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2019年11月27日

学校の先生に学びと結びつけて欲しい最近話題の「キーワード」5選

子どもたちが学ぶのは、ただ試験のためだけでなく、将来自分の人生を生き抜くため、そして社会や誰かに貢献するためです。であれば、社会の動きや時代の流れ、人類の課題などを意識した学びが必要となります。学びを導く先生方も、未来に繋がる「キーワード」を気に留めて頂きたい。そして様々な課題の解決策が、「教育」や「ICT」と密接に繋がっていることを意識して頂きたい。そのために、最近話題になっているキーワードを紹介します。

1.SDGs

SDGsは、(エス・ディ・ジーズ)と読みます。「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略です。2015年の9月25日~27日、ニューヨークの国連本部で、「国連持続可能な開発サミット」が開催され、150を超える加盟国首脳の参加のもと、その成果文書として、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。アジェンダでは、人間、地球及び繁栄のための行動計画として、宣言および目標を掲げました。それが、2030年までの達成を目指す17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs)」です。

「持続可能な」と聞くと、「地球温暖化」「大気汚染」「海洋汚染」「森林消滅」など環境に関する課題が思い浮かびます。しかし、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」(外務省仮訳)の前文では、「このアジェンダは、人間、地球及び繁栄のための行動計画である。これはまた、より大きな自由における普遍的な平和の強化を追求するものでもある。我々は、極端な貧困を含む、あらゆる形態と側面の貧困を撲滅することが最大の地球規模の課題であり、持続可能な開発のための不可欠な必要条件であると認識する。」と、「貧困を撲滅」が最大の課題だとしています。

そのための目標(SDGs)は、「統合され不可分のものであり、持続可能な開発の三側面、すなわち経済、社会及び環境の三側面を調和させるものである。」と示しました。

外務省Webサイトより

SDGsの17の目標とは「1.貧困をなくそう」「2.飢餓をゼロ」「3.すべての人に健康と福祉を」「4.質の高い教育をみんなに」「5.ジェンダー平等を実現しよう」「6.安全な水とトイレを世界中に」「7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「8.働きがいも経済成長も」「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」「10.人や国の不平等をなくそう」「11.住み続けられるまちづくりを」「12.つくる責任 つかう責任」「13.気候変動に具体的な対策を」「14.海の豊かさを守ろう」「15.陸の豊かさも守ろう」「16.平和と公正をすべての人に」「17.パートナーシップで目標を達成しよう」の17項目。これはあくまで見出しだけですので、詳細については、Webなどで調べてグループ学習のテーマにしてみるのも授業の一環として面白い取り組みかもしれません。なにしろ、全人類にとって最大の課題なのですから。

2.RPA

RPAとは「Robotic Process Automation /ロボティック・プロセス・オートメーション」の事です。いわゆる「ホワイトカラー」と呼ばれる職種の自動化・ロボット化のことです。日本では工場における自動化・ロボット化は世界に先駆けて進められてきました。20世紀の高度成長期に人が支えた製造現場の多くが今ではロボット化されています。一方、非製造分野のロボット化は、欧米に比べて遅れているといわれています。人手不足や長時間労働、デジタル対応といった課題が問題視されてこなかったからかも知れません。

photo by pixta

RPAについて日本RPA協会のWebサイトでは、「RPA(Robotic Process Automation)は、これまで人間のみが対応可能と想定されていた作業、もしくはより高度な作業を人間に代わって実施できるルールエンジンやAI、機械学習等を含む認知技術を活用した業務を代行・代替する取り組みです。人間の補完として業務を遂行できることから、仮想知的労働者(Digital Labor)として、2025年までに全世界で1億人以上の知的労働者、もしくは1/3の仕事がRPAに置き換わると言われています。」と解説しています。

総務・経理・人事・販売管理といった、これまで人がやらなければならなかった仕事をソフトウェアのロボットで自動化するものです。人の代わりにデスクの前にロボットが座って作業するわけではありません。現在は「RPAブーム」と呼ばれるほど注目が集まっています。こうした業務の現場に人手不足や長時間労働、デジタル対応といった課題が一気に噴出してきて、ニーズが高まっているからでしょうか。

僅か5年後の2025年に1/3の仕事がロボットに置き換わるのなら、子どもたちが大人になることはどうなっているでしょうか。RPAを管理したり、新しい仕事を命じたりするのに人は必要でしょうが、求められるのはWordやExcelを使いこなす能力ではなく、プログラミング的思考やクリエイティブな能力であることは間違いないでしょう。そのための教育改革はもう始まっています。

