2019年2月1日
上越教育大付属中、iPadで作るデジタルポートフォリオ
【PR】探し続ける 私たちの学び方 〜MetaMoJi ClassRoomで記録する内容や方法を生徒が選択できる〜
当校では,H29年度より全校生徒一人一台iPadの環境整備が整い,挑戦的な利活用方法を検討し,推進してきました。各教科の授業では,記録保存や反復練習など個人で使用するだけでなく,協働的な学習活動の中で情報を共有したり個や集団の思考を俯瞰したりする方法などを生徒が選択して自由に使えるよう,支援しています。今回は,MetaMoJi ClassRoomを使い,デジタルポートフォリオに集積する活動の例を紹介します。
社会科:地図をリアルタイム共有して同時編集する(教諭 岩野 学)
2年生「身近な地域における持続可能な公共交通を提案しよう」という単元で, ClassRoomを用いて,地図にクラス全体でバスの路線図を書き込む作業を行いました。身近な地域の公共交通について,路線バスの実態を把握するために,生徒に路線バスの時刻表が配付されました。大半の生徒は,自分の住む地域の他には,学校,駅,ショッピングセンターなどのランドマークとなる施設周辺のことしか知らず,バス停の地名もほとんど知りません。
バス停を結んでバス路線を地図上に表そうとしても,地名を調べる作業,地図上からその場所を探す作業,地図に路線を書き込む作業,一人で取り組むと効率がよくありません。そこで,4人グループを編制し,これらの役割に分担して取り組みました。そして,路線を書き込む地図はClassRoomを用いてクラス全体で共有し,共同編集しました。編集している様子は手元のタブレット端末だけでなく,教室のIWBにも表示しました。
全10グループで作業を進めていくと,地図上に10本のバス路線が次々に示されていきます。教室のIWBに表示された地図に,何本も線が重なる場所が表れたり,循環する線が表れたりします。この作業を通じて,自分たちの住む地域の空間的な広さを認識するとともに,その中でバスが通る地域がかなり限定されていることに気付きました。また,同じ地点を違う路線のバスが何度も通る一方,ほとんど通らない地域が多いことなどにも気付きました。
一人で行うよりも圧倒的に効率的な作業になるだけでなく,同時的に情報を共有できました。一人の作業では気付かない視点も,グループで作業を進めていると,何気ない会話の中から大切な発見が生まれることもあります。早く終わったグループは,他の路線を追加したり,路線の本数や時間帯,利用者数のグラフを追加したりすることなどができました。こうして,公共交通の実態を1枚の地図に表現することができました。
以上のような作業を紙の地図で行うと,鉛筆での下書きとペンでの清書をしたり,修正に手間取ったりするなど,本来のねらいとは別のことで多くの時間を費やしてしまいます。また,グループで作業したとしても,グループ間の情報を共有して1枚の地図にするには,さらに一手間も二手間も掛かってしまいます。かといって,作業自体を省略し完成した情報だけを与えると,新しい気付きや発見は生まれにくくなります。MetaMoJi ClassRoomで,作業の中で生まれる学びが非常に効率的になりました。
美術科:取材したことをみんなで共有する(教諭 寺田 寛)
2年生「サイン計画とピクトグラム」の学習の導入において,学校近隣の公園に出掛け,どのようなサインが,どのようなところに,どのように設置されているかを取材する活動を位置付けました。取材には,紙版の公園地図に加え, ClassRoomを用いて作成したデジタル版の公園地図を用意しました。
当初,生徒にとっては,慣れた紙版の公園地図の方が現地での取材をしやすいと考えたのですが,iPadで撮影した写真をその場で地図に配置することができると考えたためです。また,短時間の取材では,広範囲にわたる公園の一部しか取材することができず,グループごとに取材した内容を後々学級全体で共有するためには,あらかじめデジタルにしておいた方が短時間で共有できるのではないかという期待もありました。
生徒は,公園に出かけると,さまざまなサインに関心を示し,iPadで撮影をしました。また,どのような役割をもっているのか,どのくらいの頻度で設置されているのかをグループの仲間と話し合いました。多くのグループでは,撮影と記録を分担し,紙版の公園地図にメモを書き込みながら取材を進めましたが,中には撮影したサインをその場でデジタル版の公園地図に配置する生徒もいました。
