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2025年6月20日

AI型教材「キュビナ」を活用して目指す「個別最適な学び」/東京・町田市教育委員会

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GIGAスクール構想がはじまって5年。ICT環境整備目標である「1人1台情報端末」と「全教室に高速大容量の通信ネットワーク」は、ほぼ達成された。しかし、GIGAスクール構想のICT環境を利用して目指す「誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化され、創造性を育む学び」の実現には、まだまだ多くの課題解決や学校、教員、自治体などの経験値の積み重ねが求められているようだ。

今回は、AI型教材「Qubena(キュビナ)」を活用して「個別最適な学び」の実現を目指す、東京都町田市の取り組みについて、町田市教育委員会 指導課 安本典生 指導主事、町田市立南つくし野小学校 松橋佑果 教諭、町田市立薬師中学校 佐藤佳弘 教諭に話を聞いた。

多摩地域南部に位置する町田市は、人口約43万人、面積は71.8㎢、児童生徒数は約2万9300人、教員数は約1790人、小学校40校、中学校20校という東京郊外の中都市。

町田市の教育目標は、「自ら学び、あなたと学び、ともに創る町田の未来」。学びを通して自らの生きがいを見つけること、他者への理解を深め、学び合うことで自らが望む未来を創造することができる地域社会の構築を目指している。

町田市役所からの市街地・Photo by PIXTA

学び続ける力を育む土台を作るために ~「キュビナ」導入の経緯~

– AI型教材「キュビナ」導入の経緯を教えてください

安本指導主事
町田市の教育目標の実現に向けて、生涯を通して自ら学び続ける力や、課題を見つけて他者と学び合い協力して解決する力を育むことが必要だと考えています。これらの力を育む土台を作るのは学校教育です。そのために、先生が指示する場面をできるだけ減らし、子どもが主体的に学習する場面、自分で見通しを持って計画を立てる、自分で決めた方法で学び、自分で考えるといった場面を増やしていく授業を目指しています。


これらを実現するためには、ICTを最大限活用し、これまで以上に「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を図るとともに、「主体的・対話的で深い学び」の視点でこれまで以上に授業を変えていく必要があると考えています。特に、個別最適な学びを充実させるために、一人ひとりの実態に合った問題を解くことができるAIが搭載された学習ドリルソフトを活用することは、大変効果的であると考えています。

学習ドリルソフトは日々進化しているため、町田市の児童・生徒の実情により合致するソフトがないかを検討する必要があると考えたことが、「キュビナ」導入のきっかけです。

選定に当たっては、学校の意見を十分にヒアリングする必要があると考え、先生方の意見を反映させるため、選定対象ソフトの教員による試用を全校で実施しました。

試用中にチェックしたのは、小学校では、操作のしやすさや正誤判定の精度、問題の質、そして学習意欲を高める工夫などでした。中学校においては、操作のしやすさの他、問題の質・量・バリエーションなどでした。そして、検討した結果、小中学校ともに「キュビナ」が選定されました。結果的に小中学校で同じソフトを導入することになり、小学校での児童の学習履歴を中学校でも引き継ぐことができ、また小学校の学習に立ち戻ることができるなど、小中連携の視点も期待できるようになりました。

-「キュビナ」の活用はどのように進められたのですか

安本指導主事
導入後、教育委員会の取り組みとして、「活用啓発」と「教員研修」を実施しました。

「活用啓発」の取り組みとしては、「キュビナ」の活用目安や活用場面を掲載した教員用リーフレットを作成し、先生方に配布しました。また定期的に「キュビナ」のアップデート情報や研修動画のURLを、オンライン市内学校掲示板に掲載しています。

「教員研修」の取り組みとしては、2024年4月から6月上旬まで市内の全小中学校においてオンサイト形式の「キュビナ導入研修」を実施しました。1学期末には、夏季休業中の課題としての活用をテーマに各学校から1名の先生に参加してもらい、研修を実施しました。2学期には、各学校のICT推進を担当している先生対象に、研修を実施しました。


これらの取り組みによって、「キュビナ」を活用して子供たちが主体的に学ぼうとする姿勢が見られる場面が増えてきました。

失敗を恐れず問題に挑戦していく「トライの精神を育む」 ~町田市立南つくし野小学校~

-南つくし野小学校での「キュビナ」の活用状況を教えてください

松橋教諭
家庭学習では、1年生の2学期は音読計算カード、漢字ドリルで「キュビナ」ワークブックを出しています。ワークブックは担任が問題を選んで配信するものですが、学習にかかる目安や問題数がわかるので、大体10分程度でできるものを作成しています。


全員が取り組んでいるか、またどの問題につまずいたかなどを一覧でチェックすることができるので、<宿題のためのプリントを配布して、次の日回収してスタンプを押して、丸付けをして返却する>ということがカットされ、効率的だと感じています。

全問正解に燃える児童は2、3回と取り組むことができますし、熱心な親御さんは家庭学習に活用しているそうです。基本的には学習の復習として出していますので、本校で採用している教科書の問題から選ぶことが多いですが、応用や学びを広げるために採用教科書にはない問題からも出題することがあります。

