2024年3月27日
エルゼビア・ジャパン、大学指導者の80%が研究の社会的インパクトを評価
エルゼビア・ジャパンは25日、学術界のリーダーや資金提供者が直面している複雑な問題と、それらに対処するための準備状況を調査した包括的なレポート「View from the top:academic leaders and funders’ insights on the challenges ahead(トップからの視点:学術界リーダーと資金提供者への調査に見る、将来的な課題に関する知見)」を発表した。
同レポートでは、学術界のリーダーが直面している数多くの課題を詳しく分析し、そこから世界で共通する明確な優先課題が記載されている。
最も重要な課題として挙げられたのが研究。学術界リーダーの圧倒的多数(89%)が研究を最も重要な課題と考えており、科学を進歩させるうえで大学が重要な役割を担っていることが浮き彫りになっている。そのうち、研究の卓越性を維持すること(93%)に焦点が当てられている。
研究に続いて優先度が高いとされている課題は、2位が資金調達、3位が教育、4位が人材。学術界リーダーの84%が、資金調達を優先度の高い課題として指摘し、3分の2(66%)が今後5年間でこの問題が更に深刻化すると予測している。
資金助成団体リーダーの回答も同様、3分の2強が資金の確保を優先課題に挙げており、資金助成額の伸び悩みや研究コストの増加により、将来的に資金確保がより厳しくなると予想している。
また、教育の重要性も改めて確認された。75%が教育を最優先課題とし、特に優れた教育の提供を重視するリーダーの割合は82%に上る。職員の採用・維持などの人材確保については、学術界リーダーの75%が重要な課題と捉えている。資金調達と同様、人的資本の管理はますます困難になることが見込まれ、66%が今後数年間でより人材確保が厳しくなると予測している。
調査結果全体から、今後数年間で更に大きな課題をもたらすであろう政治・技術・規制面の変化に適応する必要性が高まっていることが読み取れる。AIの取り扱いや規制について国と社会で議論が続けられているが、大学はこの新しい技術の急速な台頭に適応できていないのが現状。
リーダーの64%がAIガバナンスを最優先課題の一つとみなしているが、研究機関において必要な変化に適応するための十分な準備ができていると回答した割合は、全体の4分の1以下(23%)だった。また、リーダーたちは、気候変動のモニタリングのみならず、科学的根拠に基づく課題解決の創出や、新しい技術の開発、政策への影響という点において、大学が中心的な役割を担うことが期待されていることも認識している。
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