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2017年2月13日

東洋大、「電子書籍の普及とアクセシビリティ」シンポの内容公開

東洋大学は10日、電子書籍の音声読み上げや文字拡大などのアクセシビリティ機能について総合的に研究した国内初の書籍「電子書籍アクセシビリティの研究」の出版を記念して1月30日に開催したシンポジウムの内容を公開した。

シンポジウムでは、国連障害者権利委員で内閣府障害者政策委員長を務める静岡県立大学の石川准教授が、書籍発行の背景として、障害者権利条約や障害者基本法、そして2016年4月に施行された障害者差別解消法について説明。

石川教授は、現状には情報アクセシビリティ政策の根拠となる個別法がないことを指摘したうえで、ウェブサイトやテレビ放送でのガイドラインを事例として紹介。点字やボランティア、電子図書館、OCRなど、これまでの視覚障害者の読書実態から電子書籍アクセシビリティの現状について報告した。

また、東洋大副学長で(一社)電子出版制作・流通協議会アクセシビリティ特別委員長を務める松原聡教授が、同書籍のアクセシビリティの特長について報告。

執筆後に行ったiOS(バージョン10.0.2)の支援機能であるVoice Overを使った音声読み上げテストでは、書籍全体で69種類・約400箇所の誤読が発生し、それらの用語・表現を言い換えることで誤読の件数をほぼゼロにすることを実現。読み上げを行う音声エンジンの性能向上と合わせて、執筆、編集の立場から可能となるアプローチを試みたことを、誤読や修正の事例を交えて報告した。

シンポジウムの第二部では、障害者雇用を行っているNTTクラルティ営業部アクセシビリティ推進室の小高公聡氏、図書館総合研究所特別顧問で立命館大学人間科学研究所客員研究員の植村要氏らも加わったパネルディスカッションで、電子書籍アクセシビリティの実現に向けた意見が交わされた。

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