2020年10月30日
コロナ禍の学校再開や遠隔授業に国家間格差 =ユニセフなどが報告書発表=
日本ユニセフ協会は29日、ユニセフ(国連児童基金)・ユネスコ(国連教育科学文化機関)・世界銀行の3者がまとめた、各国の新型コロナと教育対応に関する報告書の内容を発表した。
この報告書は、「私たちは何を学んだの?:各国のCOVID-19(新型コロナ)対応に関する教育省の調査結果概要」と題するもので、6月~10月にかけて150カ国近くで実施された新型コロナ禍における各国での教育面での対策に関する調査から得られた知見をまとめたもの。
それによると、新型コロナのパンデミックが始まって以来子どもたちが学校に通えていない期間は、高所得国は6週間だった一方、低所得国と低中所得国ではすでに4カ月近くにのぼっていることが分かった。
低所得国と低中所得国の学齢期の子どもは、遠隔学習を利用する可能性が最も低く、学習できていないことを把握されにくく、学校再開が遅れる可能性が最も高く、通っている学校は安全な運営を確保するための資源が不十分である可能性が最も高いことが明らかになった。
3分の2以上の国が学校を全面的または部分的に再開している一方で、4カ国に1カ国が再開の定日を延期したり、再開日を設定していなかったりしており、その多くは低所得国と低中所得国。
遠隔学習が支障なく行えるとし、遠隔学習日を通学日と同様の扱いでカウントしていると報告している低所得国が5カ国に1カ国に限られるのに対し、世界では4分の3の国に上る。
資金調達に関する質問に回答した79 カ国のうち、低所得国と低中所得国の約40%が、今年度または来年度の自国の教育予算をすでに減らしているか、または予定している。
大部分の国で、教師が生徒の学習状況を把握・管理していると報告しているが、低所得国と低中低所得国の4分の1では学習状況を把握・管理できていない。
低所得国では回答者の半数が、手洗い場、社会的距離の取り方、生徒や教師の防護具などの安全対策を講じるのに十分な資金がないと報告しているのに対し、高所得国でそのように回答したのは5%に留まっている。
低所得国の約3カ国に2カ国が、置き去りにされるリスクのある人々のアクセスやインクルージョンを支援するための措置を導入。
高所得国や高中所得国の回答者の90%以上が、休校中も教師が授業を続けることを求めていたのに対し、低所得国の回答者では40%未満だった。
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