2026年3月13日
世界11カ国調査で判明、「日本の教育基盤は安定しているが保護者は現状に不満」=スプリックス教育財団調べ=
スプリックス教育財団は12日、世界11カ国の小4および中2相当の子どもとその保護者を対象に実施した、「基礎学力と学習の意識に関する保護者・子ども国際調査2025」の結果をまとめ発表した。
同調査は基礎学力に対する意識の現状を把握するのを目的に実施したもので、今回の調査結果では①基礎学力調査(計算テスト)、②保護者の意識調査、③子どもの意識調査をそれぞれ総括し、世界と比較して明らかになった日本の教育環境の特徴を分析している。
それによると、小4では「43×2」、中2では「(5x−9)−(−x−4)」といった基本的な計算力を問う計算テストを10カ国で実施したところ、日本の計算力の高さが示される一方で、中2時点で計算力が十分に身に付いていない可能性も示唆された。
パネル5カ国(アメリカ、イギリス、フランス、南アフリカ、中国)で小4・中2での計算テスト全体の総合正答率を比較したところ、いずれの学年でも、中国が比較的高い正答率を示した。出題範囲は既習分野の基本的な計算問題にも関わらず、中2では中国を除き総合正答率が50%に届かず、基礎的な計算力が不十分であることが示された。
また、学校5カ国(ペルー、エジプト、インドネシア、ネパール、日本)でも小4・中2で計算テスト全体の総合正答率を比較したところ、いずれの学年でも、日本は比較的高い正答率を示した。しかし、中2の方が正答率が高い国も存在する一方で、日本は学年が上がると総合正答率が低下。小4でも総合正答率が50%に届かない国もあり、小学生の時点で計算力が不十分な国が存在することが分かった。
次に、パネル5カ国で小4・中2の分野別正答率を分析したところ、総合正答率の高い中国は、いずれの分野でも比較的高い正答率を示した。中国以外では、小4では分数が、中2ではすべての分野で正答率が60%未満で、習ったことの半分ほどを理解していないまま新しい分野に進んでいることが示された。
同様に、学校5カ国で小4・中2での分野別正答率を分析したところ、総合正答率の高い日本は、ほとんどの分野で比較的高い正答率を示したが、小4では分数で正答率80%を切り、中2では連立方程式で正答率40%を切り大きな課題であることが分かった。日本以外では、小4ではわり算、中2では文字式で正答率が下がり、以降の分野で正答率が上がらない傾向にある。
今回の国際調査により、計算力という基礎的な学力の時点で国による差が存在することが明らかになった。特に、小4の時点でわり算や分数に課題を抱えた国は、中2の正答率も低い傾向にある。日本は全体的な正答率は比較的高いものの、連立方程式に課題があり、既習分野の復習といった振り返り学習の必要性を示唆する結果となった。
一方、小4と中2の保護者を対象に、基礎学力や学校教育、ICTの利活用状況などを世界11カ国で調査したところ、日本の保護者は、学校教育や子どもの学力に不満を感じる一方で、学力競争やICTツールの導入には慎重であるという傾向が明らかになった。
インターネットパネル調査を実施したパネル5カ国(アメリカ、イギリス、フランス、南アフリカ、中国)と、調査参加校の教室で実施した学校6カ国(エクアドル、ペルー、エジプト、インドネシア、ネパール、日本)の結果の概要を、日本以外と日本の結果を中心に分析したところ、学校の授業に関して、日本以外の保護者は、80%以上が学校の授業で十分な学力がつくと考えており、半数の保護者は子どもの学力にも満足していた。
対して日本の保護者は、学校の授業だけで十分と考える親は半数を下回っており、子どもの現在の学力に対する満足度も10%とかなり低いことが分かった。その一方で、競争には日本以外の保護者よりも慎重な姿勢が見られた。
また、教育情報の入手先として、日本以外の保護者は「学校の教師」といった「人」への相談が多く、さらに書籍や雑誌といった媒体も活用していたが、対照的に日本の保護者は、学校の教師に相談する割合が相対的に少なく、「情報を得る媒体が特にない」と回答する層が日本以外に比べると多いのが特徴。
