2026年3月27日
「キュビナ」を活用した「主体的な学びの実証プロジェクト」実践報告/町田市立藤の台小学校・真光寺中学校

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1月17日にCOMPASSの主催で開催された「次期学習指導要領改訂に向けた“主体的な学び”」をテーマにしたオンラインイベントでは、COMPASSが全国の実証校とともに進める「主体的な学びの実証プロジェクト」の取り組みとその成果が発表された。
登壇者は町田市立藤の台小学校の深澤友美 主任教諭と町田市立真光寺中学校の影山泰明 主任教諭、COMPASSからは未来教育室メンバーの青木瞳子氏と板橋和政氏が参加した。
COMPASSが学校現場と取り組む“主体的な学び” を育む授業づくり
はじめにCOMPASS青木氏より、「主体的な学びの実証プロジェクト」の概要とこれまでの取り組みが紹介された。
プロジェクトは、COMPASSと実証校の教員とが1年間伴走し、授業案の構築、実践、試行と改善を重ねていくものだ。取り組みの成果を学力テストや学習データ・アンケートなど、定量・定性の両面で測定し、最終的に授業モデルとして型化することで、単発の事例創出ではなく、再現可能な授業モデルをつくることを前提にしている。
プロジェクトの起点となっているのは、次期学習指導要領でも重要な軸となる子どもたちの「主体的に学ぶ力」を育むこと。単にキュビナをはじめとするICTを活用する授業ではなく、子どもたちが学びを自分ごとにするという設計に焦点を当てた授業づくりに取り組んでいるという。
ポイントとなるのは、主体的な学びの土台となる、子どもたちが自分で目標を立て、方法を選び、振り返って調整する「自律的に学ぶ力」を授業の中でどう育てるかという点だ。
授業モデルの基本方針は2点あり、1つ目は、「自己決定の機会を増やすこと」だ。誰と、どこで、どの教材で、何を学ぶか等、選択肢を授業の中に用意して、子どもが学びを自分でデザインできる環境を作っていく。2つ目は、「基礎的な学力を確実に身につけること」。子どもたちの学びのデザインと、基盤となる学力の確実な保障を両立することが必要であり、そのための仕組みとしてキュビナによる「個別最適な学び」を用意する。
この2つを授業内に組み込むことで、「任せる」と「保障する」を両立させ、子どもたちが自律的に学べる状態を作っている。
2024年度には連携協定を締結している渋谷区の中学校で実証を行い、数学と理科の授業内での、授業モデルの構築・実践とともに、子どもたちの学習意識や学力にポジティブな変化を実証できたという。
渋谷区との実証の詳細はこちら
実証校による実践報告
2025年度は、渋谷区以外の自治体にもプロジェクトを拡大しており、その中から町田市の2校と奈良市の1校の実践が紹介された。
町田市立藤の台小学校の実践事例
<学び方も作品も“自分の読み”で切りひらく―“技”をみつける国語の時間―>
深澤主任教諭からは、6年生国語科の「読むこと」の単元での実践について報告された。
◆実践前の課題:児童が「指示待ち」になりやすい
深澤主任教諭が課題として挙げたのは、国語の「読むこと」の授業が、教師主導で同じ読み進め方を一斉に進める形態になりやすく、結果として児童が指示待ちになりやすい点だった。読解は一つの課題に対して考える時間が多く、教師が最後に答えを教えてしまう場面も起こりやすいという。
◆単元設計の工夫: 山登りに見立てて「学び方」を伝える
そこで、単元構成を主体的な学びを意識したものに変更し、単元の「内容」だけでなく自律的な「学び方」を児童が身につけることを目指した。そのための支援として、導入では学習を山登りに見立て、「選ぶ道(学習方法)は違うけれど、目指す頂上(めあて)は一緒」と伝え、自己選択による学習の進め方について明確にした。
◆自己調整ツール: 振り返りシートで自ら学びを調整
児童が自分自身の進捗状況を把握し、学びの調整を行うためのツールとして「振り返りシート」を作成した。児童が毎時の達成状況について振り返りを記入し、そこに教師がアドバイスや、意欲に繋がるようなコメントをすることで、次の学習へのステップにできるように工夫したという。授業冒頭では、前時の児童の様子をフィードバックし、学び方に深まりがあった児童や良い視点に気付いた児童の事例を全体に共有する流れを固定した。
深澤主任教諭は、主体的な学びの最大のポイントは、内容理解だけでなく「自己決定」にあると強調する。わからないときに友達と学ぶ、誰かに頼ることも含めて「自分で学び方を選ぶ」こと自体が学びのスタートであり、振り返りを通して「自分に対して自己調整する必要がある」状態をつくることが重要だという。
◆学力の保証:理解の土台となる語彙や語句の学習をキュビナで
「自律的な学び」を進めるうえでの不安のひとつとなる児童の学力の保証については、「キュビナ」を適宜活用するよう声掛けを行い、教科書本文の理解の土台となる語彙の獲得や語句の意味の理解を確認することに活用したという。
◆成果:学び方の獲得による主体的な学びの深まり
テスト結果に向上が見られ、児童が「誰と・どのように学ぶか」を身につけることで、他単元・他教科にも生きる可能性が示された。学び方を獲得した児童ほど主体的な学びを深められるという実践の手応えを語った。
町田市立真光寺中学校の実践事例
<自分の目標に向かって、自律的に学ぶ数学の授業>
影山主任教諭からは、中学校3年生数学の「相似な図形」における授業実践について紹介された。
◆実践前の課題:生徒間の理解度の差に広がり
影山主任教諭は、従来の数学授業が一斉指導型になりがちで、理解が早い生徒と遅い生徒の差が広がりやすい点を課題とした。また生徒側には、自分の理解度や学習方法を振り返って調整する機会が少なく、教師側も一人ひとりの理解状況を把握しづらいため、全体の学力の底上げが難しいという。
