2022年4月21日
「勉強する気持ちがわかない」子どもが増加、この3年間で半数以上に=ベネッセ調べ=
ベネッセコーポレーションは20日、同社のシンクタンク「ベネッセ教育総合研究所」が、約2万1000組の親子を対象に実施した、「子どもの生活と学びに関する親子調査2021」の結果速報を発表した。
同研究所は2014年、東京大学社会科学研究所と、「子どもの生活と学び」の実態を明らかにする共同研究プロジェクト「親子パネル調査」を立ち上げ、同一の親子(小学1年~高校3年生、約2万1000組)を対象に、2015年以降7年間にわたって複数の調査を実施し、12学年の親子の意識・行動の変化を明らかにしてきた。
今回発表した速報では2019年、2020年、2021年の3時点を取り上げ、コロナ禍での子どもの生活と学び、それを取り巻く環境の変化について調査・分析した。
それによると、「勉強しようという気持ちがわかない」の肯定率(小学4年~高校3年生までの全体の数値)は、19年(45.1%)→20年(50.7%)→21年(54.3%)と、この3年間で9.2ポイント上昇。「あてはまる」という子どもが半数を超え、子どもの「学習意欲の低下」が顕著になった。
学校段階別にみると、数値は学校段階が上がるほど高まり、小学生は4割、中学・高校生は6割が「勉強しようという気持ちがわかない」を肯定。
3年間の変化では、小4~6生が10.1ポイント増、中学生が10.9ポイント増、高校生が6.7ポイント増と、いずれの学校段階でも増加した。
学年別では、中1生・中2生・高1生で増加幅が大きい傾向にあり、小6生・中3生・高2生・高3生は増加幅が比較的小さいことが分かった。
入学から間もない学年で学習意欲の低下が著しく、小6生→中1生(14.8ポイント増)、中3生→高1生(6.0ポイント増)の変化が大きい様子がみられた。

同じ子どもの変化に注目すると、2019年~21年の3年間で学習意欲が向上した子ども(意欲向上群)は11.2%、低下した子ども(意欲低下群)は25.8%、変化がなかった子どもは63.0%だった。
学年が上がるとともに学習意欲は低下する傾向があり、個人の変化でみても「意欲向上群」に比べて「意欲低下群」の方が多いことが分かる。
だが、すべての子どもが意欲を低下させていくわけではなく、「意欲向上群」も1割程度いる。また、意欲が変わらない子どもは約6割だが、そのなかに意欲を高いまま維持し続ける子どもが3割程度いた。
意欲の変化と関連する要因を分析したところ、学習方法の理解や授業の楽しさ、進路(将来)を深く考える経験などの変化が関連していることが分かった。
2019年→21年の変化で「上手な勉強の仕方」が分かるようになったグループ(「分かるようになった」群)は、分かると感じられなくなったグループ(「分からなくなった」群)に比べて、意欲向上群の出現率が高く、意欲低下群の出現率が低いことが分かった。
同様に、「授業が楽しい」について「楽しくなった」群と「楽しくなくなった」群、「自分の進路(将来)」について深く「考えるようになった」群と「考えなくなった」群の間にも、意欲向上群、意欲低下群の出現率に差がみられた。
とくに、上手な勉強の仕方について理解できるようになること、授業が楽しいと感じられるようになることが、意欲の向上と強く関連していることが分かる。
授業形態については、「パソコンやタブレットを使う」が2020年→21年にかけて大きく増加したほか、20年に落ち込んでいた「グループで調べたり考えたりする」「テーマについて調べる」などの授業形態が回復しつつある。
この調査は、全国の小学1年~高校3年生の子どもとその保護者(小学1~3年生は保護者のみ回答)2万1000組(同研究プロジェクトの調査モニター)を対象に、2019年、2020年、2021年の3年間(各年7~9月)にわたって、郵送による自記式質問紙調査(2021年のみ一部WEB調査)という形で実施した。
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