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2020年7月9日

異例のスピード導入で予想外の『すらら』活用見出す/南山大附属小

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ICTへの“備え”の差を浮き彫りにした、コロナ休校

コロナ禍による学校休校は、ICTへの“備え”があった学校とそうでない学校の、対応力の差を浮き彫りにした。

青空に鮮やかな外観が映える
南山大学附属小学校(名古屋市)

もちろん、すべての学校・教員たちが、与えられた条件のもとで「今できる最善」を尽くしたのは事実だ。しかし文部科学省の調べによると、Web会議システム『Zoom』などを用いた同時双方向型のオンライン授業を実施できた学校は、わずか5%。授業動画やデジタル教材を活用したオンデマンド型の学習でも、39%の実施率に留まったという。

ただし“備え”と言っても、必ずしも「1人1台のタブレット」といったハード面の環境整備ばかりを指すのではない。今回のような有事に即応できる、柔軟な発想力もその一つだ。南山大学附属小学校(名古屋市)の松浦典文副校長は言う。「本校は、際立って先進のICT導入をしていた学校ではありません。ただ、早期情報モラル教育を推進し、ICT利活用の研究は粛々と進めていました。それが奏効したのだと思います」。

松浦典文副校長

導入から運用開始まで、異例のスピードで展開

松浦副校長が「奏効した」と指摘したのは『すらら』の導入だ。

すららは、無学年式のオンライン教材。児童・生徒の理解度や進捗、つまずいている理由などを教材が自動で判断し、ドリルなどの問題を最適化できるアダプティブな機能が特長だ。教材内のキャラクターと対話しながらゲーム感覚で学習できるシステムも人気となり、多くの学校・学習塾、海外でも導入されている。

しかし同校は、コロナ休校以前からすららを導入していたわけではない。「導入を考えてはいましたが、あくまで『検討』のレベルにすぎませんでした」と、松浦副校長。休校が決まったことで急きょ導入した形だが、驚くのはそのスピード感だ。休校のスタートが2月28日、即座に学習サポート体制の検討に入り、4月3日に提供元・すららネット社にコンタクト。新学期開始直後の4月20日にはすでに運用を開始していた。すららネットの担当者もこう舌を巻く。「通常、すららは導入研修だけでも約2カ月をかけてじっくり行います。しかし、南山大学附属小学校の先生方は研修もオンラインで受講して、あっという間に利用環境を整えたのです。『子どもたちの学びを止めない!』という先生方の本気と覚悟を見せられた気がして、感動すらしています」。

児童に教員との「繋がり」を感じさせる双方向性を大事に

2008年の開校以来、同校名物の一つとして取り組んできたのが『がんばりタイム』だ。読み・書き・計算といった基礎の学習に1日1回、3限目の始業前に5分間ほど集中して取り組む。ただ「良い取り組みではありましたが、毎日の作問や採点作業は教員への負担が大きく、当初はここにすららを使うことを検討していました」と松浦副校長。

その矢先に降りかかったコロナ休校であり、いかに家庭学習をサポートしていくかという課題だ。同校では、オンラインの連絡網『南山小通信』を介して1週間ごとに「学習指示書」を発行、その週に家庭で取り組むべき学習内容をレクチャーすることにした。しかし、一部の学校で問題になったように、膨大な課題が一方的に送られてきて児童が疲弊する状態は避けなければならない。かと言って、あまりに学習の遅れを生じさせるのも好ましくない。「何を」「いつまでに」「どのくらい」というバランスには、細心の注意を払う必要があった。こうした課題に、すららのもつ特長が活かせると考えたのだ。

「基本は『ここをやってね』と、学習ユニットを指定するだけです。採点などはすらら内で完結し、紙ベースの課題や答案を郵送し合うような手間やタイムラグは発生しません。指示された課題をやっているのか、いないのか。どこにつまずいているのか。こうした学習状況もデータ化され、チャットのように質問やコメント返しを行えますから、一方通行になりません。『同時』でなくとも、『双方向性』が出せるのは非常に大きかったです」(松浦副校長)。

毎日、山のような課題だけが届き、孤独にそれをこなしていく……デジタル教材であろうと、紙媒体の課題であろうと、終わりも見えないまま黙々と同じ毎日を重ねるストレスは、想像するに余りある。ただでさえ不安な状況なのだから当然だ。実際に、こうした学習フォロー体制の影響による、児童の心身の変調を不安視する識者も多かった。そんな中「先生と繋がっている」という感覚がもたらす安心感は、本来の目的である学習フォロー以上の意義があったのかもしれない。

4年生向けの学習指示書。すららで取り組むユニットが、シンプルに指示されている

「とりあえずやってみる」の精神

児童・保護者の反応も上々で「成果に応じて、キャラクターが励ましたり褒めたりしてくれるので、それもモチベーションに繋がったようだ」「キャラクターを育成するのが楽しくて、すららに取り組むのが日課になっていた」などの声が聞かれた。持続性が課題となる休校中の家庭学習において、この傾向は非常に重要だ。

教科ごとに「世界観」が設定された、個性的なキャラクターたち(一部)

また、双方向性(メッセージ機能)を活用して、より深い学びへと繋げた児童もいると言う松浦副校長。「その地域の特産品を当てる、社会科の問題でのやりとりでした。『正解は○○とのことですが、わたしは××も特産品だと思うんですけどどうですか?』と質問してくるんですよ。対応した教員もその話題をふくらませて、さらに新たな知識を伝えていました。こうしたやりとりは、思わぬ副産物でしたね」。

生徒から届いた質問と、教員のやり取り

休校が明けた現在は、すららの新たな活用もイメージできている。「当初の狙いに沿って『がんばりタイム』に利用する計画もありますが、休校中に使ってみたことで、それだけでなく家庭学習にも最適ではないかと感じたのです。コロナ禍による休校の影響と同様、苦手分野や学習進度に遅れのある子にもぴったりだと。活用のキーワードは『支援』です」と松浦副校長。

コロナ休校時のICT活用において、学校側のノウハウ不足や、端末所有率、回線の問題から「できる・できない」の議論は多くあった。確かに、できないこともあるかもしれない。しかし同校のように、動けば見えてくるものもある。できない理由を並べる前に、「とりあえずやってみる」ことも大事なのだろう。

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