2017年10月20日
徳島県三好市 人口減少地域におけるICTを用いた遠隔協働授業
【PR】遠隔協働授業で強みを発揮するMetaMoJi ClassRoom
東みよし町立足代小学校 教頭 中川 斉史 (前・三好市立下名小学校 教頭)
徳島県三好市では,文科省における人口減少地域における遠隔協働授業実証研究を受け,小規模校同士の遠隔協働授業に取り組んできた。遠隔協働授業といえば,TV会議が中心となるイメージが大きいが,2校で行う場合そもそも両方の教室に,それぞれ担任の教師がいるとは限らない。
本校で取り組んだ遠隔合同授業は,中心となる学校の担任が,目の前の子供達の授業をしながら,もう片方の学校の子供達も同じに授業をするというスタイルである。つまり,教室は2つに分かれていても,授業をする担任は1人なのである。そして,そのとき最も課題となるのが,遠隔地の教室の子供達のノートを,授業者が閲覧することができないということである。両教室の雰囲気はTV会議システムのカメラにて伝わるが,物理的に教室が離れているため,個々の机を見ながら子供達のノートを眺めるということができない。この制限は授業者にとって大変な負担となるため,遠隔合同授業がやりにくいというイメージになってしまう。
そこで今回,離れた空間の子供達が同じステージで授業を受け,互いのノートを見せ合ったり,授業者が全ての子供達のリアルタイムなノートを確認するために,MetaMoJi ClassRoomを利用した。
利用の2つのパターン
MetaMoJi ClassRoomは大きく分けて2つのパターンで利用した。一つは単純に,PDF化したワークシートに書き込むパターンである。
ここで登場するような小規模校は,普段から複式の授業なども日常的に行われており,これまで行われてきたワークシートの蓄積がある。そのワークシートを生かして,そのままMetaMoJi上で利用できるため,新たにワークシートを作り替える必要がないところが大きなメリットである。そして,それらのワークシートは,
「記入する時にはピンチインして大きく書く」
「ワークシート全体を眺める時はピンチアウトして俯瞰する」
といったことがやりやすい。
しかも,手書きでしっかりと書ける上,基にしたワークシートが消しゴムで消えることもない。
もう一つのパターンは,グループ内でノートを共有しながら,議論を深めるパターンである。
こういう利用は,一つのクラスの中で複数のグループを作り,考え方を共有して学習を進めるので,オーソドックスな形といえる。ただ,本校での実践の場合は,ここでいうグループも,別の学校の子供達と構成しているグループになっているというところが特徴である。
つまり,あるグループが4人組として,2人は同じ学校,もう2人は別の学校という仮想グループである。リアルな4人組なら,紙のノートでも大丈夫だが,仮想の4人グループでは,電子ノートを使わざるを得ない。
グループ内での会話はグループ活動用の,別のタブレットを使った双方向のTV会議システムを利用しているため,話し合いの時は,画面操作の時,声を出しながら議論できる。
また,議論の際の操作では,ペン操作によるマーカーとして,レーザーポインタモードを利用させ,説明画面が朱書きで染まることを防ぐようにした。説明を聞く側は,画面をしっかり見ていないと消えてしまうラインを見るため,画面に集中するようになる。
マルチOSのメリット
本校の実践では,授業者と学習者がメインで使うタブレットとして,Windows 10を利用し,授業者が各端末のサムネイルを確認したり,共有するシートを操作するためにiPadを利用した。それぞれ画面サイズが異なるので,それに応じてOSを使い分けるようにした。このように,MetaMoJi ClassRoomは,両方のOSに対応しているため,同じシートを別々のOS端末で利用できることも大きなメリットとなる。
また,データやシステムはクラウド上で稼働しているため,ローカルサーバの不具合で全てが止まるというようなことも起こらないため,安心して授業に臨めるということも,授業者にとっての安心材料となる。
そのままプレゼン
そのほか,画面拡大のスムーズさは,ズームプレゼンにも適している。印刷用に1枚にまとめた調べ学習の成果を,そのデータを再編集することなく,そのままPDFとして使い,ズームプレゼンができる。
このことは,大変な時短につながる。これまで印刷用のものと,発表用のものに分けて作っていた作業が不要となる。作業時間が限られている学校現場としては,大変ありがたいことだと言える。
さいごに
このように,タブレットの特性をフルに生かせる操作性と,データやシステムがクラウドにあることのメリットにより,デジタルとアナログの行き来がしやすくなるツールだと言える。こんなことができたらいいなということが実現できるシステムがMetaMoJi ClassRoomであるといえる。
そして,現在私はこの仕組みを職員間の情報共有システムとして利用できないか実証研究をはじめたところである。そして,期待通りの動きをしていることが分かり,次世代の校務支援システムとしての利用価値が高まってきた感じがしている。
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