2022年6月15日
マイクロソフトが提唱する教育のセキュリティとデジタルセーフィティ/「あなたの学びが、未来を創る」EDIXリポート
5月11日〜13日、東京ビッグサイトで開催された教育総合展(EDIX)において、マイクロソフトはMicrosoft Educationのソリューションやノウハウを多数展示。アフターGIGAの教育を真に子どもたちのものとするには、大人の学びと変革で取り組みを変えていくことが重要との考えから、「あなたの学びが、未来を創る」がテーマ。
「オンライン授業」形式のセミナー、先生役の社員がオンラインと対面のハイフレックス型授業を想定した「個別授業」形式のブース展示は来場者で賑わった。教育機関向け端末、教育のセキュリティとデジタルセーフティに関する出展を中心にブースやセミナーの様子を紹介する。
マイクロソフトが届けるポストGIGAのデジタル時代を生き抜くための教育コンテンツ
1人1台PC時代に、安全安心なデジタル技術の利用を通じて、社会に積極的に関与し参加していくスキルが問われている。
教育版マインクラフトでは、平和をテーマとするワールド「アクティブシチズン(Active Citizen)」やセキュリティの脅威について仮想空間で体験的に学べる「サイバーセーフ:Home Sweet Hmm」を公開するなど新しい学びを創出する。
知らないと損をするWindows 標準搭載の強固なセキュリティ機能
安心安全セキュリティ先生のブースでは、意外と知られていない標準のセキュリティ機能の実演があった。
Windows 10以降で標準搭載のMicrosoft Defenderは、セキュリティ業界テストでハイスコアをキープするなど高性能を誇るアンチウィルス対策だ。Microsoft 365 A3にはMicrosoft Defender for Endpoint P1の利用権が標準付与され、危険なサイトアクセスやダウンロード時のアラート、管理者への通知、危険のある端末のアクセス制限、脅威の予防までカバーする。感染したファイルなどを暗号化して金銭を要求するランサムウェアの兆候を検出し回復もサポートするという。
情報漏洩への対策としては、ExcelやWordに標準装備されている「機密度ラベル」が有効だ。メールの誤送信、誤った共有、格納媒体の紛失など情報漏洩の脅威から守る。
無料の対策で良いのかという声も聞くが、マイクロソフトのセキュリティソリューション開発は20年余りの実績があり高品質だ。有償のソリューションに引けをとらないので自信を持って推奨するという。
Azure で実現! 学校端末のセキュリティ対策 (AVD)
大塚商会 本間 係長 の授業形式セミナーでは、シンクライアントの機能をマイクロソフトのクラウドサービスで実現するAzure Virtual Desktopが紹介された。
学校端末のセキュリティ対策としての活用提案だ。昨今注目のDaaS(ダース:Desktop as a Service)と呼ばれるもの。個人の端末はキーボードとディスプレイさえ使えればよく、OSを含めたクライアント機能はすべてAzure側に仮想マシンとして構築する。インターネットを通じてこの仮想マシンにアクセスするのだが使い勝手は通常のWindows端末そのものだという。
最大の特徴は、Windows10のマルチセッションOSを提供している点だ。Windows OSを複数人で利用でき、仮想マシンの共有でコストを抑えた運用を実現する。従量課金で初期投資を抑え、スケールアウトも柔軟。管理も容易でセキュアな環境を構築しやすいという。
「先生の働きやすい環境を整えてみたら学校が変わってきた」 鴻巣市の事例
前鴻巣市教育委員会 教育総務課 新井亮裕主任からは、学校のあるべき姿を実現するためのICT環境構築が紹介された。
2020年度、ICT機器の入替時期が近づいた。当初はオンプレミス、PCの持ち出しは禁止、3層分離といった基本方針であった。実社会と乖離した構成に「学校現場のあるべき姿か?」「働きやすい環境なのか?」と立ち止まる。そして「先生も子どももPCを文房具のようにいつでもどこでも使用できる」というコンセプトで改革を進めた。校務、採点支援、ドリル教材など「フルクラウド化」。機微な情報を扱う校務システムはAzure上に構築し、マイクロソフトソリューションを包括的に活用し「ゼロトラストネットワーク」「多層防御」で強固なセキュリティを実現した。
先生の働きやすい環境を作ったところ、学校が大きく変わり始める。「教職員が授業でPCを活用するのが当たり前となり学校全体のICT活用頻度が高くなった」「校務の効率があがり、時間に余裕ができつつある」といった肯定的な意見が並ぶ。生まれた余裕は児童と向き合う時間の創出につながった。今後も活用を推進して「新しい時代で活躍するために必要な資質・能力の育成を目指す」という。
安全で便利な ICT 環境を作ろう! ゼロトラストで変わる学校の姿
マイクロソフト ソリューションスペシャリスト 山越梨沙子氏のセミナーでは、Microsoft 365 A5を活用した学校改革が紹介された。
かつてセキュリティ対策は制限をかけることで安全の確保を考えた。校務と学習でネットワークを分離し2台のパソコンを持つなど利便性、生産性が著しく低かった。2021年5月の改訂で、文部科学省の教育情報セキュリティポリシーガイドラインに「クラウドサービス利活用が前提」「ネットワーク分離を必要としない認証によるアクセス制限が前提」が明記される。
校務システムのクラウド化が進み、校外からもアクセスが可能となり業務の効率化が進む。そこで重要なのが「ゼロトラスト」によるセキュリティ対策だと山越氏。1月、文部科学省の基盤ネットワークにMicrosoft 365 A5とAzureが採用されフルクラウド化されたことからも、その高いセキュリティレベルは明らかだ。
