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2018年4月26日

筑波大学附属聴覚特別支援学校、タブレットで話し合い学び合う

【PR】MetaMoJi ClassRoomと一人1台タブレットによる授業実践
筑波大学附属聴覚特別支援学校 半沢 康至

筑波大学附属聴覚特別支援学校

筑波大学附属聴覚特別支援学校

筑波大学附属聴覚特別支援学校は,聴覚に障害がある0歳児から成人までの幼児児童生徒を対象に「一貫した教育」を行う学校である。子どもたちがもっている聴覚を活用し,個々の状態や発達段階に応じた指導を行い,通常の学校の児童生徒と同じ学力水準を目指す「対応の教育」を目標としている。

授業の様子

授業の様子

本校中学部は通常の学校よりも生徒数が少なく,1学級6~8名で構成され,全体で41名が在籍している。生活や学習に関して,生徒一人一人の実態やニーズに応じた個別の指導計画を作成し,指導・支援を行っている。また,平成24年度から中学部設定時間(通称「帯時間」)を設け,自作教材による国語と数学の学習を行い,個々のつまずきを把握した上で,基礎・基本の定着を図っている。

聴覚に障害がある生徒は,音声がきこえにくい・きこえないため,生徒にわかるように話しかける等,音声での情報やコミュニケーション面で配慮しなければならない。そのため,授業では視覚教材や映像教材が多く使われており,電子黒板やタブレットPCの活用も進んでいる。

MetaMoJi ClassRoom導入について

タブレットPCを用いた話し合い活動

タブレットPCを用いた話し合い活動

中学部では以前からICT活用に力を入れ,現在では生徒が一人1台タブレットPCを使用して授業が展開できるようになった。

これまでの実践から,ICTを活用することで学習への興味・関心の高まりや理解の深まりにつながることがわかっている。そして,タブレットPCにより生徒が単元の中で自分の苦手な箇所に戻って復習する個別の学習や自分の考えをまとめ友だちに伝える学習が可能となった。

授業実践を重ねていく中で,考えをまとめ,発表のスライドを作成するとき,個の活動が中心になってしまうという課題が見えてきた。そこで,生徒が考えや予想を表現し,それらを生徒同士が共有して話し合い,学び合う活動が必要となる。このニーズに関して,授業支援システムMetaMoJi ClassRoomが機能し得ると考えられ導入を試みた。生徒同士が画面をリアルタイムに確認し,情報の共有や自己と他者の考えの違いについて視覚的に確認しながら学習を進めた。

【数学の実践例】

中学2年生数学の1次関数における身のまわりにある具体的な事象を考える学習でMetaMoJi ClassRoomを活用した。インターネットの料金プランについて,1次関数の式やグラフからわかったことや考えたことをまとめ,友だちに説明する学習である。はじめに身近な生活と関数との関係に気づかせるため,通信時間と料金について考えさせた。インターネットやスマートフォンの題材は生徒たちの興味・関心が高く,すぐに料金を求めたり,自身のスマートフォンのプランについて説明したりと,1次関数の学習に対する意欲を高めることができた。

しかし,料金プランをグラフで表し,わかったことや考えたことをまとめる学習になると,つまずく生徒や消極的になる生徒が増えてきた。そんなとき,他の友だちが考えを書き込んでいる画面が見えることで,進め方がわかり,その画面をヒントに考え始める生徒もいた。他の友だちの思考過程が視覚的に確認できることで言語活動が促され,考える筋道を意識化,共有化して学び合う学習の実現が期待できる。

生徒の記入画面

生徒の記入画面

本校の生徒の中には,自分の考えを言葉で表すことを苦手とする生徒も多い。そのため,他の友だちの画面からキーワードや使いたい言葉を見つけ,それらを使いながら思考を組み立てていく様子も見られてきた。友だちに自身の考えを説明する場面でも,注目してほしいところの色を変えたり大きくしたりして,大切な部分を強調する等,視聴する友だちにとってもわかりやすい説明をすることができた。発表する活動を通して言語活動が活発になり,より深い理解につながった。

【自立活動の実践例】

本校の教育は,聴覚に障害がある幼児児童生徒を対象としているため,学習指導要領に基づいて自立活動の学習を行っている。その授業の中で,身近にある音に意識を向け,聴覚の活用や音に対する意識を高めることをねらいとして「身近な音集め」の学習を行った。その際,MetaMoJi ClassRoomの「カメラから追加」や「音声ボタンの追加」機能を用いた。簡単に写真や録音したものをノートに張り付けられる点が魅力である。生徒自身が校内を歩いて回り,普段何気なくきいている音,気になる音を録音・撮影した。

音声ボタンの機能を追加した画面

音声ボタンの機能を追加した画面

音について気づいたことをアプリケーション上のペンやテキスト入力機能を使ってノートに記入した。その後,画面を共有し,他のグループの集めた音を見たりきいたりして確認できる時間を設けた。チョークで黒板に書く音は「高く小さめ」,廊下を走る音は「ボンゴみたいな感じ」等,音源に注意を向けたり,音を言葉で表したりして,意欲的に学習に取り組んだ。また何度もきいて確認する様子も見られた。タブレットPC 1台で録音・撮影,プレゼンテーションまで行える点,生徒同士が情報を共有できる点が,今回の学習では効果的であった。

今後の課題

生徒の実態に合わせて,いつでもふり返りができることは内容理解を促すだけでなく,生徒たちが安心して学習に取り組めることにもつながる。生徒たちが書き込んだ内容を蓄積し,そのデータを分析してこれからの指導に役立てたい。また,学校以外でも必要なときにいつでもふり返ることができる環境を作っていきたいと考えている。生徒のつまずきを把握して,主体的・対話的で,生徒の深い学びを実現するために,MetaMoJi ClassRoomをより効果的に活用して,さらなる改善を行い,実践を積み重ねていきたい。

授業の様子

授業の様子

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筑波大学附属聴覚特別支援学校

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