2018年2月5日
愛媛県西条市が「2018日本ICT教育アワード」に決定
全国ICT教育首長協議会は1月30日、「全国ICT教育首長サミット」を東京国際交流館で開催した。
会場には同会の加盟自治体をはじめ、一般の教育関係者や教育関連の企業・団体など多くの参加者の姿があった。
開会の冒頭、「教育の情報化の動向と今後の展望」と題して、文部科学省 生涯学習政策局情報教育課長 梅村 研氏が登壇。都道府県と市町村におけるIT環境整備計画の策定率について2020年度までに100%を目指すなか、文科省による昨年3月の調査では「6割の自治体は整備計画策定の予定がない」ことに触れ、新学習指導要領の実施を見据えた学校ICT環境の段階的・計画的な整備を呼びかけた。また、3クラスに1クラス分の可動式PCの整備実現、校務の短縮化、教育情報のセキュリティ確保など、お願いしたいこととして具体策をあげ、国としてもバックアップしていくとした。
第2回を迎えた同サミットでは、全国ICT教育首長協議会のモデルケースとしてふさわしく、首長の主体的な行動がその地域の教育課題を解決し、ICT教育導入の進んでいない他の地域でも展開できる取り組みを顕彰する「2018日本ICT教育アワード」を決定し、あわせて「文部科学大臣賞」「総務大臣賞」の授与を行った。
当日は、特徴的な取り組み、継続性、他の地域への影響力の観点から、大学教授等の有識者による一次審査を通過したアワード候補4自治体によるプレゼンテーションが行われ、その後、アワード出席の加盟自治体首長による投票で「日本ICT教育アワード」を選出した。
投票の結果、「日本ICT教育アワード」は、愛媛県西条市の「ワクワク度日本一に向けたICTを活用した『スマートシティ西条』」に決定した。
西条市には、公立小学校26校、中学校10校がある。同市では、様々な分野にICTを活用した豊かなまちづくり「スマートシティ西条」を掲げており、特に学校教育でのICT活用には力を入れ、教育クラウドを基盤とした授業と校務両方の情報化、ICT支援員、教職員の負担軽減のためのテレワークシステム、バーチャルクラスルームなどを実施しているという。
プレゼンに登壇した玉井敏久市長は、同市の取り組みについて「『テレワークや校務支援システムがない学校など考えられません!もう西条市の学校から出たくないです!』といった教師からのコメントもあります。」と、教師のモチベーションを上げる効果にもつながっていると紹介。さらに、ICTを活用した学力向上の成果として、生徒の全国学力・学習状況調査結果では全国平均で11ポイント上昇、教師の校務にかかる時間では、1年間で114.2時間の時間短縮を実現。ICTは学力向上への近道かもしれないと論じた。
注目は「西条市モデル」とも呼ばれているというバーチャルクラスルーム。Web会議システムと2枚の大型スクリーンで学校間の教室をつなぎ合同授業を行うもの。小規模校の教育の質の維持向上を図ることで地域の核である学校を守り、地域創生に寄与し、保護者や地域住民からも、バーチャルクラスルームによる合同授業を賞賛する声が寄せられているという。玉井市長は「学ぶなら西条、教えるなら西条」とこれからも掲げていきたいと締めくくった。
その他のアワード候補の3自治体にも各賞が贈られたほか、5自治体が奨励賞を受賞した。
また、文部科学大臣賞には長野県喬木村が、総務大臣賞には熊本県山江村がそれぞれ受賞した。
受賞の内容
■日本ICT教育アワード
愛媛県西条市:ワクワク度日本一に向けたICTを活用した「スマートシティ西条」
■全国ICT教育首長協議会 会長賞
沖縄県与那国町:最西端の地で最先端!!与那国町の離島教育課題解決に向けての取り組み
■日本ICT教育アワード 審査員長賞
秋田県八峰町:ふるさとの未来を担う人材育成を支えるICT教育の推進 ~ICTとコミュニティ・スクールによる「地域とともにある学校」づくり~
■日本視聴覚教育協会 会長賞
島根県美郷町:美しき郷からの挑戦 ~ICTを活用し魅力ある教育を目指して~
■奨励賞
長野県伊那市、大阪府河内長野市、岡山県備前市、福岡県飯塚市、佐賀県武雄市
■文部科学大臣賞
長野県喬木村:地域創生を目指したICT活用による教育の魅力化の取り組み
■総務大臣賞
熊本県山江村:学力向上の軌跡 ~山江村7年間のICT教育とは~
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