1年生の実態として、個々の能力差がとても大きいことがあります。また、多くの配慮が求められる中、あらゆる場面で「キュビナ」が助けとなるツールになっています。

-宿題以外での「キュビナ」の活用方法はありますか

松橋教諭
学習の振り返りとして、授業中の活用も増えてきています。授業のラスト10分、集中が切れているなというところで、子どもたちに「『キュビナ』やるよ」と言うと、「いえーい」と喜びの声が上がります。ツールを変えるというのは効果的です。

「キュビナ」を活用した授業風景

授業中は、一斉に考え方や理解度を確認することが多いです。選択肢のある問題は子どもたちにとってクイズ遊びになるようです。文章問題に苦手意識がある児童も多いので、担任が問題を読み上げて選択肢を伝えます。「キュビナ」で一斉に答えると正解の音が教室に響いて一体感が出ます。

「キュビナ」を始めたばかりの頃は、二つの選択肢の問題ですらわからない、押せないと固まっていた子が何人もいました。「間違えてもいいんだよ」と言っても、恥ずかしいとか、こわいとか、そういった気持ちがあったようです。


今では、失敗を恐れず問題に挑戦していくことができるので、トライアンドエラーとして「トライの精神」がついてきたと感じています。つまずきからの対応を考えていける、子どもたちの思考の特性が把握できる、というところもデジタルの魅力的なところだと感じています。

何事も使い始めは抵抗があるものですが、子供たちはChromebookを使って活動することが本当に大好きです。プリントを配られるよりも何倍もわくわくしながら、「キュビナ」を楽しみながら学んでいます。「キュビナ」は低学年でも有効に活用することができます。

漢字の練習と言語事項活動に「紙は有限、キュビナは無限」 ~町田市立薬師中学校~

-町田市立薬師中学校での「キュビナ」の活用状況を教えてください

佐藤教諭
以前は「キュビナ」のようなものがなかったため、漢字の練習、言語事項の扱いは課題でした。

「キュビナ」は非常に便利だと思っています。具体的には、毎時間の冒頭10分間を「キュビナ」タイムとして必ず漢字の練習にあてています。教科書に準拠しているので、教科書の単元ごとに取り組ませることができます。


「キュビナマネージャー」という教員だけが見られる管理画面で、一人ひとりの正答率をスタディーログとして見ることができますので、生徒たちの取り組みをリアルタイムでも期間を限定して確認できます。だいたい90%ぐらいを超えて定着したかなという時に、漢字の小テストを実施しています。月ごとの取り組み問題数に応じて、主体的な学習態度の観点で、粘り強さという点を評価に加点しています。

-「キュビナ」の活用が始まって生徒にどのような変化が見られますか

佐藤教諭
なんといっても紙ベース時代に比べて漢字に取り組む問題数が桁違いに増えました。1年生3クラス約80人で26万6000問を解いています。3年生は27万7000問です。これはすごい数値に見えますが、学校がある日に毎日解いたとしたら、1人あたり1年生は22問/日、3年生で17問/日くらいです。毎回紙で印刷して解くとなると到底不可能ですが、これがデジタルの力かなと思います。

「量より質」という言葉がありますが、言語事項に関しては「質より量」の方が子どもたちに効果があるようです。平均正答率は1年生が88%、3年生が85%です。学力差が両学年ともあるのですが、だいたい8割から9割はコンスタントにとれるようになっています。


この190人の子どもたちに、アンケートをしてみました。
何よりも手が疲れない、紙に書くより繰り返しやろうという意欲に結びついているようです。自分が解いた問題数が個別にわかりますので、モチベーションが上がるらしく、非常に積極的に取り組んでいます。そしてなんといっても、テストで点が取れるようになったという実感が1年生も3年生もあるようです。

「紙は有限、キュビナは無限」と書いてきた生徒もいます。これがキュビナの実感なのかなと思います。

町田市における「キュビナ」活用 今後の展望

-「キュビナ」の今後の活用について教えて下さい

安本指導主事
2024年度は導入年度ということで、まずは先生方に使ってもらうことを目標に、1年間様々な取り組みを行ってきました。2025年度は児童生徒の学習履歴を元にした「個別最適な学び」の充実を図ることをゴールにしています。


例えば授業中の場面では、個々の学習の状況を教師がリアルタイムで把握することで、問題に躓いている児童生徒に対し、的確に支援することができ、教科等の資質向上に繋がります。

家庭学習の場面では、家庭学習の状況を教師がリアルタイムで把握することで、進んでいない児童生徒に対してどのような指導や支援ができるか検討することができます。
また中学校においては生徒の学習状況について、教科担当と学年教員等で共有することで、より効果的な支援を行うことができると考えています。

これらのことを通して、次の授業中の場面で、つまずきやすい問題について授業で取り上げるなどの取り組みを行うことで、基礎基本が定着し、児童生徒の学習意欲の向上にも繋がると考えています。

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町田市教育委員会

「キュビナ」

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