2022年12月19日
普通科単位制による「個に応じた指導」を Chromebook でさらに後押し/北海道札幌東陵高等学校
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札幌市東区に位置する北海道札幌東陵高等学校。1979年に開校し、今年43年目となる。2013年度の入学生から「普通科単位制」の学校として生まれ変わった。かねてより「個に応じた指導」を推進するなか、2022年度入学の高校1年生から1人1台 Chromebook を導入し、ICT活用を開始している。同校の情報メディア部部長で、GIGAスクール構想の主担当でもある情報科の原田勝教諭に話を聞いた。
進路希望に合わせて自分で科目選択できる単位制
現在、792名の生徒が在籍する同校は、学習を柱にクラブ活動にも力を入れて文武両道を実践。生徒の個性や能力が最大限に発揮されるよう教育活動を展開している。
「普通科単位制」の学校となって10年目。自ら目指すべき進路目標を達成するために、1年生から充実したガイダンス指導で進路目標の明確化を図り、2年生から自分の進路希望に合わせた科目選択による学習をできることが特長。「少人数授業」や「習熟度別授業」を織り交ぜて生徒の学力向上を支援している。また、難関大学への進学を希望する生徒には特別編成クラスを各年次で2クラス設置するほか、土曜講習、放課後講習、春・夏・冬の長期休業期間中の進路講習を実施するなど、充実した体制ときめ細かなサポートで、生徒一人ひとりの学力を伸ばす指導に取り組んでいる。
生徒のために ASUS Chromebook を採用
同校では、2022年度入学の高校1年生と教員用に ASUS Chromebook Flip CR1 (CR1100) を約230台導入している。「生徒のためになる端末のタイプが CR1100 でした」と原田教諭は振り返る。
きっかけは2020年コロナ禍での休校。ICT環境整備が急務となった。しかし、環境をどう整えたらよいのか、当時、情報は自ら収集しなければならない状況だったという。原田教諭は、選定端末やその利用状況など近隣の教育委員会に問い合わせた。札幌市の中学校での体制づくりの調査も積極的に行った。
文部科学省や北海道教育委員会の動向から Chromebook と Google Workspace for Education(当時G Suite)を使った学習支援環境、セキュリティ面、価格面なども独自に調査。そうした過程の中で、Chromebook を使ったICT環境に「この方向性ではないか」と肌で感じるようになったという。また、GIGAスクール構想に関する教育委員会対象のセミナーにも参加。そこに来場していた ASUS社員に話を聞いたことで、Chromebook の概要や環境の揃え方などがわかるようになり、少しずつ道筋が見えはじめたという。
その後、試験的に端末の購入やレンタルを繰り返し、Wi-Fiの通信状況や使用感など実機を使って検討を重ねた。いくつかのタイプを試しながら、“通信が途切れづらいこと”、“スタイラスペンが端末に収納できるもの”など、選定したい機種の具体的なイメージを掴んでいった。手探りながら丁寧に調べ上げ、理想形に近い端末として辿り着いた機種が ASUS Chromebook Flip CR1 (CR1100)だったという。
決め手は「高速Wi-Fi6対応」と「USIスタイラスペン」
1人1台端末として原田教諭は「安心・安定した利用環境」を何より重視した。Chromebook の特徴はオンライン。ネットワークに負荷がかかり通信が途切れることは学習の妨げになるためできるだけ避けたい。CR1100 は、高速規格のWi-Fi 6に対応。切断しづらく、速度が速く、安定した通信を確保できることが魅力だった。
「USIスタイラスペン」にも注目した。これまで他社のペンをいくつか試したが、ところどころで線が切れるなど書きづらい印象が拭えなかった。電池の寿命が短かいことも難点。電池交換に必要な単6電池も入手しづらい。ペンを端末と常に携行しないといけないなど気がかりが散見された。一方で、CR1100 はUSIスタイラスペンが本体に収納可能。収納時は自動充電されるため、電池交換の煩わしさもない。文字や図形もスムーズに書きやすい。これであれば生徒も困らないと感じた。
「通信が快適で、使い勝手が良く、汎用性がある。ASUS Chromebook Flip CR1 (CR1100)の一択しかないと思いました。この端末は“あたり”です」と原田教諭は高い信頼を寄せている。
教科の特性に合わせて授業で活用
家庭科では Chromebook が欠かせない。栄養価を調べる授業で、Googleスプレッドシートを使い「調理実習の記録」に活用。数字の計算に時間をかけるのではなく、そこからわかること、その先に考察するべきことなど、より深い学びに繋がっているようだ。創造性を引き出したり、考えを深めたり、新しい視点を獲得したり。Chromebook の活用で、生徒の能力をより一層伸ばす指導が実践されている。
USIスタイラスペンを使った同校の国語科の取り組みもユニークだ。「言語文化」の授業で、「羅生門」を通して小説の読み方を体験。情景描写や人物の心情を読み取る実践の中で、情景描写が巧みな本文から、Google Jamboard とUSIスタイラスペンを利用して生徒が描写を再現するというもの。スクリーンに映し出された各自の表現は、それぞれの視点などがイメージとなって一気に立ち上がり、本文を理解する上でとても効果的だったという。「USIスタイラスペンは書き心地が良くてストレスフリー。文章から捉えた情景を周囲に伝わるよう生徒たちは上手く表現できていて、面白い試みだと思いました」と原田教諭も感嘆する。
「利用」から、さらに踏み込んだ「活用」が目標
現在、端末を所有しているのは高校1年生のみだが、授業を問わず、ホームルーム、進路、部活でも端末を使う場面は増えている。
原田教諭のもとには端末を修理したいと訪れる生徒もおり、そこで気づくことがあるという。「ブラウザにページをたくさん開いた跡などがあって、生徒が頻繁に端末で学習している様子が見て取れます」。生徒たちは中学時代から端末に馴染んでいることもあり、Chromebook を使った授業に抵抗はなく、むしろ「もっと活用したい」との意欲がアンケートからもわかったという。
教員側もアプリの使い方など「プチ研修」をはじめ、校務や働き方改革に向けてチャットやカレンダー、Google Apps Script などの活用を念頭に、具体的に取り組みを進めている。ウィズコロナの様相を呈している昨今、通常の授業や校務をICT活用でいつでも切り替えられ、自宅でも稼働できる体制づくりを視野に、朝の打合せ時には Chromebook を必ず使用するなどICT活用の浸透を段階的に図っているという。
同校のICT全般を地道な努力で切り開き、けん引し続ける原田教諭。「他校の事例も参考に1つ1つ吸収して、追いつき追い越せるようにしていきたいです」と真摯な姿勢だ。「現在、Chromebook は『利用』できていますが、これからはもう一歩進んだ『活用』に向かうことが目標です」と展望を語る。端末を導入して1年目。生徒の学びを力強くバックアップするICT活用で、「個に応じた指導」をさらに充実させる構えだ。
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