサルタント
小池 幸司
教育現場におけるICTの導入・活用を推進すべく、講演や執筆活動を通じて導入事例やノウハウを発信している。2013年3月にiPad×教育をテーマにした国内初の実践的書籍「iPad教育活用 7つの秘訣」を出版。2020年10月から、YouTubeチャンネル「TDXラジオ」を開設し、「Teacher’s [Shift]〜新しい学びと先生の働き方改革〜」のメインパーソナリティを務める。NPO法人 iTeachers Academy 理事・事務局長。
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