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2026年7月23日

学校の教科書やプリントを、そのまま暗記問題に ─ 子どものテスト勉強から生まれた「AI暗記シート」

【寄稿】
飯野 昌紀(Toybird Labs・個人開発者)

私自身、3人の子どもを育てている親で、一番上の子は現在、中学2年生です。
中学生になると、定期テストの科目数も学習範囲も一気に増えます。子どもがテスト勉強をする様子を見ながら、「もっと効果的に勉強する方法はないだろうか」と考えたことが、今回のアプリ開発のきっかけでした。

きっかけは、AIを使って学習効率を上げること

暗記のための一般的な方法の一つに、自分で問題や単語カードを作る方法があります。自分の手で書くことには学習効果がありますが、すでに覚えている内容まで書き写す必要があります。

例えば、教科書の1ページに20個の重要語句があり、そのうち15個をすでに覚えていたとしても、問題を作るためには20個すべてを整理しなければなりません。単に「どこを覚えていて、どこを覚えていないか」を確認したいだけでも、問題作成に時間がかかります。

市販の赤シート教材も利用していました。すぐにテストできる点は便利ですが、実際に学校で使っている教科書や授業プリント、先生が配布した資料と完全に一致するわけではありません。

「学校で実際に使っている教材を、そのまま問題にできないだろうか」

さらに、教科書やプリントを一つずつ手作業で加工するのではなく、文字認識やAIを利用して重要語句を自動で隠せれば、教材を取り込んだ後、短時間で暗記テストを始められます。

その発想から開発したのが、iPhone・iPad向け学習アプリ「AI暗記シート」です。

教材を作り直さず、撮影したら準備完了

「AI暗記シート」では、学校の教科書、授業プリント、自分で書いたノート、参考書などをカメラで撮影します。

写真ライブラリから画像やスクリーンショットを選択したり、PDFファイルを直接取り込んだりすることもできます。複数ページの教材は、最大20ページまでまとめて取り込めます。

写真、複数画像、PDFから手元の教材を取り込める作成画面

アプリは教材内の文字を認識し、重要と考えられる語句を選択して、赤いマスクで自動的に隠します。利用者は教材を作り直す必要がありません。表示されたマスクを見ながら、隠れている言葉を頭の中で答え、マスクをタップして正解を確認します。

紙の赤シートと同じような感覚で使えますが、あらかじめ赤シート用に加工された教材に限らず、学校や塾で実際に使っている教材を利用できます。自分で作ったノートや、市販の参考書を使うこともできます。

教材の文章や図、表、レイアウトは元の状態で残ります。そのため、単語だけを切り離して覚えるのではなく、「教科書のどの場所に書かれていたか」「どの図や説明と一緒に掲載されていたか」といった周辺情報も含めて復習できます。

教材のレイアウトを残したまま、重要語句を赤いマスクで隠して確認できる

問題を作る時間と、問題を解く時間を分ける

自分で暗記問題を作る学習方法では、「問題を作る作業」と「暗記できているかを確かめる作業」が一体になりがちです。

問題を手作りすること自体が勉強になる場合もあります。しかし、テスト直前など、限られた時間の中で理解度を確認したい場面では、問題作成に多くの時間を使うことが必ずしも効率的とは限りません。

「AI暗記シート」が目指しているのは、問題作成をすべて不要にすることではありません。

じっくり覚えたいところは自分でノートにまとめる。一方で、すでに学習した教材については、アプリで素早く理解度を確認する。学習の目的に応じて方法を使い分けられることが大切だと考えています。

アプリでは、隠す語句の量を「少なめ」「標準」「多め」「テスト前」から選べます。学習を始めたばかりの段階では、重要な語句だけを少数隠して確認し、内容が定着してきたら隠す量を増やせます。テスト直前には、より多くの語句を隠して、本当に覚えられているかを確認できます。

