2021年2月8日
コンソーシアムASOBITECH、VRを活用した検証授業を実施
東京学芸大学附属世田谷小学校の久保賢太郎教諭・庄司佳世教諭・大澤俊介教諭を中心に発足したコンソーシアム「ASOBITECH」は4日、XR(VR/AR/MR)のソリューション提案・制作を手掛けるAVR Japan協力のもと、小学校6年生の理科の授業でVRを活用した検証授業を実施したことを発表した。
「子供たちの持つ『学ぶ力』『創造する力』この2つを促進する為のツールとしてAR/VRという最新技術を活用し教育へ変革を!」という思いのもと、発足された「ASOBITECH」は、小学校6年生の理科の授業でVRを活用した検証授業を実施し、VRを使用せず従来の授業を受けたグループとVRを活用して学習を進めたグループに分け、各グループのテスト正答率と記述内容から児童たちの「知識の定着」「理解の深さ」を比較。
同検証では、VRを活用した授業体験と、授業後に実施したテストの正答率や記述内容を基に、VRが児童の学習にどのような影響を与えるのかを分析。領域によっては表面的で受動的になりがちな学校教育における、VR技術活用の可能性を多くの教育機関に知ってもらい、活用してもらえる行政資料とすることを目的に行ったという。
観るのではなく「体験する」というVRの特徴が学習にどのような効果を与えるのかを検証するため、今回の実践では従来の授業にVRを取り入れるのではなく、VRだからできる授業の形式を考えた。教師が教え、児童が受け取る形式ではなく、共有する体験の中で子どもが学びとっていくことを教師が支えていくというスタイルが実現できると考えたという。
授業は、「VR映像をみて「心臓についてわかること」をグループで一枚の紙にまとめる」という内容。「体験を通して、遊ぶように学ぶ」授業を実現するため、下記のような設定で活動を行った。
授業実施後にVR実施群と非実施群を対象に行ったテストでは、知識の定着率を図るための問題と、理解の深さを図るための記述問題を出題。テストの正答率や記述内容から、VR実施群に関しては「教える」授業を行っていないにも関わらず、非実施群(従来の授業を受けた集団)と比べ知識の定着率が高く、深く理解していることが示されたという。
特筆すべきは、「弁」と「心臓」の動きと働きについて問う(5)(6)に対する結果。(5)(6)問は「心臓」と「弁」がどのように働き、どのように動いているのかを記述する問題であったが、どちらにおいてもVR実施群の方が、正答率が高い。記述内容を見ると動きや働き、血液との関係を含めて理解し表現されているものが多くみられた。これは表層的な知識ではなく、様々な要素を体験という文脈のなかで統合され、概念的知識として構成された結果。
また、今回のテストには小学校では扱わない「弁」について問う問題をあえて入れた。とりわけ指導していないにもかかわらず弁についての正答率が高かった同結果は、心臓というシステムを捕らえる際、指導の範囲など関係なく児童がその動きや作用に着目し、主体的に学びを進めた結果であるとという。この結果は子どもの学びにとって「体験する」「楽しむ」ということが重要であることを示すと共に、VRの可能性を示唆するものとだという。
授業設定
使用機器:Oculus Quest 2
使用アプリ:sharecare
その他:
・ゴーグルは4人に1台とし、子供同士の見え方の違いや着目点の違いから心臓の構造についての会話を促進するため、ミラーリングでの共有は行わない。
・VR映像をみて「心臓についてわかること」をグループで一枚の紙にまとめる。
・教室でわかったこと、わからなかったことを共有する。
・再度VR映像で不明点について確認を行う。
・教室ではっきりした点、不明点を共有・整理する。
・心臓の仕組みについて各自A3の紙にまとめて提出する。
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