2023年3月1日
デジタル連絡ツール「スクリレ」の活用で 残業を606時間減/柏市立手賀西小学校
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教員の残業時間を、ピーク時から年間606時間も削減した学校がある。千葉県の柏市立手賀西小学校だ。文部科学省の事例集にも掲載され、各メディアにも数多く取り上げられている同校の取り組みだが、なかでも注目したいのは、お便りをデジタル化して配信できる「スクリレ」というデジタル連絡ツールだ。保護者のスマホのアプリに直接配信されるので、確実にお手紙を届けることができるという。その「スクリレ」を同校ではどう活用しているのか、詳しく話を聞いた。
過労死ラインを超えるほどの環境を改善するため「スクリレ」を導入
基本機能が無料のアプリという点が選定の決め手に
「そもそもスクリレの導入の背景にあったのは、小規模校ならではの校務量過多でした」
そう話すのは、同校にて主幹教諭を務める東條正興先生だ。
「本校は小規模校で担任が8人しかいないので、一人当たりの校務量がとてつもなく多い。私が着任した19年度当時は残業時間が過労死ラインを超えている職員もおり、校務の効率化は喫緊の課題でした。そうした状況の打開策の一つとして、元々ペーパーレス化は考えていました。私たち担任が印刷するのは自分のクラスの分だけですが、養護教諭や事務の職員は全クラス分を印刷することもあり、担任の何倍もの時間がかかります。ペーパーレスにすれば、そうしたみんなの負担を削減できる。学校全体で考えれば、大幅な時間削減に繋がるのです。メールでPDFを添付する手段も検討しましたが、メールはどうしても埋もれやすく、目に止まりにくい。そんな時に知ったのがスクリレです。アプリという手段は、まさに自分もそうあるべきだと思っていたので、すぐにピンときました。基本的な機能は無料で使えるので、学校への導入もしやすかったです。この点は他サービスと大きく違う点でしたね。」
そして東條先生が旗振り役となり、スクリレを活用して校務効率化が行われたとのことだ。
校務用パソコンを持たない職員とも情報共有が可能になり、完全ペーパレス化
お便りを下校時刻までに慌てて用意・配布するストレスからも開放
実際にスクリレを導入して、職員の働き方にどのような改善が見られたのか?東條先生は特に印象的だったという2つの改善例を紹介してくれた。
――◆校務用パソコンがない職員にも資料を共有!印刷や資料を綴じるコストをゼロに!
「配信先を細かくグループ分けできるというスクリレの特徴を活かして、本校では職員向けの情報共有にも活用しています。スマホで見られるので『パソコンがない職員用に何部か印刷する』ということがなく、完全ペーパーレスを実現。全職員が電子データを共有できるようになり、印刷コストを削減できました。また会議のたびに皆で行列を作り、紙の資料を1枚ずつ取って綴じるという手間もなくなり、教職員の情報共有を徹底しやすくなりました」
――◆お便りは下校後にゆっくり配信!時間に追われるストレスが激減!
「お便りを紙で配布していた時は、子どもも担任も帰りの身支度と下校時間がある中で慌ただしく、時には配り忘れることも。スクリレを導入後は子どもが下校してから夕方にゆっくり確認して配信できるので、お便りを慌てて用意する必要がなくなり、ストレスから開放されました。送信後に誤字脱字や挿絵のミスに気づいても、すぐに差し替えられます。これが紙なら連絡帳で伝えたり、配り直すといった作業が必要ですが、スクリレならその手間がいりません。時間的にも精神的にもゆとりが生まれました。」
そもそも、なぜスクリレはなぜ多くの職員に利用してもらえたのか?その秘密は直感的なUIにあると東條先生は話す。
「スクリレは使い方も簡単で、1回操作すれば2回目からは迷わずに使えます。感覚でわかると言いますか、直感的に操作ができる。説明書さえいりません。職員からも『便利だ』『良いね』という絶賛の声しか聞きません。皆が積極的に使っているからこそ、スクリレでのお便り・連絡の配信実績は、半年ほどで約7310通を超えました。また、保護者からの不満も全く聞いたことがありません。運用前は正直『電子データでは対応できないから紙で欲しい』という声を覚悟していたのですが、蓋を開けてみたら1件も来ませんでした。やってみると電子化で十分という結果です。」
学校の取り組みが近隣校へ広がり、教育委員会を動かすまでに拡大
そして全国の学校へと繋がっていく、校務改善のムーブメントに
スクリレを活用した同校の取り組みは、徐々に柏市内の学校に広がり、ついには柏市教育委員会が市としてデジタル連絡ツールの導入に動き出したという。東條先生のもとにも全国の学校から話を聞きたいという声が寄せられているそうだ。
「北海道から沖縄まで講演させていただきましたが、各地の学校が共通した悩みを抱えていると感じました。自分たちがスクリレなどの成功事例を生み出すことは、自校の職員が助かるだけではなく、市内の職員を助けることにも繋がっています。これを全国に広げていくことで、日本の教育界を少しでも明るくできればというのが私の考えです。この波をもっと世界に広げていく、そのきっかけなればと思います」
東條先生は全国に広まりつつある校務改善のムーブメントについて期待を込めてそう語った。保護者にとって便利なだけではなく、教職員の校務改善に貢献するスクリレは、これからの学校運営を支える、重要なツールとなりそうだ。
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