2018年12月3日
やってみて分かった「環境・インフラ不足」「教師のスキル不足」 WDLC調査結果
ウィンドウズ デジタルライフスタイル コンソーシアム(WDLC)は、「MakeCode×micro:bit 200プロジェクト」に参加している小学校のプログラミング教育の実態をアンケート調査し、その結果を11月30日に発表した。
WDLCでは、2020年度からの小学校でのプログラミング教育の必修化を皮切りに推進されるICT教育時代の到来を受け、学校のプログラミング教育を応援するプロジェクト「MakeCode×micro:bit 200プロジェクト」を推進している。
今年の6月から始まった本プロジェクトは、プログラミング教育をいち早く取り入れたい小学校、教育委員会200団体にmicro:bitを20台ずつ進呈し、WDLC開発の「プログラミング教育授業案」やサンプルコードを参考にながら、各小学校や教育委員会で独自に授業を実施するというもの。
10月上旬までには全参加団体にmicro:bitを配り終え、WDLC開発の「プログラミング教育授業案」全5事例と、学校外のワークショップや家庭でも楽しく学べるサンプルコード全31個も公式サイトに公開している。また、「プログラミング教育授業案」は、本プロジェクトを後援している「未来の学びコンソーシアム」に全5事例中3事例提供している。
micro:bitを全参加団体に配り終えてから2カ月半が経過し、参加小学校のプログラミング教育の実態をアンケート調査したところ、授業実施状況は現状52.9%という結果となり、半数以上の小学校がプログラミング教育を実施していることがわかった。しかし同時に、プログラミング教育を実施するうえで、様々な課題も存在することが浮き彫りになった。
プログラミング教育の実施状況と今後の取組について聞いたところ、現状52.9%はプログラミング教育を実施しており、未実施校のうち、今年度中の実施予定を含めると計84.6%が「2018 年度中に実施する」という結果になった。また、実施した小学校の回答をみてみると、メインは5~6 年生で、半数近くは3時限以上実施していることがわかった。
実施教科では、「総合47.3%」、「理科43.6%」の順で多く、教科外では34.5%実施していることがわかった。この結果から、文部科学省が発表した「小学校プログラミング教育の手引」で述べられているように、まずは教科外の時間に、プログラミングの楽しさや面白さ、達成感などを味わえる題材で「コンピュー ターに意図した処理を行うよう指示することができ る」ことを体験をさせ、さらに各教科等での学びをより充実させるために教科内でも実施していることがうかがえるという。
一方、今回の調査では、まだまだプログラミング教育に対する課題はあるということも明らかになった。特に大きな課題として、「プログラミング教育を実施するための機材不足」、「プログラミング教育を実施するための環境・インフラ不足」、「プログラミング教育を実施するための情報・知識不足」の3点が挙げられるという。
プログラミング教育を実施するための機材不足では、2人1組のペア学習を想定してmicro:bitは1団体に20台進呈したが、実際は実施校・未実施校ともに、より多くの台数を望んでいることがわかった。
プログラミング教育を実施するための環境・インフラ不足では、特に未実施校において、「学校内のパソコンはUSBを接続できない」、「学校内のパソコンはアプリをダウンロードできない」など、取り組んでみて始めて体験する環境・インフラ面での課題もみえた。
プログラミング教育を実施するための情報・知識不足では、未実施校では63.3%が「教員のプログラミング知識が不足している」、36.7%が「自分が勉強する時間が取れない」 と回答しており、教員がより情報を手軽に得られ、プログラミング知識を補うための仕組みづくりが、プログラミング教育を加速するためにとても重要であることがわかった。
また、「プログラミング教育に関する情報収集方法」を尋ねたところ、実施校と未実施校では「YouTubeを通じて情報収集をしているかいないか」で大きな差が出たという。YouTubeをみていない理由としては、「学校側で閲覧不可とされている」、もしくは「有益な情報を得られることを知らない」などが推察されるが、教員が自由に情報収集できる環境でないと、学校のプログラミング教育の活性化は難しいのではないかと推測できるという。そこでWDLCでは、今回の調査結果を受けて、本プロジェクト参加校のうち2校を対象に教員向けの研修を実施する。
WDLCでは今後、学校関係者、加盟企業や関連団体、文部科学省などと連携して、今回明らかになった課題の解消に取り組んでいきたいとしている。
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