2019年2月21日
柴山文科相が旗振り「未来の学び プログラミング教育推進月間」9月に実施
未来の学びコンソーシアムは18日、小学校プログラミング教育の実施に向けた準備の推進に、2019年9月を「未来の学び プログラミング教育推進月間」(通称:みらプロ)に設定したことを発表した。
当日は、 柴山昌彦文部科学大臣をはじめ協力企業各社が登壇した。
未来の学びコンソーシアムは、文部科学省、総務省、経済産業省の連携により、学校関係者、自治体関係者、教育/IT関連企業、ベンチャーなどと共に設立。教育課程内・外の両面からプログラミング教育を推進するため、民間企業・団体による教材開発の促進、学校における指導の際のサポート体制構築を推進している。2018年3月に「小学校を中心としたプログラミング教育ポータル」を立ち上げ、プログラミング教育の具体的な実施事例などを掲載している。
「未来の学び プログラミング教育推進月間」の実施に向けて、現在公開している実践事例等に加え、企業と連携し「プログラミングが社会でどう活用されているか」に焦点を当て、「総合的な学習の時間」における指導案の配信を行うとともに、当該指導案で活用できる「会社訪問等によるスペシャル授業」の実施や企業が作成する「プログラミング教育に関する動画の配信」を行い、プログラミング教育の実践事例の創出につなげていく。また、同月間の実施に合わせ、各教育委員会等にICT環境整備の必要性を周知していくという。
小学校におけるプログラミング教育の必修化まであと1年。
同取り組みについて、柴山文科相は、「Society5.0といった社会の大きな変化を迎える中で、子どもたちには自らの人生や社会を切り拓いていくために必要な資質・能力を育成する必要があります。2020年度から全面実施となる新たな学習指導要領では、情報学習能力の全てを学習の基盤となる資質・能力として明確に位置づけ、小学校で全ての児童がプログラミング教育を受けることとしました。現在、新たな学習指導要領の実施に向けて全国で準備が進んでいますが、とりわけ今回、必修化になる小学校プログラミング教育をさらに円滑に進めるため、全国の小中学校等に対して期間中にプログラミング授業に取り組むよう呼びかけてまいります」と主旨を述べた。
家電や自動車をはじめ身のまわりの多くのものにAIやIoTなどが取り入れられ、生活環境がより豊かに大きく様変わりすると予測されるSociety5.0。それが普通となった社会を子どもたちが生きていくためには、家電がなぜ自動で動くのか、無人自動車がなぜ動くのか、そうした仕組みを知ることが必要と柴山大臣は続ける。「この目的を実現するために、これら技術の活用に深くかかわっている企業各社にご協力いただき、プログラミングが社会にどう活用されているのかに焦点を当てた指導案の作成等をしました。学校現場において本月間をきっかにプログラミング教育の準備に万全を喫していただきたいです」と考えを示した。
未来の学びコンソーシアムで現在提供している指導案数は62。初等中等教育局プログラミング教育戦略マネージャーの中川哲氏は、「今回は『総合的な学習の時間』にフォーカスを当て、『地域活性化』『自動化』『情報発信』などプログラミングを交えた指導案を企業各社にご協力いただきました」と説明。社会の問題・課題を見出し、ICTを活用して解決するというテーマで17社18事例ある。
具体的には、「地域活性化」に、Apple Japan、NTTドコモ、グーグル、佐川急便、積水ハウス、ディー・エヌ・エー、日本郵便、フューチャーおよびライブリッツ、リコージャパン。「自動化」に、トヨタ自動車、日産自動車、ひろしま自動車産学官連携推進会議、本田技研工業、Preferred Networks、ヤマトホールディングス。「情報発信」に、Twitter Jpan、LINEといった企業が参画している。指導案は、たとえば、プログラミングで作ったアニメーションで地域の魅力を発信したり、プロスポーツチームで行われているデータ分析を活用したり、チャットボットを活用したり。ICTとモノがどう連携しているのかを身近に知りながら、自分たちでも活用してみるといった魅力的なラインナップだ。
未来の学びコンソーシアム運営協議会座長でフューチャー代表取締役会長兼社長 グループCEOの金丸恭文氏は、「現在、私たち個人のライフスタイルや企業活動にも大きなインパクトを与えているのが技術革新。業種を問わずIT利活用は競争の源泉になっています。子どもたちが将来どのような職業に就くにしてもテクノロジーの使い手にならないと競争に打ち勝てない時代を迎えています。子どもたちにひらめきがあった時に、自分がサイバー空間上にビジネスモデルを具現化する時に、迷わないような教育の基盤を私たち大人が提供していきたい。日本のプログラム教育の本格的な幕開けです。ただし世界からは相当遅れているので私たちはスピーディにキャッチアップし、さらにその先を行きたいと考えています」と展望を語った。
同日18日に「未来の学び プログラミング教育推進月間」HPを開設。「会社訪問等によるスペシャル授業」の公募(3月15日締切)と「企業が作成するプログラミング教育に関する動画の配信」の登録(4月15日締切)も開始した。
多彩な顔ぶれの企業を動員しての同取り組み。現在、社会で実装されているテクノロジーと関連付けてプログラミング体験を自校で実践できる機会だ。特にプログラミング教育にまだ馴染みがない学校や先生は、今回提供される動画などのデジタル教材を授業の1つのツールとして入手し、「総合的な学習の時間」で積極的に活用してはいかがだろうか。
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