2017年10月31日
PTAと学校が協力して手作りプログラミング体験会
茨城県古河市立上辺見小学校と同校PTA有志は、同校が毎年秋に行っている地域との交流イベント「泰山木まつり」の一環として、プログラミング体験会「プログラミングデー in 上辺見小 2017秋」を開催した。
この体験会は同校PTA副会長の高井和之さんが発起人となり、同校やPTA、高井さんのプログラミングコミュニティー仲間、それに同校プログラミングクラブ顧問の白波瀬 毅教諭とクラブメンバーの協力を得て開催したもの。
開催の意義について高井さんは、「プログラミング教育必修化の開始は目前ですが、
先生方は多忙で、興味があってもなかなか動くことがままならないと思います。新学習指導要領では、“活用を進める上では,地域の人々や民間企業等と連携し協力を得ることが特に有効”とあります。このような催し物をすることで、地域の人々の興味を集めたいと考えています」と、学校とPTA、地域が一体となったプログラミング教育の推進を目指していると語った。
そして、「ワークショップは、本来であれば一つに絞って行うべきかと思いますが、開催する側も来られる方もほとんど初めての人ばかりですので、まずは、見て触って楽しんでもらいたいと考え、学校側の希望もあり、複数となりました」ということで、「Hour of Code」「グリコード」「Sphero(スフィロ)SPRK+」のプログラミング体験の他に、「IchigoJam」や「mBot」、プログラミング関連の書籍や絵本、「ミルクリングをセンサーでキャッチして撮影する装置」などの展示実演も行われた。
「泰山木まつり」の「交流のつどい」の催し物のひとつとして行われたプログラミングデーには、スタンプラリーで会場を巡る子どもたちが次々に来場。プログラミングクラブのメンバーやメンターのおじさんたちと一緒に「Hour of Code」のマインクラフトや「グリコード」に挑戦した。
球形のプログラミングロボット「Sphero SPRK+」に挑戦した子どもは、白波瀬先生から基本操作を習うとすぐにラジコンモードで遊びだした。前後左右、疾走、回転やりたい放題である。暫く楽しんだところで白波瀬先生から「さあ、それじゃあそろそろプログラミングしてみようか」と声が掛かり、プログラミング体験がスタート。1秒前進1秒後退からはじまって、四角形を描くのを目指す。先生の手の足りないところはプログラミングクラブのメンバーがサポート。
プログラミングツールはビジュアル言語系もロボット系も、子どもたちが使い方を覚えると一気に「遊び」の方向に爆走する傾向がある。その興味を利用して学びの方向に進めるのが指導者の役割。「遊びを学びへ」。ラジコンモードで走らせたりぶつけたりするのは楽しいが、得られるものはない。ちょっと難しくて面倒だけど、プログラミングを使って自分の意図した動きをロボットにさせてみる。新たな喜びや発見がある。そんな小さいけれど新しい学びを得られるのが、こうした体験会の意義である。
一方、高井さんは、手作りの段ボールカードを使って、片手でグーはゼロ、パーは31という「2進法のデモ」を行い、子どもも大人も興味深く参加していた。どのようなものかというと、カードが5枚伏せられていて1枚ずつ開いていく。
「1」の次は「2」、その次は「4」。「次はいくつかな」と高井さんが質問すると、低中学年のグループでは首をかしげる子どもが多かったが、6年生になると「4」、「次は?」、「8」、「16」と答えられた。「こんな風に桁が1つあがると倍になっていくのが“2進法”といってコンピューターの計算のやり方なんだ」と説明。手を結んで「ぐーなら“0”親指だけ立てたら“1”、人差し指だけ立てたら“2”、両方立てたら“3”。じゃあ、パーになって5本全部だったら」。子どもたち、必死で暗算して「31~っ」。「片手は普通の10進法だと“1・2・3・4・5”までだけど、二進法だと“31”まで数えられるってことだよね」。「へぇ~」と感心する子どもたち。
なるほど、だから2進法だと111が“7”、1111が“15”、11111が“31”になるのかぁ、と、子どもたち以上に感心する文系・昭和育ちの記者だった。最後に高井さんから「両手がパーならいくつかな」という宿題を出されたが、紙とペンと電卓があれば、なんとか出来そうな気がしてきていた。
ところで、古河市は、ICT活用でもプログラミングでも先進的地域だったが、いまは足踏み状態にあるという。理由は、様々あるだろうがとても残念なことだ。ICT活用もプログラミングも芽生えていない地域は、全国に沢山あるだろうが、ただ行政が動くのを待っているだけなく、保護者や地域が力を合わせて前進させる動きは、今後至る所で湧き上がってくるかもしれない。そう願っている。
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