2016年8月5日
小学校のプログラミング学習「松田メソッド」を教師が学ぶ
2020年に小学校での必修化が予定されている、いま話題のプログラミング学習。それも、総合的な学習の時間だけでなく他の教科の中でもやるとなれば、小学校教師の誰もが何らかの形でプログラミングを授業に取り入れなければならない。
プログラミングに関心の高い教師ほど、不安や疑問に溢れていることだろう。
プログラミングには興味があるが、具体的になにをどうすれよいか分からない、という教師のために、フューチャーインスティテュートは4日、小金井市立前原小学校の松田 孝校長と一緒に、教師がプログラミング授業を学ぶイベント「先生のための“プログラミング研修講座” ~2学期から始めるプログラミング学習~」を開催した。
プログラミング模擬授業に先立って松田校長は、「いま教育界で話題のワードは“アクティブ・ラーニング”。その対極にあるのがプログラミングだと思われているようだが、プログラミング学習は“アクティブ・ラーニング”にとても近い。プログラミング学習を進めていくと、子どもたちの学ぶ意欲が高まり、教え合い、学び合い、話し合いが自然におこなわれるようになる。あとは、ファシリテーターとしての教師が、遅れそうな子どもをフォローしたり、独創的な作品や興味深い取り組みを取り上げて紹介したり、学習意欲を盛り上げていけば良い」と、プログラミング=一人学習という旧来のイメージの払拭を求めた。
プログラミング授業の実践では、松田校長が前原小学校で取り組む年間20時間のプログラミングカリキュラムのうち、1学期に実践した6時間分のビジュアルプログラミング言語、「Scratch(スクラッチ)」、「Tickle」、「Houe of Code」、「Viscuit(ビスケット)」をダイジェストで実施した。
参加した教師たちは、学ぶ側の立場と教える側の立場を認識しながら取り組んでいたが、分からないことは手を挙げ、教え合い、見せ合い、子どもたちの授業と同じ風景が展開した。
参加者がプログラミングに熱中して松田校長の声が届いていないとみると、「はい、みなさん手を止めてください。私の話を訊いてください。手は膝の上」と、子どもたちと同じ対応。「いいですか。プログラミング学習で一番大切なのは、子どもたちにルールやマナーを守らせることです。実際の授業でも、子どもたちに『先生の言うことを必ず聞くと約束できますか』と確約をとってから始めています。プログラミングは楽しい、どんどんやりたくなります。でも、授業を教師がコントロール出来なければ学びになりません」と指導した。
午後からは、50カ国以上で利用されている子ども向けソーシャルメディアサービス「Creatubbles」(クリエイタブルズ)のCEO兼共同創業者であるポール・グリーンバーグ氏とのフューチャーインスティテュートの為田裕行代表のワークショップ。
ストローを使った工作ツール「Strawbees」で立体の作品を作り、プログラミングツール「Quirkbot」を使って動かしたり、コマ撮りが簡単にできるカメラツール「HUE Animation」で撮影。
最後にその作品を、「Creatubbles」にアップして、全員で作品鑑賞というもの。
午前中の授業では、松田校長から「グループで話し合って」、「他の人とコミュニケーションして」と盛んに発破をかけられていた参加者だが、午後3時間のワークショップでは、アイデアの出し合い、見せ合い、話し合い、協働作業、発表まで休憩時間中も作業が続くほど熱気で発表では次々に歓声が挙がり、「アクティブ・ラーニング」と呼んでいいSTEM&プログラミング授業が展開された。
最後に、プログラミング学習「松田メソッド」の真骨頂ともいえる、ビジュアルプログラミング言語やロボットプログラミングの年代別の使い分けや、年間カリキュラムが伝授されセミナーは幕を閉じた。
21世紀に相応しいICTを活用した教育の普及は、教師の能力向上に負うところが大きいと文部科学省でも指摘しており、とくに新しく始まるプログラミング教育はその象徴とも言えるものだ。今回のセミナーは、個人参加で有料にもかかわらず満席となった。全国の教育委員会や私学の経営者は是非、教師たちにこうしたチャンスと提供して欲しい。
その先に、子どもたちの笑顔と未来が待っているのだから。
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