学習でのアプリ利用については、日本以外の保護者の72%は、小学校入学前からスマホ・タブレットを学習に利用しており、「効率的に学習する」ことを73%が重要視していたが、対照的に、日本の保護者が小学校入学前にデジタル学習を取り入れている家庭は33%と少数派。「効率的な学習」を重視する割合も日本以外に比べて低い傾向が伺える。
生成AIについては、日本以外の保護者は、すでに76%が生成AIを利用した経験を持っており、実生活に浸透しつつある様子が伺えたが、対照的に、日本の保護者は「名前は知っているが使ったことはない」が多く、利用経験者は半数を下回った。子どもが生成AIを利用することについても、日本の保護者は勧めるかどうか「分からない」という回答が日本以外と比べて多い傾向にある。
国際的には、日本の小中学生の計算力は高いが、日本の保護者は子どもの学力に満足していない傾向にある。学校教育に不満はあるものの、競争やデジタルツールの導入には慎重な姿勢を示しており、日本の保護者は「現状に不満はあるものの、大きな変化は避けたい」といった慎重な姿勢が子どもの教育において存在することが示唆された。
また、小4と中2の児童・生徒を対象に、家庭環境や勉強の意識、学校内外での学習経験やICTの利活用状況などを世界10カ国で調査したところ、日本の小中学生の家庭や学校の環境は良好である一方で、ロールモデルの不在や、ICTの有用性の実感が薄いなどの課題が明らかになった。
インターネットパネル調査を実施したパネル5カ国と、調査参加校の教室で実施した学校5カ国の結果を、日本以外と日本の結果を中心に分析したところ、家庭環境に関して、日本の子どもは、家で事情があることにより勉強や生活を妨げられている家庭が少なく、比較的平穏で安定した環境にいることが分かった。その一方で、親の最終学歴を「知らない」と答える割合が41%と圧倒的に高く、日本以外の子どもの大半が親の学歴を把握しているのとは対照的だった。
学校の勉強については、日本でも日本以外でも、60%以上の子どもが「学校の授業は理解に役立っている」と感じていたが、授業の進め方については、日本の子どもが「不明点を残さず進む」と評価する割合が日本以外を上回っており、授業の丁寧さに対する信頼の厚さが際立っている。
また、将来の展望については、日本以外の子どもの30%が「大学院」までの進学を希望しているが、対照的に、日本の子どもは44%が「進路は決まっていない」と回答しており、大学院進学を希望する割合も5%と極めて低い。日本の子どもは、進路について参考になる人も日本以外と比べて少ない傾向にある。
勉強でのアプリ利用については、日本でも日本以外でも、オンライン学習や算数の演習などの学習アプリを8割程度の子どもが使用していたが、日本の子どもは「役に立っているアプリはない」と回答する割合が日本以外と比べて高く、アプリ学習の有用性を感じている割合が小さいのが特徴。
生成AIについては、日本以外の子どもは、70%が生成AIを利用した経験を持ち、学習の疑問解決やアイデア出しなど、多様な場面で活用しているが、日本の子どもは、生成AIを「使ったことがある」割合が42%と半数を切っており、利用率が日本以外に比べて顕著に低くなっている。
日本の子どもの高い計算力は、安定した家庭環境や、丁寧な授業などに支えられている可能性があるが、一方で、将来の進路に未定が多く参考になる人が少ないなど、学習の目標が不明瞭な一面や、学習アプリや生成AIの学習への活用に遅れている面などの課題が明確になった。
この調査は、アメリカ、イギリス、フランス、南アフリカ、中国(パネル調査5カ国)と、エクアドル、ペルー、エジプト、インドネシア、ネパール、日本(学校調査6カ国)の計11カ国の小4および中2相当の子どもとその保護者を対象に、2025年4月~8月にかけて実施。パネル調査はインターネットパネル調査、学校調査は調査参加校の教室および自宅での調査で行なった。
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