◆授業モデル:学習計画表を学びの地図として自律的に学ぶ
「主体的な学び」の実践に際して強く意識したのは、授業を「自習だけ」にしないことだという。そのために学習計画表を活用し、見通し→自律的なインプット→自律的なアウトプット→振り返り、の流れで授業を構成した。インプット・アウトプットともに生徒自身が学び方を選択できるようにする一方で、学力保証の仕組みとして、キュビナで配信された「確認テスト」を全員が任意のタイミングで受検するようにした。授業の最後には、生徒が学習計画表への記入により自分の学習を振り返り、次の学習に繋げていく。
このサイクルを積み重ねることで、生徒が徐々に自分で学びを調整できるようになることを目指したという。
◆確認テスト:学力保証の仕組みとして全員が共通で取り組む
確認テストは10分程度で解ける構成でB基準に届く基礎的内容を中心にキュビナのワークブック機能で作成した。「正答率70%」を到達目標として、教師は結果をもとに支援が必要な生徒を判断し、学習方法や演習内容の見直しを促す。
◆成果:学びの自己調整と学習状況の可視化
目標立案・学習計画・振り返りを授業に組み込むことで、生徒が自分の理解に応じて学びを調整できるようになった。教師側も机間巡視とキュビナの管理画面による学習状況の可視化をもとに、必要な支援が行いやすくなったとしている。
奈良市立済美小学校の実践事例
<児童が夢中に、自律的に学習しながら資質・能力を身につける理科の授業>
2校の実践事例の発表に続いて、奈良市立済美小学校の理科の授業における実践事例がCOMPASS板橋氏より紹介された。

※詳細はイベントのアーカイブ動画にて
トークセッション
続いてはトークセッション形式で、参加者から事前に質問のあった内容を中心に発表内容を掘り下げていった。
「自律的な学び」の最初の一歩は?
深澤主任教諭:
まず子どもたちに、自分たちで学んでいくんだということを話し、山登りに見立てて、学び方の道は違うけれど、最後の到達点は一緒だよというところを話しました。
教師側としては不安感もあるのですが、やってみないことには変わらないという挑戦的な思いでスタートしました。子どもたちには、先生と一緒に今まで通りやるもよし、友達と一緒にやるもよし、と少しハードルを下げて最初の一歩をスタートしました。
影山主任教諭:
自律的・個別的に学ぶということを自習だけにしないということは意識しました。自分にとって今何が必要なのか、何をすべきなのかを生徒一人ひとりが理解しなくてはいけないので、学習計画表を作成しました。また、学力の面の保障ということで確認テストも必ずその中に取り入れて、自分の学習の到達度を確認しながら生徒たちが学べるように意識しました。
「自律的な学び」における先生の役割は?
影山主任教諭:
“自律的な学び”の中で一番大切にしていることは、やはり「見取りと支援」の2点です。
机間指導を通して生徒の取り組む様子を確認したり、キュビナの管理ツールで確認テストの結果を見て、到達目標である70%に到達していない生徒に対して、どこでつまずいてるのか声をかけたりします。キュビナだけではなく教科書やワークブックでもわからない問題でつまずいている生徒がいたら声かけをして、補足説明をするということは意識しています。
深澤主任教諭:
やはり子どもたちが必要としているときに支援してあげるというのがすごく大事かなと思います。ただ、その必要としているときがいつなのかというのはすごく悩むところです。一番わかりやすいのは振り返りシートを書くときに「今自分が困っていることを書いてね」といってそれに対して自分で進められることを一緒に考えました。授業中に進んでない子には「一緒にやろうよ」という声かけが必要なのかなと感じました。
「自律的な学び」を周囲に波及するためには?
深澤主任教諭:
藤の台小学校では、基本的にはどの教室もいつ見学してもいいという環境です。私の場合は「15分間だけでもいいから見に来て」というところから先生方に声かけしています。15分間見ることからスタートして、自分ができることにチャレンジしてもらうように話しています。広めるスタートは、授業を公開することだと思います。
影山主任教諭:
「授業を見に来ていいよ」という声かけは常にしています。研究授業のときには、多くの先生方が来てくれるので、どんどん波及していければいいと思います。あと、職員会議等でもこういう授業実践をしていますということを説明しています。
これからチャレンジする先生へのメッセージ
深澤主任教諭:
正直なところ最初は結構大変でしたが、1年間子どもたちと共に学んできて、国語の授業だけではなくて他の授業にも変化が出てきていること、授業に向かってみんなが主体的に学べる土台がクラスとして整うのはとても良いと思っています。最初は大変さや難しさもありますが、ぜひチャレンジしてほしいです。価値観が、子どもたちも教師も変わると感じました。
影山主任教諭:
深澤先生のお話の通り、最初の準備は大変な部分もありますし、私自身授業スタイルを変えることに不安も感じました。実際にやってみて、まだまだ完璧にできているとは思っていませんが、生徒が自分で自律的に学ぶということは本当に大切だと思いますので、今後も改善してよりよい授業を進めていきたいです。
最初から完璧を目指すのではなくて、「まず一歩踏み出してみる」から取り組んでいただければと思います。
「子どもたちの“主体的な学び”を育む授業モデル構築の実証報告」のアーカイブ動画
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