2017年4月12日
千葉県立袖ヶ浦高等学校、情報コミュニケーション科でのiPad活用実践
【PR】主体的、対話的で深い学びを
~リアルタイム授業支援アプリ MetaMoJi ClassRoomによる授業実践~
千葉県立袖ヶ浦高等学校 情報コミュニケーション科長 永野 直
千葉県立袖ヶ浦高等学校は, 2011年より普通科に加えて「情報コミュニケーション科」を新設した。設置初年度よりiPadをBYOD(Bring Your Own Device:私的デバイス活用)形式で全員必携とし,あらゆる教科で情報活用能力を生かして学び,変化の激しい社会で主体的・創造的に活躍できる生徒の育成を目指している。
iPadは授業をはじめ,部活動,学校行事,家庭学習等さまざまな学習場面で活用している。従来の聞く,書く,覚えるといった「教員から教わる」授業から,ICTを活用して調べる,作成する,蓄積する,共有する,互いに評価する,など生徒自身の学習活動を多様化することで,「生徒が主体的・創造的に学ぶ」授業に取り組んでいる。
MetaMoJi ClassRoomはそれぞれ異なる授業の目的に応じて一斉学習,個別学習,グループ学習,クラス学習用とページごとに設定でき,生徒と教師,あるいは生徒同士が同一コンテンツ上で協働的に学べるところにメリットがあり,本科の目指す授業に大いに役立っている。
高校1年 情報科 情報モラルリーフレット,情報ポリシーの作成
高校生のスマートフォン所持率はほぼ100%近くにまで上昇しており,その利便性とともにネット上のトラブルや危険に遭遇する機会も増加している。また,中高生の用途はほぼゲーム,動画視聴,SNSに限られているのが現状だ。情報コミュニケーション科では実効性のある情報モラルや情報活用能力は,ICTを学校生活や日常生活で有効に使っていく経験から身につくと捉え,iPadやスマートフォンを禁止するのではなく,あえて積極的に授業中に利用している。
その前段階として,1年生では例年「クラスの情報ポリシー」を生徒自身で作成している。学校から「禁止・制限」を押し付けるのではなく,「自分たちで守ること」として各自で考えてもらうためである。
まずはスマートフォン利用に関する「小・中学生に向けたリーフレット」をグループで作成することとした。対象を自分たちとするではなく,あえて年齢の低い子供を想定することで,「ICTを利用するには相手への思いやりが必要であること」,「問題点・注意点の本質を捉えること」,「誰にとってもよりわかりやすく表現すること」をねらいとした。
リーフレットをグループ学習ページとして設定し,4人一組で作業を行う。リーフレットの内容は「日常生活」,「学校」での有効な活用法と「注意点」にわかれおり,小中学生へのオススメアプリという形で,娯楽以外の活用法について紹介する。またネット上のトラブル防止に何が必要かをグループで話し合ってまとめ,4人で作業を分担して1枚のリーフレットを作り上げていく。紙のリーフレットやPCでのグループ作業ではどうしても1人に作業が偏りがちになってしまうことが多い。MetaMoJi ClassRoomを使うことで,各自のiPadで1枚のリーフレットを同時に編集できるため,各自の作業が明確になるとともに,全体のバランスも意識したリーフレットが作成できた。このリーフレットは近隣の小中学校に配布し,実際に利用してもらうことになっている。
リーフレット作成の後,今度は自分たちのクラスにおける「情報ポリシー」を作成する。「他者への視点」から「自分たちの問題」として捉え直し,そして「クラス全体で守るべきこと」に思考を発展させていく。グループ学習ページでメンバー間の意見を共有して話し合い,グループ内で1つの「ポリシー」を決める。その後クラス学習ページで各グループの意見を統合させ,クラス全体の「ポリシー」が出来上がっていく。
このような「情報モラル」を題材とした場合,多くは「〜〜をしない」など禁止事項の羅列になりがちであるが,リーフレット作成の経験から「守る」,「使う」,「判断する」など,自分たちの意思や行動を意識したグループも多く,より積極的な「情報ポリシー」を作ることができた。
高校1年 英語科 板書のデジタル化
これはタブレット活用の事例としては珍しいかもしれないが,一斉授業による活用例である。コミュニケーション英語Ⅰは,英語での情報や考えを適切に理解したり伝えたりする能力を養うことが目的の授業で,人同士の対面コミュニケーションが主な学習活動となる。しかしそれらの活動のためにはもちろん英単語の意味や文法,用例などの基礎知識が必要で,教師による板書と解説を中心とした授業も欠かせない。
そのような授業では基本的に教員が黒板に文例を書き,そこに色の違うチョークでアンダーラインや解説を書き加えながら授業が進む。このような「従来型の一斉授業」では,文例を書く時間がかかること,板書は授業が終わったら消してしまい次の授業で再利用ができないこと,クラスの席順の関係で生徒それぞれの板書の見やすさに違いがあること,などの課題があるがそれらは「仕方のないこと」として長い間済まされてきた。ICTによって,スライド資料を事前に用意したり,電子黒板によるリアルタイムでの書き込みなどは可能になったが,生徒の見やすさの差については解決されていなかった。
ところが,MetaMoJi ClassRoomによって,それらの問題は全て解決された。資料を作成,生徒へ配布し,教員は解説を行いながらiPad上でその資料に書き込みを加えながら授業を進行していく。例文を書く時間は不要となり,用意されたスライドのアニメーションとは違う臨場感ある解説や,写真などのマルチメディア資料の提示も可能になった。さらにそれらの様子は生徒各自のiPad上で表示されるため,教室の座席場所による不平等もない。
このような,「教員のiPadの画面を生徒各自のiPadに表示したい」というごく当たり前のようなことを実現するのは,実はこれまで難しかった。本校でも7年前にiPadを導入した当初から,多くの先生方からそのようなニーズがあり,さまざまなアプリを試したが快適に使えるまでには至らなかった。今ではMetaMoJi ClassRoomを利用して教員画面を生徒へリアルタイム配信することが可能となり,さまざまな授業の中で日常的に利用している。
さまざまな授業場面で今後重要となっていく「主体的,対話的で深い学び」にMetaMoJi ClassRoomは真価を発揮する。ただそれだけでなく,基礎知識の習得や協働的な学びを行うための時間の創出,生徒の学習環境の差の解消,ICTに抵抗感や苦手意識のある先生にとっても大いに役立つ。
「未来に生きる子供たちにとって必要な学び」に向け,個別の学びから他者との協働的な学びに至るまで,幅広い段階や目的で活用できるツールであると感じている。
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