Microsoft 365 A5を活用する聖徳大学付属取手聖徳女子中学校・高等学校の教諭らからは「職員室のパソコンでしかできなかった校務がどこでもできる。生徒と関わる時間が増えた。」「子どものお迎えの時間があって決まった時間に校務を行うのはきつかった。自分のタイミングで確認できるようになった」といった声が聞かれた。山越氏は「かつての常識を改革し、学校をもっとよくしていきませんか」と問いかける。
セキュリティとは、何も意識せず誰もが『ふつう』に便利に使えるようにするもの
元高校教員で学校現場を熟知するマイクロソフト 栗原太郎 担当部長は、「学校ではセキュリティというのが難しいものと捉えられるが、実は便利にするものなのだ」と語る。
「学校では端末に様々な制限がかかっていて、当たり前に使えるということが少ない。何も意識せずに『ふつう』にセキュアに使えることが大事なのに、どこまで安全かがわからない状況では、使うという気持ちにすらなれないかもしれない。マイクロソフトとしてはAIを活用した自動のセキュリティ対策を提供して、教員には意識せずに『ふつう』に使ってもらえるようにサポートしたい。」と力を込めた。
4カ月で2万5500台ものSurfaceを一斉導入した山口県教育委員会の事例紹介
最先端のキッティングソリューションWindows Autopilot(オートパイロット)の活用事例の紹介展示。山口県教育委員会では2020年、県立高校の全生徒に1人1台の端末支給を決定した。当初の6カ年計画は、コロナ禍で急遽2020年度中に一気に進めることとなる。高性能 CPU 搭載、小型堅牢、キーボード着脱可能、前背面カメラ搭載などGIGAスクールモデルよりもハイスペックな要求に応えたのは、Surfaceだ。
Windows Autopilotを活用しわずか4カ月で2万5500台全てのキッティングを終え、全ての高校生のもとにSurfaceを届けた。大塚商会 本間朋樹 係長は「通常、セットアップや端末管理を担うのは現場の先生で、とても負担が大きい。」「先生の負担を減らすこと。セキュリティパッチが適用された最新のアプリ環境、つまり端末レベルでゼロトラストを考えたセキュアな状態で提供すること。端末管理をクラウドのMicrosoft Endpoint Manager(エンドポイントマネージャ)に集約し管理コストを下げること。この3つがポイントだった。」と説く。
24時間365日修理受付で学びを止めない、「Sky安心GIGAパッケージ」
続いて、GIGAスクールの1人1台端末導入から在籍中の故障までを総合的に支えるサービスの紹介。「Sky安心GIGAパッケージ」はSurfaceやWindows PCなど教育委員会や学校が指定した端末に、卒業までの3年間分の自然故障保証と物損故障保証、動画作成ツールThink Boardや学習活動端末WebシステムSKYMENU Cloud(GIGA版)などが付属する。学校内外でタフに利用される端末なので、落下など物損故障も回数無制限、無償で修理交換に対応するのは心強い。学びを止めないという考えから修理の受付は24時間365日。
教育機関専用OS搭載、マインクラフトが驚くほどスムーズ、2万円台の Surface
デバイス展示のコーナーでは、Surface Laptop SEが注目の端末だ。教育機関向けの「Windows 11 SE」という非常に軽量な専用OSが搭載され、徹底的にチューニングされている。2万7800円(税抜)という低価格で強力な性能を発揮。教育版マインクラフトの実演は驚くほど滑らかな動作で来場者の関心を集めた。
1人1台端末が一気に進む公立高校において、Surface のシェアはナンバーワンだという。実社会で必須となるOffice製品のスキルを早く身につけたいという思いも見える。マイクロソフトでは、コストを抑えても学びを制限しない快適な使い心地の端末を児童生徒に提供していく。
上記で紹介した大塚商会とSky社のサービス・ソリューションは、マイクロソフトブースで紹介されていた他のソリューションとの連携の相性がとても良いように感じられた。また、教育委員会や学校の先生方の現場課題に対して、パートナーソリューションとマイクロソフトのデバイスやプラットフォームが全体感/一体感を持ってユーザーに提示され理解されるような構成の工夫と仕込みがなされていた。
東京会場限定で配布された、先生が授業や校務で活かせるノウハウが満載の
「明日から使える!Microsoft Education e-book」を無料でダウンロードできる。
日本マイクロソフトは、EDIX関西にも出展します。上記で紹介したe-bookの内容をさらにボリュームアップさせて会場で配布予定です。今回紹介した内容を、是非関西会場でご覧ください。
日本マイクロソフトは、「教育 総合展 (EDIX) 関西」に出展します。
『あなたの学びが、未来を創る』をテーマに、本イベントに来場する多くの教員や教育委員会、政府関係、そして民間の教育関係者に、子どもたちの新しい学びを共に育んでいくために、マイクロソフトの考え方や取り組み、そして教育現場で明日から役立つ、Microsoft Education のソリューショやノウハウを紹介します。
開催期間:6 月 15 日 (水) ~ 17 日 (金)
開催場所:インテックス大阪 [大阪市住之江区南港北 1 丁目 5-102]
入場申し込み (無料):イベントへのアクセスはこちら (外部サイトに遷移します)
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