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2017年4月3日

ICT活用とAL視点の「ICT教育研究会 with Classi」が盛況

Classiと明星中学校・高等学校は3月28日、学校関係者や行政関係者などを対象とした「ICT教育研究会 with Classi」を開催した。参加者は200名を越え、質疑応答では具体的なやりとりが行われるなどICT活用への関心の高まる発表会だった。

「ICT教育研究会 with Classi」(明星中高)

「ICT教育研究会 with Classi」(明星中高)

静岡大学 益川 准教授

静岡大学 益川 准教授

研究会の冒頭「ICTが変えるアクティブ・ラーニングと評価 ~21世紀型学力を見通して~」と題した基調講演で、静岡大学 学術院教育学領域の益川 弘如准教授は、「現行の学習指導要領では“言語活動の充実(言語能力)”のみだったが、間もなく告示される次期学習指導要領では、“言語能力”と“情報活用能力(情報モラルを含む)”と“問題発見・解決能力”が同列に表現されている。この3つの理念を実現するためにはICT活用は欠かせないものとなっている。中教審の答申でも、何を学ぶかだけではなく、何ができるようになるか、どのように学ぶかに言及され、21世紀型スキルの獲得のために、アクティブ・ラーニングの視点からの学びの質的な改善が求められている」と、次期学習指導要領のポイントに“アクティブ・ラーニング”と“ICT活用”があるとの見方を示した。

また、アクティブ・ラーニングの実現とICTの活用については、「問題解決型授業の実現には、教師の仕掛けが重要だ。最初に答を提示してしまうのではなく、問題解決に向けて、考えるために必要な“疑問を持たせる”ために動画などの教材を用意したり、他者の考えと自分の考えを比較しやすい環境を準備したり、学びの変容を記録するためにクラウドなどを利用して記録に残すことも大切だ」と、アクティブ・ラーニングの実現と活用のためにはICT活用が欠かせないと語った。

続いて行われた明星学園中学・高等学校教員による、「教科指導におけるICT活用の実践発表」では、国語、数学、英語、理科、地歴の教科などにおけるICT活用とClassiの教材動画・校内グループ・コンテンツボックス・Webテスト、学習記録などの機能活用法などが紹介された。

プレゼンする阿部教諭と「学び合い」の生徒たち

プレゼンする阿部教諭と「学び合い」の生徒たち

数学の阿部亮輔教諭による「Classiを用いた『学び合い』の実践」では、阿部教諭のプレゼンテーションと生徒たちの『学び合い』が教室内で同時進行するという変わった風景が見られた。

学び合いの授業では、中高生混合の生徒たちが提示された積分法(面積)の問題に取り組む。答が出た生徒は、他の生徒に教え合ったりしながらグループ全体の理解を目指す。

阿部教諭のデータでは、この『学び合い』をはじめてから、ベネッセ記述模試偏差値が高1で「7月:42、11月:47、1月:45」だったものが高2では「7月:51、11月:55、1月:53」に向上したという。

Classiの教材動画

Classiの教材動画

「学び合い」中の生徒たち

「学び合い」中の生徒たち

もちろん『学び合い』だけで成績の向上が実現したわけではない。知識の習得のために「従来の板書授業」、「Classiの教材動画」、「ClassiのWebテスト」などを行った上で、集団で向上するための『学び合い』を実施する。

「見捨てない教育」をテーマに、できる生徒がリーダーになってグループやクラスを向上へと導き、クラス~学年を飛び出して学校全体へ拡大していく。水曜8時の『学び合い』、「8時だよ全員集合!」をはじめ、Classiの校内グループ(連絡・アンケート・コメントなど)を活用した交流を通じて「集団の活性化」や「集団の変容」がみられ、学び合う雰囲気が醸成されたことで「成績の向上」に結びついたという。

阿部教諭のプレゼンテーション中も生徒たちは動ずることなく『学び合い』は着々と進行し、この授業の目的であった中学3年生も含む参加者全員が積分法の問題回答まで辿り着いたようだった。

2時間目の講座は「各学校によるClassiを活用した指導に関する実践発表」。上鶴間高等学校、桐蔭学園高等学校、日本大学高等学校、佐野高等学校、東京立正高等学校の教員や明星中高の生徒による発表、ソフトバンクの中山五輪男首席エバンジェリストによる講演などが行われた。

桐蔭学園高等学校の袴田教諭

桐蔭学園高等学校の袴田教諭

桐蔭学園高等学校の袴田英康教諭は、「学びの質を高め自ら学ぶ姿勢を高めるICT教育 ~Classi教材動画の活用~」と題して数学科における「反転授業」の導入事例を発表。

主体的に学ぶ姿勢を養成するのにアクティブ・ラーニングは効果的だが、授業時間内で教科書を進めつつ「学びを深める」学習(グループ討論や発表)を導入するのは時間の確保が難しい。

そこで、個人でできることと集団でなければ出来ないことを検討し、基本的な事項は事前に学習を済ませ、授業では「学びを深める」学習が出来るようにする。つまり、反転授業を取り入れることにしたのだという。

生徒の多くは動画に慣れており、活用に問題は無いが、動画をどう準備するかが問題だった。教師自ら制作すれば狙いは絞りやすいが、その時間がない。既存の動画学習サービスは既に利用している生徒もいる。無料で使える海外の良質な動画の吹き替え版もあるが、画面の英文を翻訳しなければならないし筆記体だとよく分からない。

Classiのメニュー画面

Classiのメニュー画面

様々模索して、Classiに教材動画があるのを見つけた。膨大な本数の動画には、狙いの単元に適した動画のあり、自分の教え方や授業設計に100%適合するわけではないが、十分利用できるし新たな学び方のヒントを得ることもあるという。およそ10分間という動画の長さも使い易かった。

教材動画の活用と共に欠かせないのが、事前学習や振り返りの準備だという。Classiの校内グループを活用してワークシートや小テストの配付、アンケート実施や集計などの活用も「学びの質を高め自ら学ぶ姿勢を高める」反転授業に欠かせないものだという。

また、反転授業の導入には保護者の理解と協力が欠かせないものであり、利用端末や通信環境などの準備が重要だと語った。

明星中高生徒の発表

明星中高生徒の発表

その他の実践発表では、明星中学校・高等学校の生徒たちが「生徒から観たICT教育」と題してClassiやiPadの利用状況などについて発表した。

Classiでよく使う機能では、「校内グループ」「学習記録」「成績カルテ」「Webテスト」などが活用されているようだ。

また、iPadを何に使っているかでは、「学習ツール」や「検索ツール」として利用しているという答が最も多いものの、発表した中学生は「学習用のツールだとわかっていても、どうしてもYouTubeなどの動画を観てしまうことが多い。規制をすることも考えられるが、そうすると実験動画なんども観られなくなってしまうので、高校生になるまでに自己規制できるようにしたい」と、リアルな感想を述べていた。

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