2022年5月30日
5割を超える企業が「新規採用者の賃上げ・教育訓練費増額」を予定=マイナビ調べ=
マイナビは27日、全国の民間企業で、中途採用業務のうち「採用費用の管理・運用」に携わっている人事担当者1400人を対象に実施した、「企業の雇用施策に関するレポート(2022年版)」をまとめて発表した。
それによると、2022年度の新規採用者の賃上げについて、前年度より「上げる予定」の合計は56.0%だった。
内訳をみると、賃上げ予定の水準は「前年度より10%以上」が22.4%で最も多く、次いで「同1.5%以上~4%未満」が15.6%、「同4%以上~10%未満」が14.4%となり、新規採用者の賃上げを行う予定の企業では、高水準の賃上げ実施が期待できる結果となった。
業種別では、「不動産・建設・設備・住宅関連」63.1%、「メーカー」61.4%で「上げる予定」の合計が6割を超えた。
「商社」では、「上げる予定」は50.0%と半数に留まるが、賃上げ水準は「前年度より10%以上の水準で上げる予定」が28.3%となり、最も水準が高かった。
新規採用者の賃上げを行う理由(自由回答)としては、「これから新規採用を積極的に行いたいと考えている」(金融・保険・コンサルティング)、「政府の意向を聞き入れ、税制優遇を考慮して」(メーカー)などの回答がみられた。賃上げ促進税制の影響や、企業の新規採用意欲の高まりが表れている。
また、教育訓練費については、前年度より「増やす予定」の合計は50.9%だった。従業員数規模別では、「301人以上」の企業で6割を超えたが、「50人以下」の企業では32.2%に留まった。
業種別では、「不動産・建設・設備・住宅関連」で前年度より「増やす」が56.3%で最も高く、次いで「メーカー」56.1%、「IT・通信・インターネット」55.9%と続いた。
反対に「サービス・レジャー」では前年度より「増やす」が35.5%と最も低く、TOP3の3業種と比べ20%以上の差が出る結果となった。
教育訓練費を前年度より増やす理由(自由回答)としては、「リスキリングの必要性を感じている」(メーカー)、「IT、ネット、PC、AI、ロボットなどに掛かる技術習得が必要なため」(流通・小売り・フードサービス)などの回答があり、DX推進に対応できる人材などの育成・リスキリングを、企業主体で行う意欲の高さを感じさせる。
高年齢者雇用については、「定年を65歳までにしている」が38.2%で最も多く、次いで「65歳までの再雇用制度を導入している」が19.8%となり、65歳をひとつの区切りとしている企業が多い。
一方で、「定年制を撤廃している」は全体で13.1%に留まったが、従業員数別でみると「50人以下」の企業で24.9%と、従業員数が少ないほど定年制を撤廃している傾向にある。
再雇用制度を導入する企業に、再雇用後の1週間あたりの就労時間、業務量、給与(賃金)の増減について聞いたところ、いずれも再雇用前より減少する企業が多かった。
特に顕著に減少していたのは給与で、「(給与が)定年前より減っている(定年前より2割以上)」と回答した割合は40.5%にのぼった。再雇用契約後の給与は、就労時間・業務量に比べ減少幅が大きく、再雇用者の働く意欲の低下が懸念される。
この調査は、全国の従業員数3人以上の企業で、直近(2021年1~12月)に中途採用業務を担当しており、「採用費用の管理・運用」に携わっている人事担当者を対象に、1月21日~24日にかけて、インターネットで実施した。有効回答数は1400件。
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