2024年12月16日
共通テスト新科目「情報Ⅰ」の授業、高校生の7割が「難しい」6割が「楽しくない」と回答=スタディプラス調べ=
スタディプラスは12日、同社のStudyplusトレンド研究所が、学習管理アプリ「Studyplus」上で、全国の高校生1673人を対象に実施した、「共通テスト新科目『情報Ⅰ』の取り組みに関するアンケート調査」の結果をまとめ発表した。

それによると、「自宅でパソコンを使うことはあるか?」と聞いたところ、「使っていない」高校生も3割程度いたものの、6割近くが「高校に入る前からパソコンを使った経験がある」と回答。中には、小学生になる前の「幼少期からパソコンに触れている」生徒もいた。

「今まで学校以外でプログラミングを習う機会はあったか?」と尋ねたところ、33.0%が「ある」と回答。「なかった」は67.0%だった。他の世代と比較したデータではないため一概には言えないものの、おそらくZ世代より上の世代が高校生だった頃よりもプログラミングが身近なものになっていると推察できる。

2022年度からの学習指導要領で必修化になっている「情報Ⅰ」の授業内容を「どの程度難しいと感じるか?」との質問には、全体の約68%が「かなり難しいと感じる」または「難しいと感じる」を選択しており、授業の難易度が高めであることが伺える。
男女別でみると、「かなり難しいと感じる」または「難しいと感じる」を選択した生徒は男子に比べて女子のほうが16ptほど上回る結果となった。

「情報Ⅰ」の授業の中で難しいと感じる内容を具体的に聞いたところ、「プログラミング」に関する学びが難しいと感じる生徒が、73.7%で最も多かった。学校以外で触れる機会も少なく、授業の内容だけで理解を深めるのはかなり難しい領域なのかもしれない。

「情報Ⅰ」の授業を担当している教師が、この分野を理解して授業を受け持ってくれているかを聞いたところ、6割以上(66.5%)の生徒が「教師の理解度は十分だ」と感じていた。とはいえ、約3割(33.5%)の生徒は「教師の理解度が不十分である」と感じており、前述の通り授業の難易度が高いと感じる生徒の多さも踏まえると、「教え方」に課題がある可能性も否定できない。

来月行われる今年度の大学入学共通テストから「情報Ⅰ」が出題教科に追加されるが、「大学入試で情報Ⅰを利用するか?」と聞いたところ、来月の共通テストの受験対象となる高3生は、約8割(78.8%)が「利用予定」と回答。
まもなく受験学年となる高2生でも6割以上(66.5%)が「利用予定」と回答し、受験勉強が本格化するまでまだ猶予があるはずの高1生でも、「利用する予定」が半数近く(44.7%)にのぼった。

「利用する」と回答した理由は、ほとんど(95.8%)が「国公立を志望しており、必須だから」というものだった。その他の理由としては、「得意な科目で得点源にできる」8.6%が2番目に多く、「あえて選択する」という生徒もわずかながらいた。

「情報Ⅰ」を利用すると決めた時期を聞いたところ、最も多かったのは「高1の4〜6月」39.6%だった。高3生だけに絞っても同様の結果で、「情報Ⅰ」が受験科目に必須となっている「国公立大学への受験」を高1の早期から見据えているためではないかと考えられる。

「情報Ⅰ」を受験科目として使う予定の生徒を対象に、「情報Ⅰ」の受験勉強をどの程度しているのかを聞いたところ、「他の教科に比べて時間を割いていない」と答えた学生が9割以上(92.6%)だった。

対策方法については、「学校の授業での内容や教科書で対策している」が61.9%で、それ以外に「参考書や問題集を購入して対策している」が26.7%だった。他の5教科とは異なり、「情報Ⅰ」は基本的に学校の授業で習ったことや授業中に使った教科書で十分対策できる範囲なのかもしれない。そのためか、「対策していない」も12.0%と少なくなかった。

「受験対策でどのような点に難しさがあるか?」を聞いたところ、やはり「過去問などの情報が揃っていない」ことをあげる生徒が6割以上(65.3%)で最多だった。
中には、配点が高いので悩みの種、勉強法がわからない「情報Ⅰ」が増えて負担が大きい、模試の時間が長くなり精神的にも身体的にも厳しい、模試レベルのものが当日出題されるのか不安になる、5教科でも精一杯で余裕がない、などといった回答も見られ、生徒の間でも負担の増加や初めての科目ということで混乱が生じているのが伺える。


また、「情報Ⅰの勉強は将来役に立つと思うか?」と尋ねたところ、約7割(69.4%)が「将来の役に立つと思う」と回答したが、「情報Ⅰの授業や学習は楽しいと感じるか?」との質問には、57.6%と6割近くが「楽しくない」と回答。「楽しい」と感じている生徒は約4割(42.4%)で、「役立つ」と感じている生徒と比べると27ptも減少する結果となった。

将来の役に立つと感じている生徒と役には立たないと感じている生徒で、それぞれ授業や学習の楽しさについての回答を掛け合わせたクロス集計の結果、やはり「将来役立つ」と感じている高校生ほど授業や学習も楽しいと感じている生徒が圧倒的に多かった。

「情報Ⅰ」の授業や学習が楽しい理由についての自由回答みると、元々プログラミングやパソコンに触れる機会があり得意意識があったことや、具体的なツールの使い方や技術の仕組みを理解した上で「役に立つ」と実感できることが大きな要因になっているようだ。

一方、「楽しくない」と感じてしまう理由は、「教師の教え方」や「授業内容のつまらなさ」が大きく起因しているようだ。
この調査は、全国の「Studyplus」の高校生ユーザーを対象に、11月19日〜21日にかけて、「Studyplus」上でアンケート回答を依頼し、オンラインで回答を回収する形で実施した。有効回答数は1673人で、内訳は、高1生320人(男子101人・女子204人・分からない/答えたくない5人)、高2生451人(同147人・296人・8人)、高3生902人(同348人・539人・15人)。
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