2021年3月26日
日本IBM、安芸太田町でAIを使った「知識構成型ジグソー法」の授業を実践
広島県の安芸太田町教育委員会と日本IBMは24日、新しい時代を担う人財を育成していくため、安芸太田町の小中学校で、全国に先駆けてIBMのAIを活用した授業モニタリングシステムを導入することで、新学習指導要領が目指す授業づくりの先導的モデルを示すことが可能になることを発表した。
安芸太田町では、「自分の考えを持ち、多様な意見から新しい答えを創造できる能力」を備えた人財を育成していくため、「知識構成型ジグソー法」による授業を実施してきた。「知識構成型ジグソー法」は、東京大学高大接続研究開発センター高大接続連携部門CoREFユニット(東京大学CoREF)が開発した協調問題解決型の授業法の一つ。
授業ではまず、生徒にその日の問題を提示した後、生徒を複数のグループに分け、課題解決のためのいくつかのヒントを分担して学習。次に、グループのメンバーを組み換え、各人が学んだ情報を交換・議論しながら問題の答えを考える。さらにクラス全体でも答えを比較検討し、最後は各自がその日納得した答えを自分の言葉で表現する。
「知識構成型ジグソー法」は、文部科学省が新学習指導要領で「授業改善の視点」として提示している「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)」を実現しやすい手法の一つだが、有効に活用するには、どの生徒が何を考え、どんな発言をしたかを現場の教員が着実に見とり、次の授業のデザインにどう生かすかが課題だった。そこで、東京大学CoREFでは、生徒の発話内容をIBMのAIを利用してテキスト化し、教師がいつでも確認したり、キーワード検索による分析ができる授業モニタリングシステムを開発。
従来の音声認識技術では、教室内の雑音や複数生徒の発話、子供に特有の話し方や声の波長、地域特有の言葉遣いなどで正確にテキスト化することが困難だったが、IBMの東京研究所を中心としたチームがIBM Watsonの音声認識技術(STT: Speech to Text)を環境に合わせてカスタマイズすることで、認識率を実際の教育現場で実用可能なレベルまで向上させることに成功。
安芸太田町ではこのシステムを2020年4月から研究授業で採用。実際に研究に参加している教員は、「子どもの声、つぶやきが確実に聞き取れたので、どこでつまずいているかが着実に把握できた」「発話の裏にある子どもの思考を、目に見えるデータに基づいてじっくり推測、解釈できた」など、学びの深い見とりに基づく授業研究の手応えをつかんでいる。町内では、ある授業の分析結果から、子どもの思考の特性に沿ったワークシートのつくり方のコツが見出され、別の授業に生かされるといった事例が生まれるなど、町ぐるみの精力的な授業改善の輪ができてきているという。
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