2021年2月26日
高校のICT活用実態調査 9割以上が「以前よりICTの必要性を認識」と回答 =旺文社調べ=
旺文社は24日、高等学校におけるICT機器・サービスの導入状況および活用の実態について、アンケート調査を実施し、結果を公開した。
今年で5回目となる同調査では、2020年春に全国で実施された休校措置等の影響で対応に追われた学校現場の実情を踏まえ、新たに「ICT利用の必要性に対する意識の変化」にも注目。全国1313校からの回答を基に、ICTの教育利用に関する近年の傾向と課題について、過去の調査データとの比較を交えた分析結果を公開した。
生徒用のモバイルICT端末を校内に1台以上導入している高等学校の割合は、全体の6割超(62.1%)に。特に「タブレット型」端末の割合は昨年度調査から4.4ポイント増の52.4%となり、調査開始から初めて半数を超えた。モバイル端末利用のための環境整備も進み、校内のいずれかの場所で無線ネットワーク環境を利用できる高等学校の割合は全体の72.3%に達した。
スマートフォン等の生徒の私物端末を教育利用する「BYOD」を施行する高等学校は、昨年度調査からさらに増え、全体の3割弱に広がった。休校措置等でリモートでの教務・校務の必要性が急激に高まった中、十分な台数の端末が配備されていない状況でも、ICT活用のメリットを享受できる方策として存在感を強めているという。
新型コロナ感染拡大防止のために実施された休校措置等への対応が求められた2020年度を振り返り、「以前よりICTの必要性を認識するようになった」と回答した高等学校は、全体の9割超(92.7%)に。オンラインでの授業実施や生徒にリモートで課題を配信するといった、休校状況下でも教育の質を保障するための取り組みには、特にICT活用の必要性が求められている。今後、生徒用モバイルICT端末の導入予定がある高等学校のうち、「生徒1人1台配備」の割合は68.5%に上っている。
同調査では、2020年の全国的な休校措置の影響もあり、高等学校におけるICT活用への意識が大幅に高まったことに加え、実際の運用基盤となるハードウェア・設備面での環境整備も急進していることがわかたという。
休校時にリモート指導を実現するためのインフラとしての価値だけでなく、「映像・画像コンテンツを利用した情報の可視化」や「生徒個人に最適化した学習課題の配信」といった、授業内容そのものを改革するためにICTを活用するといった事例も増えている。
一方で、「単純に授業を映像化して置き換えるためだけに活用するだけでは不十分」、「ICTの感覚刺激にも生徒はすぐ飽きてしまうので、本質的な教材研究を深めたい」など、ツールや端末の表面的な運用に囚われないための意識が必要との声も上がったという。
この調査は2020年12月上旬~1月上旬にかけて、旺文社独自リストに基づく全国の国公私立高等学校5099校(中等教育学校を含む/高等専門学校・高等専修学校を除く)を対象に、アンケートDMで調査。全1313校がアンケートを回答。
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