隠したい場所を修正することも可能

教材によっては、覚えたい場所が自動で選ばれなかったり、反対に、隠す必要のない言葉が選ばれたりする場合があります。

重要な語句は、学習者の目的によっても変わります。同じ教科書であっても、先生が強調した部分や、自分が苦手としている部分は人によって異なります。

そのため、アプリが選んだ結果をそのまま使うだけでなく、自分でマスクを追加したり、不要なマスクを外したりできるようにしました。

AIが問題を一方的に決めるのではなく、最初の問題作成を支援し、最後は利用者自身が調整する設計です。

一度作成した教材は保存できるため、復習するたびに作り直す必要はありません。教科や単元ごとにフォルダへ分類し、必要な教材を繰り返し復習できます。

覚えられなかった教材から優先して復習

学習後には、その教材について「覚えた」「あやしい」「覚えていない」の3段階で結果を記録できます。

学習後に3段階で結果を記録し、次の復習に反映する

テスト勉強では、得意な範囲を何度も確認するよりも、覚えられていない範囲へ時間を使うことが重要です。

ただし、教材が増えてくると、どこが苦手だったのかを自分で管理することが難しくなります。学習結果を簡単に記録することで、次に何を復習すべきかを見つけやすくしました。

ライブラリでは、すべての教材を順番またはランダムに出題できるほか、過去の評価をもとに、弱点となっている教材を優先して出題できます。

教材名やメモだけでなく、教材から認識した文字から検索することもできます。

保存した教材から、順番・ランダム・弱点優先の出題方法を選べる

家庭学習から資格試験まで

開発のきっかけは、中学生の子どものテスト勉強でしたが、開発を進める中で、暗記が必要な幅広い学習で利用できるようにしました。

小学生の漢字や社会、理科の用語、中学生や高校生の定期テストや受験勉強、大学生の専門科目などにも利用できます。

社会人の資格試験では、法律、会計、医療、ITなどの専門用語を覚える場面があります。参考書を撮影しておけば、通勤時間や外出先でもスマートフォンから復習できます。自分の覚えたいページを使って、専用の暗記教材を作ることができます。

教材は外部の生成AIへ送信しない

教育に利用するアプリでは、教材や学習データの取り扱いも重要です。

「AI暗記シート」では、教材画像や認識した文字を外部の生成AIサービスへ送信して解析する仕組みを使用していません。文字認識や重要語句の選択、学習記録、教材の保存は端末上で行います。

アカウント登録も必要ありません。広告SDKや第三者の行動分析SDKも使用していません。

学校のプリントやノートには、氏名や学校名などが含まれる可能性があります。取り込む際には不要な個人情報を写さない配慮が必要ですが、教材や認識した文字は、開発者が運営するサーバーへ送信・保存されません。

市販の教科書や参考書を取り込む場合は、各教材の著作権や利用条件を守り、個人での学習の範囲内で利用することを前提としています。

AIで学習内容を作るのではなく、学習を始めるまでの時間を短くする

生成AIに問題や解説を作ってもらう学習方法も広がっています。一方で、学校のテストでは、授業で使用した教科書やプリントの内容を理解し、覚えることが求められる場面があります。

「AI暗記シート」は、新しい教材をAIに作らせるためのアプリではありません。

学校や先生が用意した教材、自分で書いたノート、市販の参考書など、利用者が現在使っている教材を活かし、暗記テストへ変換するためのアプリです。

AIの役割は、先生や教材に代わることではなく、学習を始めるまでの準備時間を短くすることだと考えています。

「問題を作るだけで疲れてしまった」
「学校の教材に合った赤シートが欲しい」
「テスト前に、覚えていない場所だけを効率よく確認したい」
家庭で感じたこうした課題を、少しでも解決できる道具として、今後も改善を続けていきたいと考えています。

【サービス概要】
サービス名:AI暗記シート
対応端末:iPhone、iPad
対応OS:iOS・iPadOS 16以降
主な機能:教材の撮影、画像・PDF取り込み、重要語句の自動マスク、学習結果の記録、弱点優先出題
料金:3教材まで無料。保存数無制限は800円の買い切り

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App Storeリンク「AI暗記シート」

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