2020年3月3日
すららで生徒の苦手の可視化と個別学習によるボトムアップを実現/目白研心中高
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数学の苦手な生徒が多く、生徒間の学力差が課題だったという目白研心中学校・高等学校。同校ではすらら導入後、生徒の習熟度に応じた個別学習を実施し、ボトムアップを実現。模試の結果にも、その成果は表れた。同校の取り組みについて紹介しよう。
数学の学力向上が長年の課題。授業の中ですららを活用し確実に取り組む
目白研心中学校・高等学校(東京都新宿区/以下、目白研心中高)は、独自の英語教育に定評のある私立共学校。グローバル人材の育成をめざし、コミュニケーション力、問題発見・解決力、自己肯定力が身につく教育を実践している。英語教育では、中学3年より「Super English Course」を選択でき、在学中に2度の海外留学を経験するなど特色のあるプログラムを設置している。
長年、数学の学力向上に課題を抱えていた目白研心中高は、2017年にすららを導入した。その経緯について同校の吉田直子教頭は「中学、高校の入学時点で生徒間の学力差が大きいことが課題でした。そのため、生徒一人ひとりのレベルに合わせた学習が必要だと考え、すららを導入しました」と語る。同校ではこれまで、基礎力の強化を目的とした朝テストを実施していたが、その方法では、生徒が自宅でどれくらい学習しているか分からない。一人ひとりの習熟度を把握できないことが課題だったというのだ。
また、すららを選択した理由について吉田教頭は、「デジタルネイティブと呼ばれる今の生徒たちにとって、すららは取っ掛かりやすく、学習ツールとして受け入れやすいと感じました。動画教材の場合は、どうしても受け身になりがちですが、すららはアニメーションに返答していく形で学ぶので、主体的に取り組めると思っています」と語る。
すららの導入にあたって、吉田教頭がこだわったのは “学校の授業の中で取り組む”ということ。学校によっては、すららを家庭学習の教材として利用するケースも多いが、同校では、授業の中で実施すると決めてスタートした。吉田教頭は、「学校でやるから意味があると考えています。授業中は他のことができず、生徒も集中しやすいです。宿題として与えてしまうと、必ずやらない生徒も出てきますし、授業でやる方が、教師も生徒の習熟度を確認しながら進められるので良いと思います」と述べた。
生徒の声、自分が間違えた問題や苦手な部分が明確に分かる点がメリット
目白研心中高では、すららをどのように活用しているのか。中学3年特進コースの数学を受け持つ田中彩華教諭に授業を見学させていただいた。田中教諭によると、同コースでは週1コマの数学の授業をすららによる個別学習で実施。すららの活用も2年になり、「全体的に集中して取り組めている」と田中教諭は話す。
すららの使い方として田中教諭は、授業内容の復習課題として利用することが多い。すららで小テストを実施し、一人ひとりの正答率や間違った問題を学習管理機能「ラーニングデザイナー」で把握して、それぞれのレベルに応じた問題を個別配信。授業中は生徒たちの進捗具合や理解度をみながら、リアルタイムでさらに問題を配信するという。ほかにも、高校の数学を見据えて計算力を強化する問題を出したり、数学検定が近いときは、その対策もすららで行うなど、必要に応じて学習内容を変更している。
田中教諭はすららについて、「生徒一人ひとりのできる問題、できない問題を把握し、それに対して課題を出せるのがメリットです。生徒の傾向を知れますし、すららは演習量としてもちょうど良いと考えています」と語る。一方で、授業中の進捗が遅い生徒に対しては、個別に言葉がけを行うなど配慮する田中教諭。つまずいている問題の途中式を確認するなど個別に対応する。
生徒たちにすららの学習についてメリットを聞いたところ、「自分の間違えた問題や苦手な部分がどこなのか、はっきり分かるのが良い」といった意見が多かった。苦手な部分を何度も解いたり、解説を見直したりと復習しやすいのが利点のようだ。ほかにも「いつでも、どこでも学習できる」「自分のペースで進められるのが良い」「解説がわかりやすい」といった意見も聞かれた。なかには「長期休暇の間に高校の数学をやっている」という生徒もいて、生徒たちが自分のペースや目的に合わせて使っているのが分かった。
すらら導入2年目、目標偏差値に対して到達できる生徒が増えた
すららの導入から2年になる目白研心中高。取り組みの成果はどうか。
田中教諭は生徒の変容について、「数学に対する抵抗がなくなってきました。むずかしい問題に対しても、以前は“分からない”と言っていたのに対し、今は主体的に取り組む姿が見られます。全体的にボトムアップしたので、定期テストの難易度も上げられるようになりました」と述べた。
生徒たちの変化は、数学の模試においても点数になって表れていると吉田教頭。学校が目標とする偏差値に対して、すららをやっていない学年は38%の生徒しか到達できなかったが、すららを導入してからは、到達できる生徒が58%に増えた。吉田教諭は「学校として、生徒の力が見える化できた点は大きい。今まで一斉授業では生徒間の差を埋めることがむずかしかったが、すららでは教師がマンツーマンで教えるようなことができる」と話す。
また吉田教頭は副次的な効果として、成績上位層の生徒が自学で先に学習を進める姿も見られると話す。「今までは数学の苦手な生徒に合わせて、基礎を重視しがちでした。逆にいうと、成績上位者は自主学習に任せていた状態ですが、すららを導入してからは成績上位層に対しても、どこまで進んでいるかを把握し、教師もそれに合わせて対応できるようになりました」と話す。
ほかにも目白研心中高では、3教科利用できるすららで、数学しか授業で使っていないが、英語を自主学習に活用する生徒も出てきているという。「英検の前に、すららの英検対策コースで学習している生徒を見ると、すららは生徒たちが気軽に取り組める教材なんだと思います」(吉田教頭)。
今後について吉田教頭は、「英語でもすららを活用していきたい」と話している。同校では現在、学校全体のICT化を進める途上にあり、2019年度に校内のWi-Fiが完備した。これから本格的にICTを活用できる学習環境も整い、今後の広がりが楽しみだ。新しい学びのステージへ、すららの活用はこれからも続く。
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