2015年2月18日
デジタルアーツ/「情報モラル教育学校に期待」 保護者7割近くに
デジタルアーツは9日、「第7回未成年と保護者のスマートフォンやネットの利活用における意識調査」を発表した。
何らかの携帯電話やスマートフォンを持つ全国の小学4年生から高校生(男女)と、全国の未就学児から小学3年生の子どもを末子に持つ保護者を対象に1月7日から14日の期間に行ったこの調査によると、未成年者が所有する電話の中でスマートフォンを使用している割合は65%となった。
携帯電話・スマートフォンのフィルタリング使用率は48.6%で、過去最高を更新。携帯電話購入時に「フィルタリングの設定説明を受けた」と回答した子どもは48.4%と前回調査より7.9ポイント増加した。この結果についてデジタルアーツでは、販売店のフィルタリングに関する意識が高くなったことを示していると解説した。
携帯電話・スマートフォンの1日あたりの平均利用時間は「3.0時間」となった。特に女子高校生は「平均7.0時間」と長時間化しており、9.8%の女子高生が「15時間以上」使用していることが分かった。
使用頻度の高いアプリについては、全体の61.8%が「LINE」を使用している。特に女子高生では94.2%と高い割合であること、それ以外のアプリとしてInstagramが35%と急激に使用率が上がっていること等が分かった。
子どもがネット接続端末を使用し始めるのに最適な年齢については、小学校低学年(7歳から9歳)と考える保護者が28.2%と最多となったほか、子どもの実年齢層で持たせたいと考える傾向があり、0〜3歳の子どもを持つ父親のうち26.3%が今持たせてよいと考えていることが分かった。
また、保護者の64.0%が、子どもがネット上で犯罪に巻き込まれないための対策や教育が十分に取られていないと回答しており、どのような対策や教育が有効だと思うかについては、「情報モラル教育強化」が54.6%、「販売されている端末側の機能制限」が51.4%、「アプリやウェブサービス提供者の年齢制限」が51.2%となった。
さらに「情報モラルの教育強化」が有効と回答した保護者のうち69.7%が、「学校・教育機関」が主体的に行ってほしいと思っていることが明らかとなった。
子どもにインターネットに接続できる端末を使わせる場合、「最初からフィルタリングが搭載されている子ども専用端末を使わせるべき」が53.8%、「子どもが使う可能性があるので、大人用の端末に子ども用のモードを入れてほしい」が29.2%、「子どもに使い方を教育するなら、制限は必要なく、大人用と同じ端末を使わせても問題ない」が8.7%となった。
今回の調査結果について発表会で「子どもの成長とメディアコミュニケーション」と題して講演した玉川大学大学院教育学研究科の近藤昭一准教授は、女子高生のタブレットやネットの利用が増加していることと、0〜3歳児にネット接続端末を持たせたいと考えている親が多いことに注目。ネット依存は“つながり依存”であり、人と言葉を交わす情緒的な交流のスキル欠如がそうした問題の背景にあると指摘した。自分に自信が持てず人間関係に臆病な子どもたちは現実社会で傷つくことを恐れてしまい、簡単に手に入るネット世界のつながりに逃げ場を求めてしまうが、人と関わることで自立の基盤が育つものだと述べた。
また、低年齢の子どもたちのネットとの接し方について、「制限とコントロールが必要」と述べるとともに、学校や教育機関に情報モラルなどの教育を期待する声に対して、「子どもの自立の基盤づくりのためには何より家庭が大切。こうした答えの背景には、家庭での保護者の孤立があるように思う。地域コミュニティに変わるコミュニティを自ら作っていけるようになると良い」と語った。
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