2017年5月22日
みんなのコード、「プログラミング指導教員養成塾」をスタート
みんなのコードは13日、小学校教員や教育委員会の関係者を対象に「プログラミング指導教員養成塾」をスタートさせ、第1期生の入塾式を行った。また同日は、みんなのコードが開発を手掛けた小学校向けのプログラミング教材「プログル」もあわせて発表。2020年の必修化に向けて、小学校の教科学習に特化したプログラミングコースの提供を開始した。
みんなのコードが主催する「プログラミング指導教員養成塾」は、公立小学校でプログラミングを指導できる教員の養成を目指すもの。全7回の講座はいずれも無料で、対面式で学べる東京コースと自宅で学べるオンラインコースがある。第1期生は全国から40名が集まり、うち半分近くが東京コースの受講生だ。
講座の内容は、座学や教材体験、授業見学のほか、受講者が勤務する教育機関や自治体で実際に授業を実施することをプログラムに組み込んでいる。みんなのコードの利根川裕太代表理事は同養成塾について、「重要課題であるプログラミング指導教員の育成について、現場の先生が悩みを共有したり、互いの授業をフィードバックできるような場にしていきたい」と語った。
入塾式には、文部科学省生涯学習政策局情報教育課情報教育振興室の安彦広斉室長も登壇し、次期学習指導要領におけるプログラミング教育は、情報活用能力やクリティカルシンキング、課題解決力など将来に必要とされる能力を育成するための手段のひとつであると説明。養成塾の受講生に対しても「どんどん実践内容を発信してより良い取り組みへと発展させてほしい」とエールを送った。
第2部では、みんなのコードが開発した教科学習に特化したプログラミング教材「プログル」の製品発表が行われた。小学校のプログラミング教育においては、既存の教科の中でプログラミングを実施することが決まっているが、どの単元で扱うかについては教員の判断に委ねられており迷うところだ。プログルでは、そんな教員の悩みに寄り添い、どんな学校やどんな先生でも授業で使えるプログラミング教材を目指している。第1弾として算数の公倍数の単元で使えるコースがリリースされた。
利根川代表は算数を選んだ理由について、「小学校の算数は抽象的な概念の初歩段階を扱っており、プログラミングと馴染みやすい」と語った。なかでも公倍数はソフトウェアエンジニアの界隈でよく扱われるFizzBuzz問題に類似しており、この単元でプログラミングを扱うことは有効だという。実際にプログルを使って授業研究を行った浜松市立雄踏小学校の菊地寛教諭は「公倍数の単元を一通り学習した後にプログルを使ってみたが、児童たちはのめり込んで休み時間もやりたいという声があがった」と語った。みんなのコードでは今夏、多角形の単元でも活用できるコースをリリース予定だという。
最後は、同イベントで登壇した文部科学省の安彦室長、菊地教諭、元小学校教師で現みんなのコードで養成塾の講師を務める竹谷正明氏のほか、先進的なICT教育を実践する杉並区立天沼小学校の福田晴一校長の4名でパネルディスカッションが行われた。
“教科の中でプログラミングを実施するにあたり苦労している点は?”という質問に対して、菊地氏は「教科のねらいを達成し、個々の見取りや評価についてどのようにすべきかが難しい」と話した。また竹谷氏も同じく「45分の授業の中で教科のねらいとプログラミングのねらいを達成するのは難しく、カリキュラムマネジメントが必要だ」と語った。カリキュラムマネジメントについては、教員一人でがんばってなんとかできるものではなく、学校全体の課題として捉える必要があると竹谷氏は語った。
福田校長は天沼小学校での取り組みを振り返って「学校で行うプログラミング教育は、集団で取り組むことに価値があるものを提供することが望ましい」と語った。1人1台環境でプログラミング学習を実施できる同校であるが、ともするとプログラミングは個別学習になってしまいがちだという。個別学習であれば自宅でもできるので、学校の集団の中で何ができるかを考えることも重要だと福田校長は語った。
“プログラミング教育における最悪の事態はなにか?”という質問に対して、文部科学省の安彦室長は「学習指導要領で(プログラミングを扱う)教科を示したけれども、それだけの範囲で終わってしまうことだ」と述べた。プログラミング教育は、将来に必要な能力を伸ばす手段のひとつであることから、より質の高い学びへ結びつけていくことが教員に求められているといえる。
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