2026年1月15日
千葉大学、1万3千人調査で見えた「AI格差」 生成AIを使う人・使わない人の違い
千葉大学は13日、インターネット利用者1万3367人を対象にした大規模調査の結果として、生成AIの利用率が約2割にとどまり、明確な「AI格差」が存在することを発表した。

千葉大学予防医学センターの中込敦士准教授らの研究チームは、生成AI(ChatGPT、Copilot、Geminiなど)の利用実態に着目し、全国のインターネット利用者を対象とした大規模調査を実施した。調査は2025年1月、18歳以上の成人1万3367人を対象にインターネット上で行われ、過去1年間の生成AI利用の有無と、非利用者には使わない理由(複数選択)を尋ねた。
調査の結果、生成AIを利用している人は21.3%(約5人に1人)にとどまった。利用者の特徴として、若い世代ほど利用率が高い傾向が見られ、性別では男性が女性より高い。また、性格特性では「新しいものを受け入れやすい(開放性)」の高い人で利用率が高いことが示された。
社会的地位に関わる要因でも差が出た。学歴では大学卒や大学院修了者で利用率が高く、職種では学生や専門職、都市部居住者で利用率が高い傾向が確認された。さらに資源的要因として、友人とのつながりが強い人やボランティア活動参加者で利用率が高いほか、スマートフォンやSNSを毎日使うなどデジタル利用頻度が高い人ほど生成AIを利用していた。デジタルリテラシーが高いことも利用を後押しする要因になっているという。

一方、非利用者が使わない理由で最多だったのは「必要性を感じない」(39.9%)で、次いで「使い方がわからない」(18.5%)が続いた。さらに研究チームは、非利用理由を同時に扱う統計モデル(joint analysis)を用いて、属性ごとに「どの理由が障壁になりやすいか」を比較。若年層では「魅力的なサービスがない」が障壁になりやすい一方、中高年層では「使い方がわからない」「セキュリティへの不安」「利用環境が整っていない」といったスキルやリスク認知、環境面の理由が多いことが示された。デジタルリテラシーが低い人ほど、「使い方がわからない」「利用環境が整っていない」「従来の習慣や文化を変えられない」といった理由を挙げる傾向も見られたという。
研究チームは、生成AIの非利用は単なる関心の有無にとどまらず、年齢や教育、デジタル環境などに根ざした構造的な格差の表れであると指摘する。今後、生成AI利用の有無が学習機会や生産性、情報アクセスといった面で格差を拡大させる可能性があり、年齢やデジタルリテラシーに応じた支援策、誰にとっても使いやすいサービス設計が重要になるとしている。
論文情報
タイトル:Emerging Generative AI Divide: Personal, Positional, and Resource-Based Factors Associated with Use and Reasons for Non-Use
著者:Atsushi Nakagomi, Noriyuki Abe, Takahiro Tabuchi
雑誌:Telematics and Informatics
DOI:10.1016/j.tele.2025.102360
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