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2025年3月6日

実務で役立つ数学の分野、34.9%が「確率・統計」と回答=スキルアップ研究所調べ=

学研ホールディングスのグループ会社ベンドが運営する「スキルアップ研究所」は5日、全国の20代~60代300人を対象に実施した、「高校数学と卒業後の実務での活用に関する調査」の結果をまとめ発表した。

それによると、「高校数学は実務に活かされていると感じるか?」と尋ねたところ、「はい」と回答したのは約3分の1(34.3%)にとどまった。「いいえ」は65.7%。高校数学で学ぶ内容と、日常生活や実務での具体的な活用場面との間に大きな隔たりがあり、学習内容が実際の仕事にどう結びつくのか、実感を持ちにくい状況が生じているようだ。


「実務で最も役立っていると感じる数学の分野」を聞いたところ、最も多かったのは「確率・統計」(共分散・標準偏差・回帰分析など)34.9%だった。企業では売上予測や市場分析に、金融機関ではリスク評価に統計が欠かせず、「確率・統計」は現代社会で最も実用性の高い数学分野1つといえるだろう。

「確率・統計」を実務で活用する頻度を聞いたところ、37.1%が「たまに(年に数回)」、24.8 %が「月に数回」と回答。データ活用は広がりつつあるものの、「確率・統計」はまだ日常的な業務ツールとして定着していない可能性がある。

「数学ⅠAの中で実務に最も役立っている分野」を尋ねたところ、最も多かったのは「データの分析」45.7%だった。高校数学の授業では、他の分野の指導を優先するため、「データの分析」に十分な時間を確保できていない傾向があるが、実務において最も活用される分野は「データの分析」だった。

同様の傾向は「数学ⅡB」でも見られ、実務で最も役立っている分野として「統計的な推測」を挙げた回答者が41%を占め、最も多かった。データを適切に理解し、活用できる能力は、今後のビジネスシーンでますます重要な武器となることが予想される。

「共分散という言葉を聞いたことがあるか?」と質問したところ、「はい」と答えたのはわずか4分の1(24.7%)で、75.3%は「いいえ」と回答。「共分散」は、数学ⅠAの「データの分析」で基礎的な概念として扱われる重要な用語だが、これほど多くの人が聞いたことがないという事実は、この分野の学習が十分に定着していない可能性がある。

また、「共分散という言葉の意味が分かるか?」との質問では、「はい」は17.7%にとどまった。「聞いたことがある」と答えた人のうち、さらに「意味が分かる」と答えた人は少なく、単に言葉を知っているだけでは理解にはつながっていないことが明らかになった。


さらに、「共分散という概念を実務あるいは学業で使用している」と回答したのは、わずか10.3%で、大半の89.7%は「使ったことがない」と回答。

「共分散」の具体的な活用場面を尋ねたところ、58.1%が「データ分析・マーケティング分野での使用」と回答。「共分散」が統計的分析において基礎的かつ重要な概念として認識されていることを示唆している。例えば、マーケティングでは、広告効果の測定や消費者行動の分析のために統計的手法を活用する場面が増えており、その中で共分散が使われていると考えられる。


「共分散という概念を実務あるいは学業で使っているか」という直接的な質問に対しては「はい」と答えたのはごくわずかだったが、同じ概念を「日々の実務の中で『Aを選ぶ人はBを選びやすい』『Aの値が高い人はBの値が低い』など、2者間の相関関係や因果関係について考えることはあるか?」と、分かりやすく言い換えて質問すると、35.7%もの人が「はい」と回答した。

統計用語としての「共分散」は馴染みが薄くても、その本質的な考え方である「2つの要素間の関係性を理解し分析する視点」は、多くの人々が実務の中で自然に身に付けていることを示している。

また、「数学を実務で活かす上で、どのようなスキルが求められると思うか?」と聞いたところ、最も多かったのは「データ分析や統計のスキル」37.3%で、数学的な論理思考力やプログラミングツールを使いこなすスキルを上回った。


「数学が苦手でも実務で活かせるようになるには?」という質問には、「ツールやソフトを活用する(Excel・Pythonなど)」が35.7%で最も多く選ばれた。かつては、数学が苦手な人がデータ分析の仕事に携わることは困難だったが、現在では各種ツールの活用で、必ずしも数学が得意でなくても対応できるようになってきている。

この調査は、全国の20代~60代を対象に、2月5日~12日にかけてインターネットで実施した。有効回答数は300人。

調査結果の詳細

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