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2016年7月21日

私学アンケートの結果から「ICTは導入したけれど・・・宝のもち腐れ?」

千代田女学園のリスタート

そんな失敗を乗り越えていま、千代田女学園では新たにICT活用を目指して動き出そうとしている。

今後のICT活用のビジョンについて、豊岡 稔校長は「とにかく仕切り直しのつもりで最初からやり直します。千代田女学園としてどんな教育をしたいのか、ICT活用の目的を明確にして取り組んでいきたい」と決意を語る。

時間を掛けるつもりはない。昨年行われた龍谷総合学園(*1)のICT活用アンケートで、71校中下位に近い順位にランキングされてしまったのだ。だが、急ぐつもりもない。

リスタートを強調する豊岡 稔校長

リスタートを強調する 豊岡 稔校長

私学にとって、ICT活用は何故必要なのか。豊岡校長は、「タブレットを導入したからといって、それだけで“選ばれる学校”になれるわけではない。ICT導入はもちろんだが、それを使って生徒にどのような能力を身につけさせるのか、どう将来に結びつけていくのかというビジョンを生徒・保護者に提示出来なければならない。ICT活用は、間違いなく“選ばれる学校”の条件のひとつになっていくだろう。だからこそ、4年前の『導入はしたけれど・・・』という失敗を繰り返したくない」と、慎重な姿勢を示す。

本格的なICT導入はすぐにでもやりたいのだが大きな課題があるという。それは、教師の負担である。ICTを活用するためにはタブレットなどICT機器の使い方を覚えれば良いというものではない。カリキュラム作りから授業設計、授業の実施、評価やポートフォリオ。教師のあらゆる活動に影響をもたらす。だから、ICTの導入が教師にもたらす負担は増大する。

そこで豊岡校長はICT導入計画の整備に際し、最初に取り組むテーマとして「校務のICT化による教師の負担軽減」を掲げた。教師たちがICT活用に向けチャレンジできるゆとりを創出するためだ。紙のままの情報や共有されない情報、数年以上前から使用しているプログラムが改良されないまま利用されていたり、図書室の貸し出し管理が共有できなかったり、とにかく校務の効率が良くない状態。「ICTで校務の効率化を図り、教師全員が学びのICT活用に取り組めるようにしたい」と、豊岡校長。

そして、ICT活用の目的の二つ目として、小中接続におけるICT活用の継続性を確保することを挙げた。小学校ではいま、ICTの授業への活用が加速している。プログラミング教育も始まっていく。小学校で始まるICTを活用した学びを、中学・高校で止めてはいけない。本年度の「オープンスクール」から、プログラミング体験も実施する予定だという。

三つ目の目的は、学びや学校生活における情報の共有だ。生徒と教師、教師と教師、生徒と生徒、学校と家庭、学校を構成するあらゆる要素間の情報の共有。「フラットなコミュニケーションが自由に行われるようになれば、アクティブ・ラーニングなど生徒の“考える力”や“解決する力”を向上させる学習現場の創出にもICTが活用できるだろう」と豊岡校長。

ICTが利活用される日を目指して

ICTが利活用される日を目指して

4年近く動きのなかった現場だか、変化の兆しが見られるという。「iPadを使ったら分かりやすく教えられることもある」と、杉村教諭は希望を持つ。千代田女学園のリスタートはもうすぐ。社会科では”Edmodo”の活用も始まっている。

多少回り道をしてしまったが、ICT活用に向けた千代田女学園中学校・高等学校のこれからの活動に期待したい。あわせて、これから始めようとしている学校の参考になれば幸いである。

*1:龍谷総合学園とは、浄土真宗のみ教え、親鸞聖人の精神を「建学の精神」とする浄土真宗本願寺派の関係学校法人によって構成されている組織である。加盟法人数26学園、加盟教育機関数71校で構成される組織は日本最多であり、最大の学校グループ。(龍谷総合学園のHPより)

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