2021年12月10日
新型コロナによる学習損失で「生涯年収17兆米ドルを失う危険性」 =ユニセフが報告書=
日本ユニセフ協会は9日、ユニセフ(国連児童基金)・世界銀行・ユネスコ(国連教育科学文化機関)の3者が発表した新しい報告書「世界的な教育危機:回復への道のり」(原題:The State of the Global Education Crisis: A Path to Recovery)を公表した。
それによると、新型コロナのパンデミックに関連した学校閉鎖の結果、現在の生徒たちは、17兆米ドル(現在価値)の生涯年収を失う恐れがあるという。
これは、現在の世界全体のGDPの約14%に相当する金額で、2020年に推定された10兆米ドルという金額をはるかに上回っており、学校閉鎖による影響は考えられていたよりも深刻であることが明らかになった。
また、低・中所得国における「教育の貧困」状態にある子どもの割合は、パンデミック以前にすでに53%に達していたが、長期間に及ぶ学校閉鎖や、学校閉鎖中の教育の継続性を確保するための遠隔学習が十分に効果を発揮していないことを考慮すると、その割合は70%に上る可能性があるという。
学習損失の大きさは国、教科、生徒の社会経済的地位、性別、学年によって、大きな偏りが見られる。例えば、メキシコの2つの州では、10~15歳の生徒は、読解力と数学の学習損失が大きいという結果が出た。
そして、読解力よりも数学の方が学習損失は大きく、低年齢層や低所得層の生徒、そして女子生徒の方が、より大きな影響を受けていた。
また、低所得世帯の子ども、障がいのある子ども、女の子は、同世代の子どもと比較して遠隔学習へのアクセス機会が少なかったが、それは利用可能な技術、電気、接続方法、機器が不足していたこと、差別やジェンダー規範が主な要因だった。
今回の報告書は、これまで各国政府が出した経済対策のうち、教育費に充てられたのは「3%以下」であることを強調している。
学習損失を早急に回復するためには、さらに多くの資金が必要。また、世界中のほぼすべての国が遠隔学習の機会を生徒に提供しているが、その質や範囲はさまざまで、ほとんどの場合が、対面授業のせいぜい一部分の代替にしかなりえない。
2億人以上の生徒が暮らす低・中所得国では、緊急の学校閉鎖時に遠隔学習を実施する準備ができていない。
同報告書は、「学習損失を食い止め、回復するために、学校を再開することは、世界にとって緊急かつ最優先事項であり続けなければならない」と指摘。
各国は、この世代の生徒たちが少なくともこれまでの世代と同等の能力を身につけることを目的とした「学習回復プログラム(Learning Recovery Programs)」を導入するべきだ、としている。
この報告書は、「我々の使命:教育の回復2021」(原題:Mission: Recovering Education 2021)の一環として作成されたもの。ユニセフ、世界銀行、ユネスコは「すべての子どもたちを学校に戻す」、「学習損失を回復する」、「教師を育成・支援する」という3つの優先事項に焦点を当てている。
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