3.DX

DX(ディーエックス)とは、Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)のこと。なぜDTではなくDXなのかは不明ですが、”Trans-” で始まる単語の省略形としてXが使われるからという説もあるようです。2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した概念「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるデジタルトランスフォーメーション」(総務省|平成30年版 情報通信白書)というのが始まりということ。

photo by pixta

日本語だと「デジタル変革」といった感じ。では、20世紀の「デジタル化(デジタイゼーション)」とは何が違うのでしょうか。日本はデジタル化において世界最先端でした。フィルムカメラ→デジタルカメラ、真空管→半導体、タイプライター→ノートパソコン、ブラウン管テレビ→液晶テレビ。つまり「モノのデジタル化」です。しかしその後のサービスのデジタル化では、大きく出遅れました。ネットショップにEコマース、Web検索、SNS、スマートフォンアプリ。

DXは「サービスのデジタル化」の先。競争ではなく「変革」です。「MEDI DX」と題してDXを推進する経済産業省のWebサイトには、DXで「仕事のやり方も、政策のあり方も、変革していきます。」とあります。つまり、企業も役所もそして学校も、デジタルツールやサービスを活用して「新しい価値を生み出す変革」が求められるのです。もはや、校務のデジタル化とか学びのICT化ではなく、それらを利用した変革が必要なのです。次代を作る人を創る場。学校の役割はとてつもなく大きなものです。

4.5G

5G(ファイブ・ジー)とは、「超高速・大容量」、「超低遅延」、「多数同時接続」といった特長を持つ次世代の移動通信システムです。5GのGは世代(Generation)のことです。移動通信のシステムは、音声主体のアナログ通信の1Gから始まり、パケット通信に対応した2G、世界共通の方式となった3G、現在ではLTE-Advanced等の4Gまでが実用化されています。これに続く次世代のネットワークとして注目されているのが5G、即ち第5世代移動通信システムです。2020年からサービスが開始されます。

photo by pixta

5Gでは、4K/8Kといった高精細映像やAR(拡張現実)/VR(仮想現実)を活用した高臨場感のある映像の伝送、自動運転サポートや遠隔医療、遠隔授業などを実現し、様々なサービス、産業を革新すると期待されています。4Gの100倍以上の伝送量を可能にするといわれています。例えば、現在20台のカメラを使用してその中の1台のカメラの映像を選択(スイッチング)してインターネット放送しているスポーツ中継番組では、20台すべてのカメラ映像を視聴者に提供して、視聴者が好きなカメラ映像を選択(スイッチング)したり、複数同時に視聴するということも可能になります。

もちろん教育の分野では、学校間を繋いだ高品質の遠隔授業やAR /VRを活用して行かずに出来る社会科見学や校外活動が可能になるでしょう。しかし、大切なのは、5Gを教育に活用することではなく、5Gを活用して社会課題を解決できる人を育てる教育です。

5.Society5.0

Society5.0(ソサエティ・ゴーテンゼロ)とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)のことです。狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、政府の第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。聞き慣れない方もいるかもしれませんが、「学びの変革」の土台となるものです。

文部科学省は昨年6月、「Society 5.0に向けた人材育成~社会が変わる、学びが変わる~」を発表しました。

内閣府Webサイトより

Society 5.0という新たな社会で、共通して求められる力は何なのか、社会を牽引していくためにどのような人材が必要か等について、社会像を具体的に描きながら議論したまとめがこの報告書です。報告書では、Society5.0に向かう社会において日本は圧倒的に人材不足であり、ボトルネックになりつつあると指摘しています。Society 5.0を創り出す人材です。課題の解決に向けて報告書では、「技術の発達を背景として、Society 5.0 における学校は、一斉一律の授業スタイルの限界から抜け出し、読解力等の基盤的学力を確実に習得させつつ、個人の進度や能力、関心に応じた学びの場となることが可能となる。また、同一学年での学習に加えて、学習履歴や学習到達度、学習課題に応じた異年齢・異学年集団での協働学習も広げていくことができるだろう」と、技術革新を活かした学びの変革を示しています。また、AI等と共存していく社会の中で「人間の強み」を発揮し、AI等を使いこなしていくためには「文章や情報を正確に読み解き対話する力」や「科学的に思考・吟味し活用する力」、「価値を見つけ生み出す感性と力、好奇心・探求力」が共通して求められるとしています。

旧来の学びでは、Society5.0時代を支える人材育成は困難になってきています。先生も保護者も、皆さんが体験してきた昭和~平成の学びでは、子どもたちは未来を生き抜くことは出来ないということを認識する必要があるでしょう。新しい時代には、新しい学びが必要なのです。(編集長:山口時雄)

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