教室に戻り,取材した内容を共有しました。ここではデジタル版の公園地図を用い, ClassRoomを用いて学級全体で1枚の地図に取材した内容をまとめることにしました。2500倍まで拡大できるMetaMoJi ClassRoomでは,写真を縮小して小さく配置したり,小さな文字でメモ書きを追加したりすることができます。その結果,紙面でまとめるよりも多くの情報を地図上に配置して共有することができました。また,自分たちが取材できなかった範囲の情報を知ることもでき,期待どおり,短時間で多くの情報を得ることができました。さらに,同じサインについて取材していても,役割や色,設置数など,取材した人によって視点が異なり,記されたメモ書きを見ながら生徒は別の視点をもったり,新たな気付きを生み出したりしたようです。
学級全体で取材内容を共有した後,公園地図を複製し,各グループで役割や色使いなどを視点に仲間分けをするなど,取材した情報の分析に活用することもできました。サイン計画の立案やピクトグラムの制作に向けて,生徒は,最も大切な,サインの役割について理解を深めるとともに,どのようなサインを設置することで公園を使いやすく,魅力的にすることができるかなど,構想を練ることができました。短時間で多くの仲間と情報を共有し,用途に即してデータを簡単に複製して用いることができるというデジタルならではのメリットを改めて実感することができました。当校で生徒が使用しているiPadはWi-Fi接続の端末であるため,別の場所にいる仲間と,即時に情報を共有するということはできませんでしたが,今後の実践に向け,手応えと可能性を感じています。
理科:単元のまとめとして,1枚ポートフォリオを作成する(教諭 大崎 貢)
理科では,それぞれの単元の終末に,各自で1枚ポートフォリオを作成し,学びを振り返ったり,単元を通して見方や考え方がどう変化したのかを記録したりしています。例えば,3年生「自然環境のミカタ! Stage.3 〜生物同士の贈り与る関係性〜」では,これまでの学習で蓄積してきた観察・実験結果や進捗状況の記録を分類して整理し,1枚ポートフォリオにまとめる活動でClassRoomを使用しました。
これまでのように紙で1枚ポートフォリオを作成していたときには,単元の終末になるとノートやレポート用紙を見直し,これまで蓄積した実験データを転記したり,図やグラフを書いたりするために膨大な時間が必要でした。しかし,今回は,単元の初めに1枚ポートフォリオの作成にはClassRoomを使うことが伝えられ,そのためのフレームが配付されると,生徒たちは小単元が終わるごとに,データを共有したりメモを保存したりするなど,作成準備の効率化への工夫がたくさん見られました。
他にも,観察・実験などの活動の中で撮影した画像や動画を保存するときには,#(ハッシュタグ)を付けて,複数の視点でラベリングして分類しています。そうすることで,その画像を分類した意図を自分自身が意識できるだけでなく,画像をクラス全体で共有したときに他の人にも意図や視点を伝えることができます。これらの画像データをそのまま貼り付けることができることもメリットであると考えます。
また,3年生「運動とエネルギー 〜ライダーキックはなぜ高いところから放つのか〜」では,生徒が課題解決のために撮影した実験動画を自分たちで編集し,Googleドライブに保存しました。生徒は,この動画も1枚ポートフォリオに貼り付けたいと考え, Googleドライブのリンクを挿入することで,PDFに変換したシート上をタップして実験動画を閲覧できるような1枚ポートフォリオを作成することができました。
さらに,各自で作成した1枚ポートフォリオは,PDFに変換してGoogle Classroomの課題に提出することによって,Googleドライブ上で簡便に集積することができます。教師が,このフォルダに限定共有を設定してから配信することで,校内の生徒同士のみが閲覧したり,コメントを投稿したりすることができました。自分で学びを振り返ったり,教師に提出したりするという目的だけでなく,他の生徒に見せたり評価をもらったりすることができるようになることで,よりクオリティの高い1枚ポートフォリオを作成しようという意欲が高まっています。
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