2023年3月6日
保育士の配置基準問題に80%が「配置基準の改善は不適切保育の減少に寄与」と回答=コドモン調べ=
コドモンは2日、保育・教育施設向けICTサービス「コドモン」を利用する全国の保育施設を対象に実施した「保育士の配置基準」に関するアンケートの調査レポートを発表した。
それによると、「管轄自治体の配置基準は国の配置基準より、独自に手厚い配置基準になっていますか?」の問いには、50%が「手厚い」と回答。手厚い基準を設けている自治体において、保育士1人あたりの子どもの人数は最も多い回答でそれぞれ、0歳児2人、1歳児4人、2歳児4人、3歳児15人、4歳児20人、5歳児24人という結果となった。
「独自に国や自治体基準以上に保育士を多く配置する基準を設けていますか?」の問いには、約3施設に1施設は独自の配置基準を設けていることがわかった。60.9%の施設は国または自治体の配置基準と変わらないと回答している。独自に手厚い基準を設けている施設において、保育士1人あたりの子どもの人数は最も多い回答でそれぞれ、0歳児2人、1歳児4人、2歳児5人、3歳児15人、4歳児24人、5歳児24人という結果になった。
「保育士1人が受け持つ子どもの人数について、年齢別に最適だと思う人数を教えて下さい」の問いには、0歳児では、81.8%が「2人」、12.9%が「3人」。1歳児では、49.8%が「3人」、32.4%が「4人」。2歳児では、38.3%が「4人」、25.6%が「5人」。3歳児では、40.8%が「10人」、14.3%が「15人」。4歳児では、31.4%が「15人」、25.0%が「10人」。5歳児では、29.7%が「15人」、23.0%が「20人」という結果になった。
「配置基準を手厚くしてよかったことはなんですか」の問いには、「保育の質向上になった」「子ども一人ひとり丁寧に接することができる」「保育士に余裕ができた」「残業の減少、離職率の低下といった働き方の改善につながった」といった回答が多い結果となった。
「現在より配置基準を手厚くするための、一番の障壁をあげるとしたら何でしょうか」の問いには、「財源。保育士の賃金は補助金でまかなわれているため」「職員の給与水準が低く、配置基準を元にした人数分の補助金しか入らないため、配置を手厚くすると更に一人あたりの給与がさがり、保育士不足にもつながっている」などの回答が寄せられた。
「国の保育士配置基準では『子どもの命と安全を守れないと思う場面』をお答えください」の問いには、「災害時」と答えた施設が83%と最多。さらに日常的に行われている「お散歩など園外活動」が74%、「早朝や夕方の保育」が51%と、多くの保育士が日常の保育で子どもの命と安全を守ることができないと感じていることがわかった。
「国の保育士配置基準では『大きな負担になっていたり十分にやれていない』と感じることをお答えください」の問いには、事務作業や、職員間の対話、スキルアップ、休憩など、通常の労働環境であれば当たり前にできるはずのことができていないことが伺える。また、「十分にやりきれていない」という項目にも「お散歩等の園外活動」が56%と高い数字で回答されていることも課題点と思われる。
「保育士にとって安全を守るのが難しい場面(地震や災害・防犯・お散歩・水遊びなど)において、貴施設で独自の対策や工夫をされていますか」の問いには、約70%の施設が独自の対策や工夫をしていると回答した。
「保育士の人手が足りないと、より管理的な保育になりがちだと感じますか」の問いには、85.9%の施設が「はい」と回答した。
「配置基準が改善されることで不適切保育は少なくなると思いますか」の問いには、79.1%の施設が「はい」と回答。適切な配置基準で余裕を持った保育ができることで不適切保育の減少に繋がることがわかる。
「今までの施設勤務において不適切保育の兆候に気がついたことがありますか」の問いには、約60%の施設が「はい」と回答した。
「不適切保育のニュース・報道を見て、保育現場において業務に当たる際に、ストレスや不安を感じるようになりましたか」の問いには、「はい」の回答が77.5%あった。
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